FASHION
ラグジュアリーなライフスタイルを自ら体現
人気スタイリスト櫻井賢之が愛用する時計・服・クルマの選び方

装いを作り出し提案するプロであるスタイリスト。なかでも櫻井さんは、ファッション誌や広告、そしてタレントまで手掛けるトップクリエーターです。クラシックな装いから最先端のモードスタイルにまで精通し、繰り出す多彩なテクニックは業界随一との呼び声も。そんなスペシャリストは一体どんなアイテムをチョイスし愛用しているのか? 知られざるお洒落達人のセレクトセンスに迫ります。
常に新しいモノを追いかけていたい
良いモノを見分けるには、常に極上品に触れ合う必要があります。ファッションスタイリストこそは、毎日の仕事のなかで世界中の傑作や最先端のアイテムを直接見て触って組みあわせるお洒落の達人。メンズのラグジュアリースタイルを提案するだけでなく、今を時めく俳優やミュージシャンのスタイリングを手掛ける櫻井さんは、日本のトップスタイリストと言える存在です。しかも自身の着こなしも非常にお洒落と高い評価を得ています。そんなエキスパートは、どういったアイテムに興味を持っているのでしょう?
「職業柄、できるだけ多くの情報をチェックするように心がけています。しかし、自分が身に着けるアイテムとなると、結構絞られます。とは言え絶対にこのブランドでなければダメということはありません。一度気に入ったブランドでも、次のシーズンは気分ではなくて身に着けない、なんてことも。おそらく飽きっぽいのでしょう(笑)。その時々に直感的にハマッたアイテムを、積極的に取り入れているつもりです。なんというか常に新しいモノを追いかけていたい。そんな性分なんですね」

「大事な会食の時などは、やっぱりテーラードスタイルが基本。サンローランのイブニングやジャケットは特にお気に入りです。ベースはクラシックにして研ぎ澄まされたデザインであり、非常に高い完成度を感じます。その他、メゾン マルジェラのガラジャケットも特別なシーンで着用しています。もちろん普段着は動きやすいカジュアルなアイテムがメイン。今日の着こなしもストックホルムサーフクラブのスウェットに、ルイ・ヴィトンのデニムパンツ。動きやすく着心地の良いものを選んでいます」
最近手に入れたアイテムはどんなもの?
「今シーズンからメンズラインがスタートしたシモーネ・ロシャのブルゾンやマリナ イーの折り紙ジャケットなどが最近のお気に入りです。また、ジル・サンダーやOAMCといったブランドのものは、毎シーズン何かしらを買っています。昨今注目しているものとなると、ニューテーラードなスタイルでしょうか。今季のダンヒルやザ・ロウなどのクリエーションは非常に今っぽいエッジがあると感じます。また、マチュー・ブレイジーが手掛けるボッテガ・ヴェネタも非常に興味深い存在ですね」
時計は自分の足跡をカタチにしたアクセサリー

そんな櫻井スタイルを引き立てる小物として見逃せないのが、アクセサリーや装飾品。とりわけゴールドのロレックス「デイトナ」は、二度見するほどにきらびやか!
「これまでいろいろな時計を手に入れました。ジラール・ペルゴやジャガー・ルクルト、それにエルメスなどなど。若い頃はルックスが気に入るかどうかでチョイスしましたが、最近は自分の足跡を表すアイテムとして選び出しています。このロレックス『デイトナ』がまさにそう。2020東京オリンピックでの仕事をやり遂げたときのもの。だからその証として特別な時計を探しました」
海外で見つけたという一本は2003〜4年製造のF番で、ホワイト文字盤。経年によりアイボリー風に焼けてくるところもポイントだとか。ブレスレットはカルティエの「ジュストアンクル」。ジュストアンクルは自分の生まれた71年に誕生したというストーリーもあって、愛用しています。エメラルド付きのリングはノブ イケグチ。ゴールドで統一したハンドゾーンは実にリッチでスタイリッシュ。これはぜひ参考にしたいところ!
趣味の時間で使う遊び専用時計

