CAR
“クルマ通”戸賀編集長愛車遍歴
戸賀編集長が語る愛車ヒストリー第29弾。フェラーリ F8 トリブートを選んだ理由とまさかの事態とは? (後編)
出版業界では、かなりのクルマ好きとして知られている戸賀編集長(トガ)。数々のクルマを乗り継いで来た彼が、10年に渡るメンズクラブ編集長という肩書を外し、忖度が無くなった状態のなかで、「どんな基準でクルマを選んでいたのか?」、「そのクルマの魅力はどこなのか?」等を大いに語ります。
話の聞き手は、戸賀編集長が雑誌編集者時代から30年来の付き合いを続けている、フリーランスエディターの菅原(スガ)。若い頃の数年間は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」の二人。そんな二人ならではの昔話、こぼれ話もお楽しみに!
なぜ、フェラーリF8トリブートを選んだのか?
菅原 フェラーリのエンジンは、どんな人でも惹き付けられる感動する音を持っているというトガの意見、そしてクルマ好きなら一度はフェラーリに乗ってみたいと思ってしまうこと、これはまったくその通りだと、俺も思う。 そこでちょっと聞きたいんだけど、なぜ最初のフェラーリにF8を選んだの?
戸賀 その理由は簡単。マクラーレンもミッドシップだったけど、やっぱりフェラーリでも、どうしてもミッドシップが欲しかった、これに尽きる。そして、当時、新車で購入できるミッドシップのフェラーリが、F8とSF90だけだったんだよ。 俺は、モーターを積んでいるハイブリッドのスポーツカーには、まったく興味がなかった。そうなると、最後の純化石燃料エンジン搭載モデルになるであろう、F8を選ぶしかなかった。まぁ、化石燃料だけで動く最後のフェラーリなら、購入後に価格も上がるんじゃないか? と考えたことは否定しないけどね(笑)。
戸賀編集長こだわりのフルオーダー
菅原 まぁ、今の時代にフェラーリを新車で買うとして、ハイブリッドを避けるとなると、選択肢が少なくなるのは当然だよな。でも、新車が好きで、ハイブリッドが好きじゃないトガが選ぶ1台としては、ぴったりな1台だと思う。リセールも期待できるしね。じゃあ続けて質問します。今回のF8トリブートはフルオーダーって言っていたけど、どんなオーダーをかけたの? トガのことだから、きっと細か~い部分までこだわったと思うんだよね。そこの辺りを詳しく聞かせて欲しい。
戸賀 そりゃこだわるよ。フェラーリをフルオーダーするなんて、最初で最後かも知れないし、当時は死ぬまで乗ろうと考えていたからね。細かいオーダーは後で説明するけど、実際にF8が納車される時はかなりドキドキだった。派手なトランポで納車されるんだけど、トランポの屋根が開くと、初めて目にするガンメタのフェラーリが現れる。そしてその足元には、吊るしのフェラーリとは違う5本スポークのホイールが装着されているのが見える訳だ。俺のオーダー通り! 心の中で『やったぁ~~~~~』叫ぶほど興奮した納車だったよ(笑)。
菅原 ちなみにそのホイールはオプションだろ? いくらぐらいしたの?
戸賀 ホイールの価格は覚えていないけど、確か付けたオプションが全部で700万くらいだったと思う。
菅原 さすがフェラーリのオプションだな(笑)。続けて他の部分のオーダーやオプションなんかも教えて欲しい。
戸賀 外装でいくと、ボディの上の方のパーツの素材には、けっこうカーボンを使った。要は、フロントの下回りとか、リアのディフューザーなんかは道路に擦っちゃうから、カーボンを使ってもあまり意味がない。だから下回りのパーツはあえて樹脂にして、目に触れやすいボディ上部のパーツは、見栄えも考えてカーボン素材にしたんだよ。あと、目立つところでは、ブレーキキャリパーを黄色にしたよ。ボディと同色の5本スポークのホイールと黄色のキャリパーの組み合わせは、秀逸だったと今でも思うね。
目指したのは、エレガントでシックなF8
菅原 自画自賛かい(笑)。続いて内装をどうぞ!
戸賀 内装でいくと、ドアの内張もインパネも上の部分は黒、下は全部焦げ茶色でまとめた。俺は、エレガントでシックなF8を創りたかったんだよ。だからシートも焦げ茶色で、伝統のデイトナシートをチョイス。シートベルトも当然、焦げ茶色。で、シートなどに施されるステッチは、全部白を選んだ。
菅原 かなり落ち着いた感じに仕上げたんだな。
戸賀 でも液晶インパネの、真ん中にあるタコメーター(アナログ)は、あえての黄色。センターコンソール前にある、オートマのボタンが並ぶブリッジはカーボンを使ったりして、スポーティな印象も残そうと思った。さらに、助手席に乗る人も楽しめるように、助手席にもモニターを付けて、今の速度とか加速Gなどが分かるようにもしたのは、遊び心って感じかな。
色が違う⁉ まさかの事態が発生!
菅原 ほほぅ、こりゃ、かなりトガ好みの1台に仕上がったんじゃないの?
戸賀 そうなるハズだったんだよ。
菅原 えっ、そうならなかったの?
戸賀 ならなかった。納車されたクルマに乗り込んで、スグに気が付いたことがあった。
菅原 なになに? 何かあったの?
