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“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴 Vol.2

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第2弾! 「ポルシェでスポーツドライビングの楽しさを知りました」

2022.06.25

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戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第2弾! 「ポルシェでスポーツドライビングの楽しさを知りました」

業界でも屈指の “クルマ通”である戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼に「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を伺いました。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば…と思います。今回ご紹介するのは、ギョーカイでブイブイ言わせ始めた頃に乗っていた2台のポルシェです。

「モテるクルマ=911、走りを楽しむクルマ=968CS」を満喫!

実はJPRIMEのクルマの記事を担当しているのは、戸賀編集長とはファッション情報誌『Begin』時代から20余年も付き合いのある、フリーランスエディターの高 成浩。この愛車遍歴の連載にもっとリアリティを持たせるため、今回からインタビュアーとして実名で登場します。お互いに相手のクルマの趣味嗜好を知りつくした仲だけに、どんな話が飛び出すやら???

戸賀 連載2回目の話をする前に、僕からインタビュアーの高さんのことを紹介しましょう。僕が世界文化社に内定が決まって、Begin編集部でバイトし始めた時から、編集のことを始めとしていろいろと教えてくれたのが高さんです。つまり僕の大先輩にあたるんです。当時は僕がポルシェ、高さんがR32GT-Rに乗っていて、箱根のロケとかにさんざん行ってましたね。クルマや仕事だけじゃなく遊びでも一緒だったので、僕は高さんとならクルマをスペックだけじゃなく、「いかにクルマを楽しむか?」とか「どのように乗ればカッコいいか?」とかを語れると思って、この連載の執筆をお願いしました。

高 いやぁ、丁寧な紹介、ありがとうございます。では、早速クルマのことを聞きましょう。前回の944ターボはたった1年半だけ乗って、すぐに手放しちゃったんだよね。で、次に買ったのが赤い911カレラ4(964型)だったから、みんなびっくりしてたっけ。

戸賀 確か23歳くらいだったかな…944ターボを下取りに出して差額をローンで買いました。そんなことができたのも、まだまだ時代はバブルでしたし(※注:世間はとっくにバブルが弾けてましたが、編集業界はまだまだ景気が良かったのです)、僕は実家住まいだったので、クルマにお金を注ぎ込めたんです。で、在庫車だったゆえに、ディカラーが赤しかなかったのが少し辛かったですね。ほんとはシルバーかガンメタが欲しかったんですが。

高 四駆のカレラ4を選んだのは、特別な理由があったの? RRの走りを極めるのなら二駆のカレラ2なんじゃないの?

戸賀 伝説的な名車である959が象徴するように、ポルシェは70年代から四輪駆動システムを研究していました。で、ようやく四輪駆動システムを市販車に搭載できたのがこの964型ですから、やっぱりカレラ4を買うしかないでしょう。まぁ、当時はスキーに熱中していたので、四駆を選んだというのが本音ですかね(笑)。スーリーのキャリアを付けて、よく苗場プリンスに通いましたね。そうそう、夏は大磯プリンスが多かったかな。今振り返っても、20代前半でぶったまげたことをしてましたね(笑)。

戸賀編集長連載
戸賀編集長連載
戸賀編集長が「カレラ4の走りは気持ちいい」と感じた理由として、ボディがとてもコンパクトだったということも影響しているでしょう。なにしろ全長4245×全幅1660×全高1310mmと、現在のクルマよりふた回りくらい小さかったのですから。またこの小ささはドライブデートの時にも効果があり、「マニュアルシフトを5速に入れると、自然と右手の小指が助手席に座っている女のコの太ももに触れちゃうんです」と戸賀編集長は笑います。

高 当然モテました?

戸賀 そりゃあもう! 944ターボの時みたいに、女のコは左側のドアに乗ろうとはしませんでしたから。ポルシェのブランド性というより、有無を言わせない911のブランド力は凄かったですね。それにボディカラーが「赤」というのも効いてたと思います。女性は自分を迎えに来たクルマが一目でわかりますし、また周りの視線が集まることが気持ちよかったんじゃないですかね。

高 うんうん。あの頃の女性は「自分が何に乗っているか」をちゃんと認識していたからね。性能とかはわからなくても、価格やブランド性をわかってて、自分の価値を把握していたんだよね。で、そういう“モノ・ゴト”がわかってる女性って、きちんと俺たちのことに好意を持ってくれたし…。

戸賀 女性ってドライブ中の会話が面白かったりすると、運転席側に身体を寄せつつこちらを向いてくれます。逆につまらないときは窓際に身体を寄せて、風景ばっかり見てます。こういう女性の仕草って今も昔も変わらないので、皆さん覚えておくといいですよ。

高 へえ〜、ポルシェに乗りながら、そういう女性心理をチェックしていたのか。

戸賀 特に911は車内が狭くシートが寄っていたので、女性が自分に興味を持っているかどうかが序実にわかったんですよ。女性が僕のことに好意を抱いている場合、MTを5速に入れると右手が女性の脚に触れちゃいますから(笑)。 まぁ、それは冗談としても…良いクルマに乗ることによって世間的な見方や、社会性を学習! そういうことは944ターボじゃ経験できませんでした。そういう意味では911は素晴らしいクルマだったと思います。

