CAR
フェラーリ296GTSの試乗インプレッション
V6ターボ+モーター×オープントップ=296GTS超官能的な走りを具現化するフェラーリの新方程式

フェラーリの…(いや、世界中のスーパースポーツカーの)未来を担うV6ターボエンジン+プラグイン・ハイブリッド・システム搭載のモデルに、オープントップが追加! その走りをモータージャーナリスト九島辰也さんがリポートします。
見て、聞いて、感じて…! すべてが気持ちいい296GTS!!
プロサングエの登場でフェラーリの周りがにわかにざわついている気がします。彼らが提案する新しいSUV?的な4ドアスーパーカーに世のカーガイたちは興味津々といったところでしょう。ドアが観音開きってだけで「へえ〜、そうなんだ」なんて感心しちゃいます。
電動化も同じように話題です。SF90ストラダーレ以降、フェラーリのプラグインハイブリッドモデルの増殖は止められません。V6+モーターの296GTBもそう。しかも最高出力はなんと830cvですから驚かされます。自然吸気12気筒ユニットの812GTSが800cvと聞くと、「どういうこと?」って思います。シリンダーの数は半分なのに……。なんて感じの昨今のフェラーリですが、創業以来欠かせないジャンルのモデルがあるのにお気づきでしょうか。それは日本流でいうところのオープンカー。過去のモデルを紐解けばお分かりいただけるように、「フェラーリといえばオープントップモデル」と言えるくらい、オープンエアモータリングを提供しています。ここ数年人気を集めていたカリフォルニアもそのひとつ。1950年代にリリースされた250GTカリフォルニアのオマージュとなります。確かオリジナルのデザインは当時スカリエッティが手がけました。
と言った背景からもわかるように、296GTBにも屋根の開く296GTSが用意されます。ジャパンプレミアは鈴鹿サーキットで行われた“フェラーリ・レーシング・デイズ2022”でした。そして先般、イタリアでメディア向け国際試乗会が開催され、参加して来ました。


よって実車を見るのはこれで二度目となります。今回はピサ近郊の地中海に面したリゾートでの対面です。“2”から始めるネーミングと“V6”のイメージからコンパクトなモデルに思われがちですが、それは間違い。堂々としたサイズと迫力のフォルムに圧倒されます。試乗前に複数台並んだ景色は壮観です。
特徴は、もちろんアルミニウム製リトラクタブルハードトップに他なりません。開閉時間は14秒、時速45キロ以下であれば走行中も稼働できるとアナウンスされました。車両重量はクローズドの296GTBに対し+70キロだそうです。65キロがオープントップシステムで、残りがボディの補強にあてがわれました。
素晴らしいのはトップを開けた状態でもミッドに積んだV6ユニットを外から見られること。通常この手のモデルは屋根開きになると見えなくなるものです。ただ、バンク角が広くかなり低く積んでいるので、それほどハッキリは見えませんがね。それでも個人的には立派だと思います。

ちなみに、このV6ユニットに関して各メディアからV12エンジンの半分を切り取ったものなのかという質問があるそうです。ですが、冷静に考えてください。812GTSに積まれるV12のバンク角は65度、それに対し296GTSは120度となります。それはバンク角の間に2つのタービンを装備するからです。要するにこのV6は全くの新設計ということですね。
では、実際に走らせた印象へ話を進めましょう。コースはトスカーナの西海岸からしばらく海岸線を走りアウトストラーダへ入ります。一度フィレンツェ方面へ向かい、そこからボローニャのゴールへ北上します。途中かなり長いワインディングが用意されているのもさすがフェラーリ。峠の走りも堪能させてくれます。
走行中は全行程オープンで走りました。風の巻き込み、エンジンサウンドを終始楽しむのが目的です。風の巻き込みはドライバー後部にあるブリッジ状のリアアクティベイトスポイラーが防ぎます。フロントガラスからの風の流れをキレイに整え後方へ流します。特にリアガラスを上げるとその効果はさらに高まり、女性の髪が下から舞い上がるようなことは一切なくなります。開発者もその辺を強くアピールしていました。女性に嫌われないオープンカーってところですかね。う〜ん、イタリア人っぽい。
なので、サイドウィンドウとリアガラスを上げると高速走行に難はありません。時速130キロの制限速度を巡航しても風を浴びて疲れることはないでしょう。もちろん、それ以上のスピードでも。エアロダイナミクス担当者が自信満々の顔をしていた理由がわかりました。

エンジン音に関してもかなりよく仕上がっています。これまで各メーカーの色々なV6サウンドを聴いて来ましたが、ここまで迫力あるものはありません。開発者によれば目指したのは自然吸気の12気筒エンジンだそうですが、確かにそれに近い重厚感はあります。と同時に高回転まで回る甲高い音も見事に再現されています。音にこだわるフェラーリですから、ここに抜かりはありません。
それでいて良いのはEV走行時の静かさ。モデナ南インターからフェラーリ本社近くのホテルまではほとんど蓄電された電力で走ったのですが、これも快適。街中でも視線を感じることなくゆったりした気分で走れました。SF90ストラダーレもそうですが、これが新世代フェラーリの走りなんですね。納得です。
ということで、今回は発売になったばかりのフェラーリ296GTSをイタリアで試しました。イタリアの地にピッタリなのは言わずもがなです。次回の対面は再び日本ですかね。日本でステアリングを握るのが待ち遠しい一台です。ゴルフ場にでも行っちゃいましょうか。早朝EVモードで出かけるのはメリットがありそうです。朝5時の爆音は住宅街でひんしゅくを買っちゃいますからね。

フェラーリ296GTS
●エンジン:水冷V型6気筒ツインターボ
●排気量:2992cc
●最高出力:610kW(830PS)/8000rpm
●最大トルク:740Nm/6250rpm
●全長×全幅×全高:4565×1958×1187mm
●車両重量:1540kg
●価格:¥41,500,000(税込)〜
フェラーリジャパン
http://www.ferrari.com/
※外部サイトに移動します
文 九島辰也
構成 高 成浩(POW-DER)

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