絹谷香菜子

観る者の心を震わせる至高のアートと、入手困難にして極上の味わいを約束する日本酒。審美眼鋭いニューリッチに好評なコラボレーション第四弾を手がけるのは、人気女流画家、絹谷香菜子氏。福光屋の長期熟成酒「百々登勢1970」に刺激を受け、新たな扉を開けたという絹谷氏の想いに迫ります。

日本酒の王様に似合うのは百獣の王

主に動物をモチーフに、圧倒的リアリティとユニークな発想から成る作品を発表し続けている日本画家、絹谷香菜子氏。今回のオファーを受けて描いたのは、金箔の中にくっきりと浮かび上がる虎の姿。

「熟成酒である『百々登勢』は、きっと透き通った琥珀色なのだろうと想像しました。そんな、日本酒の王様とも言えるお酒に似合うのは、百獣の王。このお話をいただいた時、真っ先に頭に浮かんだのがそれでした。アジア圏で百獣の王と言えば、ライオンではなく虎です。なので、虎を描くことを決め、作品名も、“琥珀”と“虎”をかけて、『虎珀』と名づけました」

その作品は、虎の体毛の柔らかさも感じられるような、繊細で緻密な筆遣いが印象的。水晶のように澄んだ瞳には、この虎が見ているであろう鳥の姿まで映り込んでいるなど、圧倒的なリアリティで、私たちの心に迫ってきます。

絹谷香菜子

「目にしても、口にしても、気持ちよく、すっと入ってくる。『百々登勢』にはそんな透明感があったので、この作品も、動物の持つ純粋さを表現しようと思いました。私、ふだんは真正面を向いた動物を描くことが多いのですが、この虎は少し上目遣いなんですよ。ラベルは瓶の下の方に貼られますが、瓶はさらに上へ伸びていく。それを意識してのことであり、この虎に、ふわりと包み込むようなやさしさを感じてほしいという理由から。そうした温かさも、私が『百々登勢』に抱いたイメージなんです」

絹谷香菜子

外の世界との交わりが、自分の世界と未来を広げた

透明感と温かさのほかに、絹谷氏が意識したのが「時の流れ」であり、「歴史」。「百々登勢」は、霊峰白山から100年以上かけて福光屋の土地に辿り着いた「百年水」を使って造られ、さらに50年間熟成させて出来上ります。古から現代へ、脈々と流れ、受け継がれていく。その流れや、重なり、循環などを表現するために用いたのが、金箔を重ねた背景でした。

「金箔を均一に貼るのではなく、少し違う物を織り交ぜたり、重ねたりして、層を演出しています。そこに、『百々登勢』に宿る年月の積み重ねを感じていただければ嬉しいですね」

日頃、背景をマットな黒一色にすることが多い絹谷氏にとって、これは珍しい試み。「ふだんは、和紙に墨がどんどん吸い込まれ、漆黒になった空間に動物を描くことが多いのですが、それは、『百々登勢』のイメージとはちょっと違うなと思って」と、絹谷氏。虎の目線を真正面ではなく、やや上にするなど、「虎珀」は、従来の絹谷作品とは異なる点がいくつも見受けられます。どうやら「百々登勢」は、絹谷氏が新たな扉を開けるきっかけになったようです。

絹谷香菜子

「本当にそうですね。お酒のラベルを手がけるのは初めてでしたが、こうしたテーマをいただけたからこそ、新たな発想が生まれ、この作品ができたのだと思います。普段は自分の好きなように描かせていただいているのですが、外の世界と交わることで、自分の世界が広がり、未来も広がることを知れました……。実は今、カメレオンを描いているんですが、これも、今までの私にはなかった発想(笑)。『百々登勢』とのコラボレーションは、とても充実した、本当に楽しい時間でした」

