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“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴 Vol.19

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第18弾! 今回は時系列を元に戻して3台目のBMW、グランクーペの思い出

2023.08.15

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戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第18弾! 今回は時系列を元に戻して3台目のBMW、グランクーペの思い出

業界でも屈指の “クルマ通”である戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼が「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を語ります。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば幸いです。話の聞き手は、戸賀編集長の雑誌編集者時代の同期、フリーランスエディターの菅原。若い頃の数年間は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」の二人。そんな二人ならではの昔話、こぼれ話もお楽しみにください!

戸賀 グランクーペを語るには、まずそこに行きつくまでの過程から入ろうか?

菅原 おっ、今回はやる気じゃん!

戸賀 俺はいつも真面目にやっていますが(笑)。じつはグランクーペに行き着くまでに、過去に乗っていたメルセデスのCLSが関係してくるんだよ。

菅原 CLSについては、確か、高さんとも話していたよな。

戸賀 そうそう。あの時にも言ったんだけど、CLSって当時のクルマ関係者や評論家から、「メルセデスのカリーナED」とか、「リアシートに座る時、ピラーに頭をぶつける」とか評価は散々だったけど、じつは大当たりした車なんだよ。車自体はちゃんとしたEクラスだし、実用性は若干削るかも知れないけど、あのクーペのような流麗で美しいフォルムは本当に素晴らしかった。やっぱりクルマはプロポーションが大事だということに、メルセデスもようやく気が付いてCLSを出してきたんだろうね。

菅原 良い意味で、当時のメルセデスらしくない、本当に美しい4ドア・ハードトップだったよな。

戸賀 その対抗馬としてBMWが出してきたのが、このグランクーペだった訳だ。ライバルであるCLSに乗っていた俺が黙って見逃す訳がない(笑)。さらに言えば、グランクーペのベースは5シリーズだろ? 俺はBMWの5シリーズには何故か縁がなくて、それまで乗ってこれなかったんだよ。でも若い頃にお世話になった人たちが乗っていたクルマが、何故か、ことごとく5シリーズだった。だから、BMWの5はある意味、当時の憧れのクルマだったんだよ。

菅原 なるほど。BMWが造った、「CLSの対抗馬」にして、若い頃に憧れていた5シリーズの要素を持つクルマが、グランクーペという訳か。

戸賀 その通り。乱暴に言ってしまえば、5シリーズのボディ形状をワイド&ローにしたのがグランクーペだろ? このチャンスに飛びついてしまうのは無理もないと思うんだよね(笑)。

グランクーペはモテるクルマだったのか?

戸賀 で、購入したのが、シルバーに近い薄~い水色のボディカラーに黒い内装の640だったんだよ。

菅原 実際に所有してみた640は、どんなクルマだったの?

戸賀 俺としては、CLSみたいにモテるクルマだと思っていたのが本音(笑)。BMWが造っているしね。ところが、これが思った以上にモテなかったんだよ。例えば、CLSは男からも、「これが話題のCLSですか!」なんて感じで人気があったし、実際に女の子にも人気があった。でも、グランクーペは車としては良いクルマなのに、何故か女の子にもまったくモテなかった。BMWなのに(笑)。

菅原 そりゃ、なんで?

戸賀 これは俺の解釈なんだけど、BMWってドイツ車なのに、少なくともメルセデスよりはラテンが入っていて色気があって、艶っぽいよね? もともとそういうメーカーだったのに、あらためてグランクーペをCLSの対抗馬として出してきても、「何をいまさら」って感じはあったと思うんだよ。出すなら、CLSを圧倒するくらいの出来なら売れたと思うんだけど、内装なんて、ほぼCLSと変わらなかったし、リアシートもCLSよりただ狭いだけで、何も攻めてない。割り切って4座にしちゃうとかすれば良かったのに、すべてが中途半端だったんだよね。

菅原 CLSって、突然変異って感じで世に出したクルマだったから、メルセデスもいろいろ試したのに、BMWは何も攻めてこなかったって感じ?

戸賀 そう、メルセデスは冒険したのに、BMWは冒険できなかったって感じかな。俺が思うにBMWは、昔から色気があって、艶っぽい車が造れるブランドなんだから、時代を先取りするCLSみたいなクルマも造れたはずなんだよ。だからグランクーペみたいなクルマは、まずBMWに出して欲しかった。

菅原 確かに。

BMWの本質とは何だ?

戸賀 俺は、ラテンを感じることができるだけじゃなく、流麗で美しいフォルムを持ち、最高に気持ちいいエンジンを載せているクルマを造れるのはBMWだけだと思っているんだよ。昔、中井貴一さんが乗っていた二代目の6を運転させてもらったことがあるんだけど、めちゃくちゃ速くて、めちゃくちゃ美しかった。それが俺のBMWのイメージの原点みたいなもの。でも残念ながら、その時のイメージをグランクーペには感じなかった。

菅原 トガはその当時、BMWにもっと攻めたクルマ造りを求めていたってこと?

戸賀 う~ん、攻めたクルマ造りもそうだけど、もっとBMWが持つ、本来のBMWらしさを感じることができるグランクーペが見たかったって感じかな。だから、3とか5の奇数のシリーズは質実剛健、4とか6の偶数はエレガント、みたいな分け方は、わざわざしなくてもいいと思うんだよなぁ。質実剛健もエレガントさも、ラテンののりもセクシーさも内包しているのが、BMWの本質であり、カッコ良さという気がする。

菅原 なるほど。質実剛健、エレガント、ラテンののり、セクシーさを併せ持つのがBMWの魅力というのは俺も賛成だな。同じような考えのオジサンは多いと思うよ。ところでトガくん、このグランクーペ、一体どのくらいの期間所有していたのかな?

戸賀 確か、友人がどうしても売って欲しいと言ってきたので、6か月だった記憶があるな(笑)。俺は、欲しいと言ってくれた人が出てきた時が売り時だと思っているので、そりゃもう、躊躇なく手離しました(笑)。でも、この後に購入するのもBMWなんだよ。もともと俺はドイツ車が大好きだし、グランクーペも走りや色気みたいな部分でいえば、とても良いクルマだった。でも、それをさらに超える色気、エレガントさを持っているクルマがBMWにあったんだよ。とくれば、あれしかないよな。スガ、次回はあのクルマでいこう。

BMW 640
全長×全幅×全高:5010mm×1895mm×1390mm
ホイールベース:2970mm
駆動方式:FR
車両重量:1860kg
最高出力:235kW (320 PS)/5800rpm
最大トルク:450 N・m (45.9Kg・m) /1300~4500rpm
エンジン:直列6気筒DOHCターボ
総排気量:2979cc
価格:¥9,860,000(税込み)※2012年当時

文 菅原 晃

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2024年12月8日(日)パネライ大丸心斎橋ブティックにて戸賀編集長のショッピングアドバイス

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