CAR
“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴 Vol.10
戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第9弾!「日常の“足”クルマが欲しかったんですよ」

業界でも屈指の “クルマ通”である戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼が「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を語ります。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば…と思います。前回のポルシェ911カレラ(996後期型)と同時に所有していたフランス車についてのお話。若き日の戸賀編集長は、人生初のフランス車に乗って、何を学んだんでしょうか!? 聞き手は戸賀編集長の雑誌編集者時代の先輩、フリーランスエディターの高(「“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴」参照)です。
「肩肘張らずに乗れるクルマって、意外と気持ちいいんです!」
高 996後期型の911カレラの助手席を倒し、後席に作ったスペースにキャディバッグを積んで、毎週のようにゴルフに出かけてたんだよね。キャディバッグを苦労して積むのも大変だし、マニュアルトランスミッションで自宅と郊外のゴルフ場を往復するのも疲れちゃったんじゃないの? 帰りは渋滞になる時もあったろうに…。
戸賀 いや、まぁ…でも、2駆のマニュアルの911カレラはバランスが取れたスポーツカーだったので、運転していて疲れることはあまり無かったですね。強いて言うなら渋滞くらいか。ただ、キャディバッグを積むとバッグの底や金具で、内装が傷ついちゃうのが嫌で…いっそのことゴルフにも行けて買い物とかにも使える“足”クルマを買っちゃおうかと思ったんです。で、買ったのがプジョー307です。

高 また10年くらい経って、セカンドカー生活を送りたくなったと? で、今度はフランスのハッチバックか。ヨーロッパCセグメント車の307は、306の後継車として2001年暮れに発売されたんだっけ。当時のヨーロッパ車はモデルチェンジのたびに軒並みボディがデカくなって、この307もその例に洩れずそこそこデカかった気がする。当時、広報車を乗った時、「もはやCセグじゃないんじゃないの!?」と感じた記憶があるなぁ。その代わり室内がとても広かったのを覚えているよ。特に天井が高くて、また窓が大きいこともあって、凄く広々とした印象だったなぁ。その307なら余裕でキャディバッグを積めたでしょ! そうそう、フルモデルチェンジに伴って豪華装備&オプションが豊富になって、高級感が増した印象もあったっけ。
戸賀 僕が選んだのは発売の1年後、2002年に追加された「スタイル」というグレードなので、高級感とかプレミアム性とかとは無縁な輸入車(笑)。っていうか、バブルが弾けてちょっと落ち着いた当時は、クルマの価値判断がそれまでの「デカくて速くて高い」から、「小さくて効率の良いエンジン&使い勝手の良好なサイズ&等身大のプライス」へと変わりつつあったんです。だから、僕はセカンドカーとして、そういうベーシックカーを試してみたんですよ。当時、プジョーの人気が出始めた頃で、業界人にも一般の人の間でも注目が高まっていたんです。それでいて街にはあんまり走っていなくて…。そんな時代に307のトップグレードでもなくオープンモデルでもなく、廉価版と言ってもいいグレードのスタイルに乗ってるのって、自分も周りの人も「ああっ、(クルマのことを)わかってるんだな!」ってなるじゃないですか。
高 う〜む。あいかわらず戸賀っちの洞察力…というか、“世間の目”を意識したクルマ選びの的確さには感服するよ。自分のクルマやファッションやライフスタイルを自慢するのではなく、周り(世間)から「どう見られているか?「どのように評価されるか?」を考えるべきなんだね。で、その307スタイルのインプレッションはどうだったの?
戸賀 乗ってすぐに感銘を受けたのが、サスペンション…乗り心地の良さですね。ほらっ、昔から「プジョーの足回りは猫足」って言われてたじゃないですか!? 「道がデコボコしてタイヤが激しく上下してもボディは一定のまま」という様を、猫が高い所から飛び降りても衝撃を足が吸収してフワッと着地する様子に例えた、クルマ業界では有名な定説! あの言葉って、ホントに“真”を突いているんだなと感じました。
高 そうそう、「フランスは石畳の道が多いから乗り心地が良い」っていう説も、あったよね。俺はフランスの石畳なんて走ったことないけど、きっと酷いガタガタなんだろうな。
戸賀 そうですね。ガタガタの石畳で鍛えられたプジョーにとっては、日本の道路のデコボコなんて、まるで真っ平らの道みたいなもんでしょ。いや、ホントに307のサスペンションはしなやかでしたよ。そんな極上の乗り心地が、廉価版のスタイルでも実現しているところが、プジョーの凄いところとも言えます。

高 んじゃあ、307は女性ウケも良かったんじゃない?
戸賀 307はサスペンションだけじゃなく、シートもしっとりとソフトだったので、助手席インプレッションは上々でしたね。また、メルセデスやポルシェにはない“フランスのエスプリ”を、女性は敏感に感じ取っていたと思います。だから、307はデートに最適でしたよ。レザーシートじゃなかったんですけどね(笑)。ところが、そんなにお気に入りだった307ですが、当時『MEN`S EX』の先輩で副編だった松尾さん(現・『THE RAKE JAPAN』編集長)が「どうしても欲しい」って言うもんだから、1年くらいで彼に売っちゃったんですよ。僕はクルマの売り時って「欲しい人が現れた時がいちばん」だと思ってますから、すぐに彼に譲りました。だって、気に入った人に乗ってもらうのが良いでしょ!?
高 クルマの売り時か…、それも一理あるね。で、セカンドカーはどうしたの?
戸賀 307に乗っていたら「足クルマはもっと小さくてもいい」と感じたので、同じくプジョーの206を買いました。これもグレードは「スタイル」です。307スタイルが1.6リットル直4DOHCで108PSだったのに対して、206スタイルは1.4リットル直4DOHCで74PSと、かなりアンダーパワーになってしまいました。でも、車重の軽さが幸いしてか…かったるさはあまり感じませんでしたね。むしろコンパクトなボディは非常に取り回しがよく、ATでもかったるさは感じなくて、気持ち良く走れましたね。アンダーパワーだからこそ、猫足の良さがダイレクトに感じられたとも言えますね。
高 ふ〜ん。フランス車の本髄とともに、「クルマはパワーや速さや押し出しの強さだけじゃない」というクルマ選びの本質も教えてくれたのは、プジョー307スタイルと206スタイルだったんだね。これって、現代のクルマ選びにも通用する基準だな。
文 高 成浩(POW-DER)

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