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購入できなくても実物を見てみたい
フェルッチオ・ランボルギーニの創業精神を受け継ぐ60周年記念モデル
![フェルッチオ・ランボルギーニの創業精神を受け継ぐ60周年記念モデル](/wp-content/uploads/2023/04/lamborghini_0427_2023_000.jpg)
シザー・ドアが上空に向かって跳ね上がる。スーパーカー世代にはたまらないランボルギーニの新型12気筒モデル「レヴエルト」が、”公共の場で”初披露されました。場所は、通称、ミラノ・サローネこと、デザイン・ウィーク2023。
今年3月に本社で限られた人を招いて公開はされたものの、一般の目に触れるのは今回が初めて。加えて、ランボルギーニの創業60周年を記念する3台のモデルも同時に発表されました。「ウラカンEVOスパイダー」「ウラカンSTO」「ウラカン テクニカ」の3機種は、それぞれ60台のみと限られた台数のみが生産される予定です。
北イタリアの小さな村で産声を上げたスーパー・スポーツカー・ブランドは、2023年で創業から60周年。5月24日の記念日を迎えるにあたって、年初から各国でイベントを開催しており、1月にはサンタガタ村にある本社に隣接する博物館の改装に伴うイベントが行われました。日本でも、鈴鹿サーキットで60周年イベントを終えたばかりで、4月29日には英国の有名サーキットであるシルバーストーンでのイベントを予定しており、創業から60年目にあたる5月24日には地元ボローニャのど真ん中にあるマッジョーレ広場で150台以上のランボルギーニが集まって美しさを競うコンクール・デレガンスが開催される予定です。
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ミラノサローネの会場に展示された3種の記念モデルのうち、「ウラカンEVOスパイダー」は、ルマン・ブルーまたはヴェルデ・バイパーのボディカラーに白のレーシング・ストライプが施されている。2本のレーシング・ストライプがボンネット上にくっきりと引かれたエクステリア・デザインからは、このクルマが明らかにモーター・スポーツを意識していると感じ取れることでしょう。「ウラカンSTO」はブルーまたはグレーを貴重としたボディカラーを、「ウラカン テクニカ」はイタリアの国旗である3色旗をベースにモータースポーツをイメージするデザインを身に纏っています。しかも、よく見ると、ドアに描かれたり、シートに刺繍されている60thのロゴには牛の角がデザインされており、創業者のフェルッチオ・ランボルギーニが跳ね馬のバッジを掲げるフェラーリに対抗して、暴れ牛をシンボルにしたことはファンの間では有名な話。
情熱家として知られるが、実はクールなビジネスマン
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せっかくなので、ランボルギーニの創業時の物語に触れておこう。そもそも、創業者であるフェルッチオ・ランボルギーニ氏は、なぜ、スーパー・スポーツカーを作ろうとしたのだろうか?当時すでに、隣接するモデナにあるフェラーリは素晴らしいスーパー・スポーツカーを生産していたにもかかわらず、だ。実は、トラクターの製造で成功した後、意気揚々とフェラーリを手に入れたのだが、よく壊れる上に、クラッチの部品を注文したら、自社のトラックと同じ部品が数倍の価格の請求書と共に届いたことに腹を立てて、一念発起して自社でスーパーカーを生産したという逸話があるのです。
ただ、創業当時を知る人の話を総合すると、実際には、ビジネスに長けていたフェルッチオが「フェラーリを超える性能のスーパー・スポーツカーを作って儲けるぞ!」と発想したほうが正しいように思える。実際、10年前にイタリア本社で開催された50周年イベントに参加した際に、創業メンバーにインタビューしたのだが、彼らの弁によれば、フェルッチオは名うてのビジネスマンだったらしい。
もちろん、スーパー・スポーツカーを名乗るからには、性能面では一切の妥協なし。一番最初のコンセプトカーである「350 GTV」の設計を手掛けたのは、当時のレースシーンを席巻したアルファロメオやフェラーリで数多の名車を開発した鬼才、ジョット・ビッザリーニ。このクルマのエクステリア・デザインを手掛けたのが、こちらも天才との呼び名も高いフランコ・スカリオーネでした。性能に裏打ちされたカッコよさ、エキゾチックなスタイリングの魅力といった要素は、現代のランボルギーニにも通じるものがあるでしょう。その後に、元祖スーパーカーともいる「ミウラ」や「カウンタック」が続々と生み出されることになるのです。
イタリアでは、速さとカッコよさが正義
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そんな創業精神が宿る60周年記念モデルと12気筒エンジンを積むフラグシップモデルを同時に公開する場に、ミラノサローネというデザインの祭典を選んだというのも、いかにもイタリアらしい。この国では、魅力的なスタイリングは大前提であり、なおかつ、老若男女ともにクルマ好き。実際、スーパー・スポーツカーに限らず、クラシック・カーやオープン・カーといった魅力的なクルマで走っていると、お惣菜屋のおばちゃんや子どもたちまでが手を降って歓迎してくれるのですから。魅力的なクルマでカフェに乗り付けようものなら、町ゆく人たちが寄ってきて、あれこれ質問攻めにあうくらいです。今回発表されたフラッグシップV12モデルと60周年記念モデルはともに、一般の人にとっては手の届かない存在ではあるものの、ミラノ・サローネのような広く一般に開かれたデザインの祭典で披露することで、ミラノの町ゆく人たちに大いに歓迎されていました。そう、この国では、性能に裏打ちされたカッコよさ、エキゾチックで魅力的なスタイリング、そうした個性こそが正義なのです。リッチなオジサンたちにとってもたまらない世界観でしょう。
アウトモービリ・ランボルギーニ
https://www.lamborghini.com/jp-en
※外部サイトに移動します
文 川端由美
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