CAR
“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴 Vol.5
戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第5弾!「メルセデスの良さが濃厚な“W124でますますメルセデスにハマっちゃいました」
業界でも屈指の “クルマ通”である戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼が「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を語ります。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば…と思います。今回ご紹介するのは、2台同時所有という迷走(?)から立ち直ったお話。聞き手は戸賀編集長の雑誌編集者時代の先輩、フリーランスエディターの高(『“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴」参照)です。
「メルセデスのW124クラスに乗って、クルマの本質を実感しました」
高 26歳の頃は、ブリティッシュオープンとワゴンを同時に所有し、なおかつその2台を半年くらいで手放しちゃうなんて、かなり迷走していたんだね。
戸賀 いやはや、タイプの違う2台を乗りこなせば、楽しいカーライフが送れると思ったんですけどねぇ。その2台のセレクトでずいぶんと妥協したぶん、理想のスタイルにたどり着けなかったんだと思います。今後、セレクトの基準をきちんと確立して、「現代の極上8輪生活」の特集でも組みますかね!!
高 またまたムチャ振りするんだから! どうせセレクト基準を考えるのは俺だし、その原稿を何度も書き直しさせられるのも俺なんだぜ(泣)。それはそれとして、2台を手放した後は、何に乗ったの?
戸賀 RV8でスポーツカーやスポーツドライビングへの想いが萎えちゃったので、もう1回メルセデスに戻ってクルマに対する熱意を回復させようかと思ったんです。そこで1995年のW124、E280を買いました。Cクラスと同様、内装はファブリックでした。でも、ベンツ特有の質感の高さが残っていて、凄く良いクルマだったと思います。例えば、ベンツって横転事故の際に乗員を保護するためにガラスサンルーフの装備をやめていたり、フロントウィンドウの雨滴を効率よく拭き取るために長さが可変する1本ワイパーを採用していたり、このW124まではそうした“乗員のことを考えた”クルマ作りの姿勢を貫いているんです。また、W124まではテールランプの表面に横溝状の凸凹を設けて、汚れてもきちんと見えるようにしているんです。そういうメルセデスの真摯なクルマ作りへの姿勢には、非常に感銘を受けましたね。
高 う〜む、ポルシェに負けず劣らず、ヲタクな薀蓄だなぁ(笑)。W124最後のE280か、排気量2799ccの直列6気筒DOHCエンジンは最高出力200PS、最大トルク28.2kgmを発揮。当時の新車価格は650万円だね。
戸賀 おっ、またまた高さんにしては珍しい、真面目な薀蓄。まぁ、ネットの情報を棒読みしている感じがアリアリですけどね(笑)。あの頃、赤池 学(と金谷年展)が書いた『メルセデス・ベンツに乗るということ』という本を読んだんです。ベンツの企業理念やクルマの本質がわかりやすく書かれていて、僕はとても勉強になりました。当時の僕はファッション誌へと移行していたこともあって、服や時計などに力を入れなければならず、クルマだけにお金を費やすことができませんでした。そのせいで中型のベンツの、それもハイグレードじゃないモデルに乗っていたんですけど、まったく卑屈にならないどころか、凄く楽しく気持ちよく乗れてたんですよ。乗り味はあくまでもフラットライドで、荒れた道路を走ってもフロアやダッシュボード周りはまったくビビりませんしね。レバーやスイッチ類の剛性も高く、ATの変速は切れ味鋭くで快感そのものでした。赤池さんの本に書かれていた「ベンツの品質の良さ」とかがそのまんま感じることができ、おかげで「ああっ、良いクルマに乗るってこういうことか!」と実感できましたね。
高 ううむ。あの当時、Eクラスのトップにはすべてのメディアが絶賛した「E500」があったのにも関わらず、E280でも大満足できたのは明らかに戸賀青年のクルマの見方が変わったんだね。それまで「速さ」や「格付け」といったわかりやすいファクターでしかクルマを評価できなかったけど、肩肘張らない等身大のスケールでクルマを評価できるようになったのか。
戸賀 そうだったと思います。さらにこの後Gクラスに乗って、ますますメルセデスの虜になるんですが、その話は次回にしましょうか。
文 高 成浩(POW-DER)
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