戸賀 あろうことか、すべて白でオーダーしたはずのステッチが、全部、赤だったんだよ。さらに、それだけじゃなかった。
菅原 ステッチの色が違っただけじゃないの? いや、マジでちょっと怖いんだけど。
戸賀 これも衝撃だった。シートベルトが焦げ茶色ではなく、赤だった。
菅原 マジかぁ。いや、それじゃフルオーダーの意味がまったくないじゃん。直すことはできないの?
戸賀 2022年の12月に納車された最終型なので、本国のフェラーリでも対応のしようがなかったらしい。ただステッチは、少しずつ糸を引っ張って染め直すことができるらしいんだけど、染め直した後は、白いデニムは履かないでください、とか言ってきたんだよ。ありえない話しだろ?
菅原 そりゃ、ありえないよ~。でもシートベルトは交換できるんじゃないの?
戸賀 それは俺も考えた。でもフェラーリって、 フロントフードを開けた裏側に小さい黒い板が貼ってあるんだよ。そこに、所有者がどういうオーダーをしたかが、全部書いてあるみたいなんだよね。 だから、その情報と、実際の車両の仕様が違うと、事故車を疑われたりする。だから買えない方が良いですよって、他のディーラーの人からアドバイスを頂いたから、そのままにすることにしたんだよ。
もっと派手な謝罪があっても良いと思う
菅原 購入したディーラーとかフェラーリジャパンは対応してくれなかったの?
戸賀 いや、そりゃ謝罪はしてくれたよ。普通に、『申し訳ありませんでした』みたいな形式的なヤツだけどね。でもさ、安くはない買い物をして、けっこう頭を悩ませながらのフルオーダー、そこから10か月待って、ようやく手元に届いたらこの状況だぜ。もっと派手に謝罪してくれても良かったと思うんだよ。ステッチの色が違うなんていうのは、本当に小さなことなのかも知れないけど、やっぱり乗るたびに気になる。せっかくフェラーリを手に入れたのに、何かが引っかかって、心の底から喜べない自分がいる。
菅原 そういえば、そのミスが起こった原因は分かったの?
戸賀 最初は、ディーラーの担当と、「言った、言わない」みたいな感じになったりしたけど、最終的には、ディーラーでもフェラーリジャパンでもなく、本国のミスだったということが分かった。 この一件、俺にとっては、けっこう大きな事件だったんだよ。
菅原 いや、かなり大きい事件だと思うよ。でもその後は、泣き寝入りじゃないけど、そのままの状態で所有していたの?
戸賀 そうなるね。でもさスガ、俺にはクルマを大事にしすぎるところがあるじゃん。やっぱり自分の所有したクルマは大事に乗ってあげたいんだよ。だからマクラーレンと同様、F8も雨の日は一度も乗らなかった。結局、1年半強所有したけど、常にキレイな状態で、本当に大事に乗っていたと思うよ。これは個体差なのかも知れないけど、俺のF8はタイヤの空気圧がすぐ下がるから、給油のたびに空気を入れていた思い出があるし、フェラーリと言えばバッテリーが弱点なんだけど、これもジャクリーのポータブル電源を購入して、電源のない立体駐車場でも、なんとかバッテリー上がりをしのいだ思い出もある。バッテリー上がりで悩んでいる、立体駐車場のフェラーリオーナーにはおススメだね。
何があっても、フェラーリのエンジン音は最強!
菅原 残念なことはあったけど、フェラーリとの思い出はちゃんとある訳だ(笑)。クルマ自体はずっと好きだったんだな。
戸賀 当たり前だろ。やっぱりフェラーリのエンジン音は最強! 世界で一番良い音だと思う。911のフラット6も良いけど、フェラーリのV8の音は比じゃないと思う。パワーの出方も凄かったしね。でも、フェラーリは458、488、F8と進化してきたんだけど、458が出たのは2010年だから、F8まで14年間、同じシャシーで引っ張ってきたわけだよね。だから、ボディがちょっと緩かったことは否めない。でも911より乗り心地は良かった感じはする。内装は芸術的に美しいし、デートカーにしたら最高の1台かも知れないね。
菅原 でも、残念ながら、トガのF8はステッチの色が違ったと。
戸賀 うるさいよ(笑)。でもなスガ、2000~3000回転くらいしか回さない慣らし運転レベルでも、本当にめちゃくちゃ音が良いんだよ、フェラーリって。ストレスは発散できるし、優越感にも浸れる最強のマシンだったと思う。なのに悲しいかな、俺とは不遇の出会いから始まっちゃったんだよね。
菅原 ところでトガ、このF8トリブートも手離すことになったようだけど、やっぱり欲しいと言ってくれる人が出てきたの?
戸賀 そうだね。クルマとしては本当に良いクルマだし、ステッチやシートベルトにしたって、俺のオーダーと違っただけで何の問題もないからね。1年半強だけど、本当に大事にしてきたから、自信をもって送り出すことができたよ。でもちょっと残念だったこともある。最後の純化石燃料エンジンだったのに、価格にほとんど変動がなかったんだよね。もっと上がると思っていたんだけど、そこは本当に残念。
菅原 トガくん、毎回毎回、そんなに上手くいく訳はないのだよ(笑)。
次回に続く!
フェラーリ F8トリブート
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4611×1979×1206mm
ホイールベース:2650mm
車重:1330kg
駆動方式:MR
エンジン:3902㏄V8 DOHC ツインターボ
トランスミッション:7DCT
最高出力:720ps/8000rpm
最大トルク:78.5kgm(770Nm)/3250rpm
価格:¥33,280,000(2019年)
文 菅原 晃
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