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カジュアル時計の幅とはナニか!? 戸賀編集長のオフスタイル時計選びの視点

2023.11.11

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カジュアル時計の幅とはナニか!? 戸賀編集長のオフスタイル時計選びの視点

多種多様な幅を持つカジュアルファッションには一体どんな時計を合わせるべき? 多くの人が密かに悩んでいる問題を解決すべく、時計と服のバランスを追求する戸賀編集長にベテランライターがインタビュー。興味深い3本のコレクションからリアルな現状が見えてきます。

リッチなオジサン界隈では“4桁時計”がお約束!?

スーツなどのドレススタイルに合わせる時計はイメージしやすいもの。しかしカジュアルスタイルに合わせる時計となると、途端に難しさを感じてしまうと言います。ソレというのもスーツなどと異なり、カジュアルスタイルは組み合わせの範囲が膨大で、その境界もアイマイだから。そこで数々のファッション誌で指揮を執り、本格時計の実戦経験も豊富な戸賀編集長に急遽メンダン。イケてるカジュアル・ウォッチとそのスタイルはどうあるべきかを、リッチなオジサンの目線でうかがってみました。

長谷川 以前から男の装いはカジュアル化傾向に進んできました。そしてパンデミック後はさらに複雑になっていますよね? いわゆるカジュアルスタイルもキレイ目からモード、ストリートにワンマイルなどいろいろ混在していてもう大変(笑)。そして、それぞれにマッチした時計を探すべき、となるとサスガに考え込んでしまいます。その辺、戸賀さんはどのようにセグメントしてますか?

戸賀 そうですね、多様化といった概念も高まってきているから、限定すること自体ナンセンスになっている部分もある。でもやっぱり、大人の装いは一定のルールが存在します。それに沿って自分らしく着けて楽しむのが一番かなと思っています。

いかなるオフシーンにもマッチする傑作

長谷川 たとえば戸賀さんといえば、僕は昔からモナコのイメージを持っているのですが(笑)、モナコの場合はどんなコーディネイトを実践していますか?

戸賀 僕がモナコをしていると「トガッチ、ほんっとソレ好きだね!」と言ってくる人、本当にいますから(笑)。しかし、この時計はある種の最強モデル。本格スーツ以外のすべてのファッションにマッチするし、着けるシーンや着ける人の肩書きも問わない傑作だと思っています。

長谷川 ちょっとラグジュアリーなニットジャケットやラフなジーンズスタイルにもマッチしますからね。その他、リゾート風の装いでもOKというのは確かにオールマイティです。

戸賀 なによりモナコには語れるエピソードがたくさんある。マックイーンのストーリーにはじまり、マニアック方面でいえば左リューズの起源やV4のこと、それに文字盤の種類や限定アイテムの多さもポイントです。

長谷川 そうだ! 数年前のオリーブグリーンのメンズクラブ別注モデルは、戸賀さんの仕掛けですもんね。あれは僕もほしかったー(笑)。ソレは置いといて、じゃあモナコさえあればもう大丈夫だと。でも戸賀さんはリシャール・ミルなども持っていますよね?

戸賀 確かにモナコの延長線上の1本だと言うことはできるでしょう。しかし着けていける場所が少々限定的すぎるかも知れません。もう少し自由に自分らしくファッション的に時計を楽しみたいと今は思っています。そう言う意味で現在の最強時計は、オーデマ ピゲのロイヤル オーク オフショアかもしれません。

ファッション軸で時計を楽しむ際の最有力候補

長谷川 今年デビュー30周年を迎え、またぞろ盛り上がってきていますよね。30周年のアニバーサリーモデルなどは、すでに手に入れたんですか?

戸賀 ソレがまだなのよ(笑)。オールブラックのセラミックモデルなどは気になっているんですけどね。今日お見せするのは、以前から愛用しているPGケースのモデル。これもある意味最強時計であり、装いとのマッチングに関してはほぼオールマイティです。リッチなオジサン界隈において、エバりの利く時計となると、昨今はもう一千万クラスのいわゆる“4桁時計”が当たり前。オフショアはそこまでのプライスレンジではありませんが、唯一対抗できるポテンシャルを持っていると僕は思っています。

長谷川 単純に価格だけで言ったら同レベルのラグスポ時計はいろいろありますからね。しかしやっぱりオフショアはひとつアタマ抜けた認知度があると聞いています。他のブランドでは500万円くらいのダイバーズであっても、その価値を維持できるモデルとなると、ほんの一握りですから。

戸賀 その通りです。トレンド的なラグスポ時計に5〜600万円出すのであれば、オフショアを選択肢に入れた方が賢いと思います。装いにしてもモナコと同じでジャケットからジーンズにまで合わせられるし、なんならTシャツ一枚の格好でも、オフショアならリッチな装いに仕上ります。

長谷川 と言うと、究極的にはオフショア1本あれば大丈夫と。

戸賀 いえ、個人的にはもう1本オフショアが必要です(笑) 僕は毎年1本、新たな時計を手に入れようと心にキメているのですが、アナザー・オフショアが断然今の希望(笑)。もし縁があるなら、ロイヤル オークのフロステッド(YG)なども欲しいと考えています。

上品でリッチ、それでいて主張が強すぎない時計

長谷川 色のあるゴールド系はやっぱりいいですよね。スチールもそうですがホワイト系のモデルは硬い印象がありますから。柔和なリッチ感をカジュアルスタイルで演出するなら、ゴールド時計はひとつの武器となりますね。

戸賀 そうなんです。J PRIMEが打ち出すカジュアル系ファッションは、ゴールドのオフショアが似合うスタイルと言ってもいいかもしれません。モード系のクラッシュデニムにプレーンなカシミアニットなどのコーデとか。逆にシンプルな短パンにハイブランドのロゴドンアイテムの着こなしとか。

長谷川 まさに港区系男子(笑)。確かにリッチでオシャレなオジサンの理想型がそこにありますね。そしてそんな高感度な男子に向けた、モナコとオフショアの間を埋める1本となるのがAPのコード11.59というワケですね?

戸賀 正解!(笑)。今日はたまたまWGの三針を持って来ましたが、実はPG×ブラックセラミックのクロノグラフも持っています。コードの凄いところは、一見プレーンにしてしっかりラグジュアリーな印象を確実に残すところ。分かりやすい派手さが控えめな分、キレイ目なカジュアルスタイルにすっきりハマるんです。スマートなセットアップなどに合わせる1本として、コード以上のモデルは見つからないかも知れません。

長谷川 確かに繊細な造形美は今までにない新しい要素ですね。シンプルにして美しいという難しいデザイン性を確立させているところに、評価も集まっています。

戸賀 お上品なのに出しゃばりすぎないという部分は本当に素晴らしい。主人の前に出ることなく、常に横にぴったり寄りそうセレブ犬のような佇まい(笑)。その他、コードはカラーを多彩に打ち出しているところも支持できる部分です。

長谷川 真面目でありながら十分に色っぽい。小粋なハズしに使える本格時計という意味でも、かなりユニークですからね。文字盤の色に合わせて着こなしたらファッショナブルですし、あえて挿し色にして手元を目立たせてみるのも面白い。

戸賀 そういう意味で今日ご紹介したような3タイプの時計が、僕にとってのカジュアルウォッチにおけるベストメンバー。もちろん僕は時計が好きですから、これからもいろいろと狙ってていくつもり(笑)。いつかはロイヤル オークのコンセプトを手に入れたい! まだまだリッチを目指すオジサンです(笑)

*時計は本人私物

撮影 杉田裕一
文 長谷川 剛

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