田村星都

秋本番、しっとりとアートを愛でる絶好の季節の到来です。バスキアやバンクシーもいいけれど、マチュアなオヤジとしては、そろそろ日本ならではの芸術も抑えておきたいところ。伝統と新しさを併せ持つ、「九谷焼×毛筆細字×万葉仮名」の作品を紡ぎ出す新進女流作家、田村星都さんをフューチャーします!

「九谷毛筆細字」を操れるのは、世界でも田村親子だけ!

田村星都

17世紀半ば、前田利家公の孫、前田利治公のもとで開窯されたと言われる九谷焼。華やかな色使いとダイナミックな絵で、今も昔も、世界中から憧憬を集める日本を代表する芸術のひとつです。 その九谷焼に新たな価値をプラスしたのが、明治時代に誕生した「九谷毛筆細字」。器の内側に毛筆で細文字を描くというこの技法、現在では、田村星都さんとその父、田村敬星さん親子のみが担う、稀有な技とされています。

超絶テクニックが生む魂の作品

田村星都
(画像=細字古今集賀歌茶盌(寸法:径12㎝、高さ7.7㎝) ¥96,800(税込))

たとえば、この「細字古今集賀歌茶盌」の場合。茶盌の内側には、古今集の、繁栄と長寿を願う「賀の歌」10首が、流れるような筆致で美しく描かれています。とはいえ、書道とは似て非なるもの。湾曲した面に、粘り気のある釉薬を用いて描くため、独特の筆使いが求められるのだとか。習得に膨大な時間がかかる、一子相伝も納得の超絶テクニックの賜物なのです。

また、素地づくりと上絵付けが分業制で行われる九谷焼ですが、田村星都さんは、茶盌も自身でろくろをひいて制作。この「細字古今集賀歌茶盌」のように、優美な万葉仮名に合わせ、白い釉薬に銀を混ぜ込んで吹き付けを施し、やさしい風合いに仕上げています。すべて自身で手がけるからこそ、細部にまで作家のこだわりが投影された作品が生まれるのでしょう。

九谷焼×毛筆細字×万葉仮名が織り成すオンリーワンの美

田村星都
(画像=細字萬葉集赤絵洋杯(寸法:径8.3x高さ7cm)¥00,000(税込))

こちらの「細字萬葉集赤絵洋杯盃」は、梅・桜・紅葉など、万葉集から引用した季節の花の歌を内側に描いた作品。表面は、九谷らしい五彩を用いた赤絵で万葉の花のイメージを描き、華やかさと優美さを兼ね備えています。 九谷焼と毛筆細字、そして万葉仮名という、日本の伝統美を堪能できる名品は、自分の宝物にするのはもちろん、外国人へのプレゼントにしても喜ばれそうです。

一子相伝の技に出会うチャンス

「九谷毛筆細字」を用いて、流麗でエレガント、そして、モダンな作品を生み出す田村星都さん。新進女性作家としても注目されている彼女の作陶展が、10月6日(水)~12日(火)、松坂屋名古屋店本館8階美術第二画廊で開かれます。新作約70点がそろうというから、見ごたえは抜群。他には類を見ない伝統の技と新しい感性が織り成す新しい芸術作品に出合うチャンス、お見逃しなく!

田村星都作陶展
2021.10.6 (wed) - 2021.10.12 (tue)
場所:松坂屋名古屋店 本館8階美術画廊
問い合わせ先:052-251-1111
https://www.matsuzakaya.co.jp/nagoya/access.html

Staff
文_村上早苗


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