
日本人にとって、もはや国民食とも言える日清カップヌードル。これまで、ずいぶんお世話になったのではないでしょうか? そんな我らが相棒を、ポップなアートにしてしまったのが、現代アーティスト、高村総二郎氏です。 日本のアンディ・ウォーホルとも称される巨匠の展覧会、早速Check!
「食べる」ではなく、「飾って愛でる」カップヌードル

ポップアートの先駆者、アンディ・ウォーホルを一躍有名にしたのが、キャンベルのスープ缶のシリーズ。シルクスクリーンという機械的な版画手法で、スープ缶を描くことで、アメリカの大量生産・大量消費を表現したとされています。
日本の場合、キャンベルスープ缶に代わるのは、発売から今年で51年というロングセラー商品、カップヌードルでしょう。高村総二郎氏は、それを題材に、2005年からカップヌードルシリーズを発表。ただし、大きく違うのは、ウォーホルがシルクスクリーン印刷で大量生産したのに対し、高村氏は、日本画の手法を用いて、1作1作ていねいに描いていること。そう、作品はすべて、この世にたったひとつだけの一点物なのです。

高村氏は、定番のカップヌードルだけでなく、カレー味やシーフードといったサブキャラも描いています。西洋発のポップアートを、日本画の技法を用いてつくり出すあたり、なんともアバンギャルドじゃありませんか! いつまでも攻める心を持ち続けたいリッチなオジサンに刺さります。
季節感がいつもと違う形で伝わる、日本の夏といえば「金鳥」です

高村氏が、最近新たに手掛け始めたのが「金鳥」シリーズ。「日本の夏」といえば…、のアレです。今でも様々なシーンで使われている蚊取り線香ですが、このパッケージに哀愁を覚える人も多いのではないでしょうか。
それも、高村氏の手にかかればこの通り! オリジナルが持つ斬新な絵柄や色遣いを活かしつつ、ひねった構図で、みごとな現代アートに仕上がっています。

西洋と日本、緻密さと大胆さ、そして、ユーモアとシニカルな視点。知れば知るほどおもしろい高村作品の探索に出かけてみませんか? 遊び心を感じさせるアートはインテリアのアクセントにもなりますしね!
「高村総二郎展」
会期:7月20日(水)〜26日(火)〈最終日は16時閉場〉
会場: 松坂屋上野店 本館7階美術画廊
高村総二郎
1965年 大阪府生まれ
1988年 京都市立芸術大学日本画専攻卒業
2004年 第10回尖展(京都市美術館)
2008年 第27回損保ジャパン美術財団選抜奨励展(東郷青児美術館)
2011年 第5回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展三頭谷鷹史推奨(豊橋市美術博物館)
2013年 今日の墨の表現展(佐藤美術館)
2014年 尖20回記念展(京都市美術館)、第6回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展準大賞(豊橋市美術博物館)、ホテルニューオーサカ心斎橋
2015年 YUMI KATSURA GLORIOUS RIMPA(PAVILLON VENDÔME FRANCE)
2016年 日本美術全集20巻(小学館)に掲載
パブリックコレクション
豊橋市美術博物館、栃木県立美術館、日清食品ホールディングス
文 村上早苗
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