一方、遊び専用の時計を別途用意するのも櫻井流。こちらはメモリアルな視点ではなく使い勝手を重視したチョイスとのこと。
「スタイルもシーンによって替えるように、アクティブなオフの日はドレスウォッチではなく気兼ねなく使い倒せる時計が必要です。そんなシーンではダイバーズのようなタフで機能的なモデルが便利。さらに、カジュアルスタイルを引き立ててくれるようなエッジを兼備した一本が僕の理想です。そう言う意味で、トム・フォードの時計はデザイン的にも素晴らしく、ベルトで遊べるというオプションも楽しめるユニークなモデルです」
遊びの時計として愛用するトム フォード タイムピースの「002」。エコな海洋プラスチックをケースに用いたダイバーズです。明快なフォントによる2桁インデックスがモードな洒落感を放ちます。このシリーズは別売りベルトが多彩にリリースされており、好みに応じて“お着換え”を楽しめるところもポイント。
シルバーではなく、あえてのゴールドで差別化を

時計はオンオフ問わず必ず身に着けると言う櫻井さん。そして櫻井流ハンドゾーンを作り上げる要素としてブレスレットやリングなどのアクセサリーも見逃せません。2020年に購入したロレックス「デイトナ」を起点に、それら装身具もゴールドにシフトしたと振り返ります。
「現在はブレスレットもリングも、そしてネックレスもゴールドで揃えています。統一していたほうがルックス的にもまとまって見えますから。その辺は非常に凝り性なので、最近はヘアスタイルまでゴールドに(笑)。金色は肌馴染みが良いのと同時に、変わらない輝きや、その価値に惹きつけられているように思います」
デイトナを着けた反対の腕には、エルメスの傑作ブレスレットである「シェーヌ ダンクル」が。しかもゴールドというのが特別感を煽ります。ポップなカジュアルスタイルに圧倒的な大人の重みを添える洗練されたアクセ使い。さすがのバランス・センスと言えるでしょう!
ポルシェ カイエンはオン・オフすべてのニーズを満たした一台

スタイリストという職業には、いくつかの必需品があります。なかでもクルマは企画に合わせて借りだした大量の衣服や装飾品を、撮影現場にまで運搬するギアとして欠かせないアイテム。売れっ子スタイリストは、あるモデルを長年にわたって乗り続けていると語ります。
「ポルシェのカイエンは本当の意味で僕の相棒。仕事からプライベートまでをフォローする足として、すでに5台を乗り継いでます。非常に気に入ってはいるのですが、買い替えのタイミング等で必ずアタマをよぎるのがメルセデスのゲレンデ(笑)。カイエンと異なり古くなってもそれなりに味が出ますし、何と言ってもゲレンデはリセールバリューが魅力的。ただ、ドライビングプレジャーとなると、やはりカイエンのターボモデルに軍配が上がります。911譲りのスポーツ走行が楽しめるSUVとしては、唯一無二の存在でしょう。仕事に必要な洋服を積み込めつつ運動性も抜群。そしておもてなしの面でもカイエンは申し分ありません。僕はパーソナルスタイリングも手掛けており、タレントさんや企業のトップをショップに連れていくこともしばしば。そういった時にラグジュアリーなレザーシートを始めとする質感の高いインテリア、クオリティに優れたサウンドシステムを組み込んだカイエンは、いわば走る応接室。僕が必要とするニーズをしっかり網羅しているのです。だからきっと、これからも乗り続けるに違いありません」

メンズスタイルの基本であるクラシックな視点を持ちつつ、先端のモードエッセンスを積極的に取り入れている櫻井さん。彼の日常の着こなしを見ることでも、その類稀なセンスが感じられます。自己のスタンスを「特定のスタイルに囚われず、気に入ったものを追及しているだけ」と謙遜気味に評します。しかし、だからこそ時代に沿ったしなやかな提案が可能なのかもしれません。なかでもさり気なくもインパクト十分なゴールドスタイルは、リッチなオジサンの、ある意味究極的な装い方。非常に大胆ですが、こういったセンスはぜひ見習いたいところです!
Profile
櫻井賢之
スタイリスト
1971年、東京生まれ。ファッション誌編集部員を経て2001年よりフリーランスのスタイリストとして活動を始める。現在はレディスを含めメンズファッション誌から広告に加え、音楽や芸能シーンとマルチに活動の幅を広げている。クラシックからモードまでの幅広い知識から構築する、論理的かつ洗練されたスタイリングは特に高い評価を受けている。
撮影 鈴木克典
文 長谷川 剛
編集 藤倉大輔

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