高 ところで、走りの方がどうだったの? 二人で真夜中、第三京浜をカッ飛ばしたっけなぁ。横浜で◯◯◯と■■■■した帰りだっけ。

戸賀 シ〜っ! コンプラに引っかかりますって(笑)。911の空冷フラット6は専門誌やモータージャーナリストの方々が言うとおり、凄くシャープで気持ち良かったですね。また、カレラ4はアンダーステアが強かったんですが、徐々にそのアンダーを消すドラテクを磨くように心がけました。僕も高さんも職業柄、モータージャーナリストやモータースポーツ・カメラマンといった滅法速い人たちの横に乗っけてもらったり一緒に走ったりできたので、ドラテク上達に役立ちましたよね。

高 二人で担当していた『Car EX』誌の企画でドライビングスクールを受けたし、B級ライセンス〜A級ライセンスも取らせてもらったなぁ。

戸賀 20年前のことを思い出すと…今さらですが、カレラ4は本当に良いクルマだったとつくづく思いますね(遠くを見る目)。911に惚れ込んじゃったせいで僕は、自分で言うのもなんですが911ヲタクになっちゃったんですよ。おかげで『Car EX』誌で911特集をやった時、かな〜りマニアックな「911年表」と「911モデル解説」を掲載できたんです。その特集を『カーグラフィック』誌の熊倉編集長がわざわざ電話してきて、「良い特集ですね」とホメてくれたんですよ。

高 でもさ、そんなに気に入ってたカレラ4も、すぐに手放しちゃったんだよね!?

戸賀 う〜む。カレラ4でポルシェのブランド性、911のブランド力の効果効能を実感でき、空冷フラット6のシャープなエンジン特性、4WDのコーナリング特性を体験できたので、もう1回スポーツドライビングを楽しみたいなぁと思ったんです。

高 だからFRで、しかもライトウェイトの968CSを選んだんだね。

戸賀 カレラ4でアンダーステアの消し方を覚えたので、FRに乗ればもっと速く走れるんじゃないかと思ったんです。ちと天狗になってましたかね?

高 いやいやいや、そんなことはなかったと思うよ。だってさ、エビスサーキットでの走行会に参加した時、クルマ業界では滅法速いと評判の某カメラマンに次いで2位だったじゃないか!

戸賀 そうそう。高さんの幼馴染の獣医さんのチームが誘ってくれたんですよね。その獣医さん達は911とかに乗っててかなり速いという噂だったもんだから、高さんは「お金持ちの獣医に負けられるか〜」ってんで、GT-Rを400馬力にまでパワーアップし、おまけに18インチのホイール履いて臨んだんですよね。

高 よく覚えてるね。でも、俺ったら240馬力の968CSと、227馬力のフォード・エスコートRSコスワースに負けちまった(苦笑)。つくづく「軽さ=速さ」だと思い知ったよ。

戸賀 いやいや、「腕の差」ですって!(笑)。968CSは後席も快適装備も取っ払っちゃっているので(※注:日本導入モデルはパワーウィンドウやエアコンを装備)、ノーマルより約50kgも軽くなってるんです。この50kgがサーキットでの限界付近の挙動変化に効くんです。しかも、サスは標準のトーションバーにコイルスプリングを追加し、LSDも装備されていたので、非常にコーナーが気持ちよかったです。240馬力といってもトルクフルかつフレキシブルな出力特性だから、コーナーの立ち上がりがとてもスムーズだったのを覚えてます。

戸賀編集長連載
実は戸賀編集長が自分のクルマでサーキットを走るのは、この968CSが初めてだったのです。あれほど走りが気に入っていた911カレラ4は、クルマを大切にするあまり、一度もサーキットを走っていません(その代わり、関東近郊のワインディングや首都高はガシガシ走っていたとか)。それにしても3リットルの水冷直列4気筒DOHCをフロントに搭載した古典的なFRレイアウトながら、トランスアクスルを採用した重量バランスの良さが幸いして、その走りは非常にソリッドで痛快! 戸賀編集長がスポーツドライビングにハマるのもわかります。

高 へぇ〜、まさにスポーツドライビングにうってつけだったんだね。当初の想いが叶ってよかったじゃないか。

戸賀 はい。でもね、快適装備無し、フルバケットシートというのがデメリットでして、968CSはまったくモテませんでした。ドライブデートした回数はほんの僅かでしたが、その僅かな女のコはきっとかなりの我慢をして助手席に座っていたんだと思います(苦笑)。

高 で、その968CS を1年未満で手放してしまう…と。ガチガチのコーナリングマシンで経験した“ハード系”カーライフに疲れてしまい、次からはガラッと変わったクルマになるんだよね。それは次回、お話ししましょう。

文 高 成浩(POW-DER)


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