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“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴 Vol.3

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第3弾!「“脂が抜けた”メルセデスで、肩から力が抜けました」

2022.07.30

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戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第3弾!「“脂が抜けた”メルセデスで、肩から力が抜けました」

業界でも屈指の “クルマ通”である戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼が「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を語ります。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば…と思います。今回ご紹介するのは、スポーツドライビングを休憩していた頃のお話。聞き手は戸賀編集長の雑誌編集者時代の先輩、フリーランスエディターの高(『“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴」参照)です。

「初代Cクラス=新しいメルセデス」というカタチを体験

高 時は1993年、とっくの昔に弾けていたバブルの影響が、じわじわと世の中の末端である雑誌業界にも忍び寄ってきた頃だね。戸賀編集長がスポーツカーを手放して小型のセダンに乗り換えたのは、そうした世間の影響があったからなのかな?

戸賀 僕がポルシェからメルセデスベンツの初代Cクラスに乗り換えたのは、25歳の時ですね。その頃はまだまだ僕ら雑誌編集者は、仕事も遊びもイケイケでやってたじゃないですか!! 不況だから小さいメルセデスに乗り換えたわけではなく、むしろ世間的に評価が高いメルセデスのことを、またメディア的に、特にエンスーな業界人に大人気のCクラスのことを知りたかったから…というのが、乗り替えの理由です。

戸賀編集長愛車遍歴
画像はシルバーですが、戸賀編集長が乗ったCクラスのボディカラーはガンメタでした(アルミホイール装着のC200エレガンスというモデル)。

高 メルセデスは“上がりのクルマ”と言われてるけど、25歳にして“上がり”を選んだのは「もう他のクルマに乗りたくない」というからではなく、「いろんなクルマを探求したい」という知的欲求からだったんだね。それにしても若き戸賀青年にCクラスは似合わねぇなぁ。だってさ、Cクラスと言えば、世田谷区在住の奥様やおぼっちゃまが乗るクルマだったでしょ!?(笑)。

戸賀 うるさいっつ〜の!(笑)。“当時のメルセデスは上がりのクルマ”という慣用句には別角度からの見方もあって、クルマとしてのプレミアム感から「もうこれよりランクが上のクルマなんて無い」という意味があります。そういう意味では昔からメルセデスにはデカい方が偉い、排気量が大きい方が偉い、価格が高い方が偉い…という風潮がありました。いわゆる昔のニッポンのクルマ社会における“ベンツ”のイメージですね。ところがCクラスがデビューしたことで、今までの“ベンツ”が発散していた風潮=“オラオラ”なイメージが無くなりました。“脂が抜けた”っていうか…、初代Cクラスは本来のベンツの良さを残しつつ、オラオラ感だけが無くなったクルマなんですよ。「ベンツ」がようやく「メルセデス」になったと言っても良いでしょう。そういうニッポンのクルマ社会における革命的なモデルということもあって、僕は初代Cクラスに乗ってみようと思ったんです。で、C200のエレガンスを選びました。

高 C200か。1998ccの直列4気筒で136PS、5速ATだな。当時イチバン安いのが400万ちょっとだったから、戸賀編集長が買ったのは420万円くらいかな。それにしても初代Cクラス=W202がデビューした当時、大幅なコストダウンによって「こんなのメルセデス・ベンツじゃない」と憤慨した人が少なくなかったようだね。

戸賀 う〜む。ちょうどメルセデス・ベンツがコンセプトを変えようとしていた時代ですからねぇ…「最善か無か」を企業理念として掲げるメルセデス・ベンツとしては、またその理念に共感していたメルセデス・ファンとしては、コストダウンというのはなかなか受け入れられないファクターでしょうね。でも、僕としてはこういう時代の流れや変化を受け入れなきゃいけないと思います。

高 なるほど。『唯一無二のRRスポーツ ポルシェ911ヒストリー Vol.5』で言ってたことだね。「モデルチェンジ過渡期のクルマには、新しいモノ・コトをなかなか受け入れられない人(=アンチ)が増える」って言ってたもんね。で、戸賀編集長的には、C200の印象はどうだったの?

戸賀編集長愛車遍歴
世田谷在住の奥様やおぼっちゃま御用達のCクラス。当時はこんな赤いボディカラーのCクラスが、自由が丘や田園調布を走っておりました。

戸賀 そうそう、世界のクルマメーカーがコストダウンを図っていた時代に、メルセデスとしては上手く対応していたんじゃないかな。僕が乗ったC200は昔のメルセデスの良さと新しいメルセデスの特徴が絶妙にバランスしていたと思います。僕はちっとも安っぽさを感じなかったけどなぁ。シートは本革じゃありませんでしたが、ヤシの繊維を使ったファブリックは快適でしたし、ピアノ線が通っているウィンカーのぐい〜んという感触はむしろ高級感があったなぁ。

高 いきなりポルシェ・ヲタクに負けない「ヲタク薀蓄」ですなぁ(笑)。

戸賀 走り出すと余計に“メルセデスっぽさ”が感じられたんです。重めのアクセルペダルを踏み込むと、136PSだから加速は緩やかなんですが、トルクが厚いので決して遅くはなかったと記憶しています。で、乗り心地はあくまでもフラット! どんなに荒れた路面でもビシ〜っと安定して、どこまでも真っ直ぐ進むドライブフィールが気持ちよかったですね。フロアがぶるぶるワナワナすることなんてなく、ボディ剛性の高さも良かったなぁ。

高 ベタ誉めだね。ということは、意外とセカンドマーケットでも狙い目なんじゃないの? リッチなオジサンのセカンドカーとして?

戸賀 はい。セカンドマーケットでは60万円くらいから良コンディションのC200がありますから、普段の“足”として探してみるのもいいでしょう。

高 なんだ。もうチェック済みなのね(笑)。

文 高 成浩

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