絹谷香菜子

つくる者と享受する者の相互作用を楽しめる企画

日本酒と日本画。いずれも長い年月を経て、今に受け継がれてきた、日本の文化。そう、絹谷氏に伝えると、「そうですね。日本画も、これから先も残ってほしい」と。

「そのためには、伝えないといけないし、発信することが大切です。ただ、昔ながらの方法で発信するのでは、次世代へとつないでいくのは難しいのではないでしょうか。私も、けっこう従来の日本画とは違う描き方をしていますが、日本画の伝統や技術、(使用する)素材などを用いながらも、今の時代なりのものを加えることが大切だと思います」

伝統を尊重しながらも、時代にあわせた新しさを加えていく。それは、新たな発想で挑んだ「百々登勢」にも言えること。「百々登勢」と絹谷作品には、そんな共通項もあるようです。

「同じ日本酒好きでも、甘口が好きな人もいれば、辛口派もいます。そうした自分の好みと、お酒が生まれた背景や歴史、造り手の気持ちや主張に想いを馳せることで、お酒をより深く味わうことができるような気がします。それは、絵も同じ。作家と観る方々の相互作用が生まれるものだと、私は思っています。そう考えると、これは、ものすごく贅沢なプロジェクト! お値段以上の豊かな時間がもたらされるのではないでしょうか」

「百々登勢1970×虎珀」がもたらしてくれる至福の時間、味わってみませんか?

販売情報はコチラ! 大丸東京店 美術画廊で取り扱い

絹谷香菜子

「百々登勢1970×虎珀」¥1,870,000(税込)
※絹谷香菜子『虎珀』10号M
商品のご購入・問い合わせ:大丸東京店 美術画廊 03-6895-2607
販売期間:2022年5月16日(月)〜6月10日(金)
※商品の受け取り・決済は大丸東京店となります
※限定1セット販売のため、先着順になること予めご了承ください

絹谷香菜子

絹谷香菜子

1985年
東京に生まれる
2007年
多摩美術大学絵画科日本画 卒業
2009年
東京藝術大学大学院美術研究科博士前期過程 芸術学 美術教育研究室修了、「第43回昭和会展」日動画廊、東京 ('08)、「サロンドプランタン賞」「安宅賞」東京藝術大学
2011年
吉野石膏美術財団在外研修員としてロンドンに渡英、「成都ビエンナーレ2011」成都、中国、個展「COEXISTENCE」新生堂、東京
2013年
東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程 美術教育研究室 満期退学、「ジ・アートフェアー:+プリュウス」青山スパイラル、東京
2014年
個展「絹谷香菜子展−生命の樹−」髙島屋全国5カ所巡回、「東美アートフェアー」東京美術倶楽部、東京、個展「The Ink」新生堂、東京
2015年
個展「絹谷香菜子展」大和百貨店、富山、「平成27年 宝物収蔵庫新春企画展」三輪明神 大神神社、奈良、「第3回 郷さくら美術館 桜花賞展」郷さくら美術館、東京、「アートフェアー東京2015」東京、「『美術の窓』挿絵原画展」ギャラリー和田、東京
2016年
個展「絹谷香菜子展」神戸そごう、池袋西武、「創と造 展」東京美術倶楽部、東京、大阪 (~'19)
2017年
個展「GUARDIAN」日本橋三越、父、絹谷幸二と「生命の輝き」200号の共同制作、NHKBSプレミアム、NHK国際放送にて1時間番組が放映、東京都庁都知事室に「風鶴雷鶴図」展示、「現代作家70人が描く、つくる ~吾輩の猫展~」佐藤美術館
2018年
「FUROSHIKI PARIS」パリ市庁舎前広場、パリ日本文化会館前、フランス
2020年
個展「The Menagerie」日本橋髙島屋、大阪髙島屋
2021年
「KINUTANI ART EXHIBITION〜いのちの輝き〜」太陽画廊、大阪、「KINUTANI〜芸術家の系譜〜」伊勢丹新宿店

写真 岡田ナツコ
文 村上早苗


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