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“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴 Vol.12

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第11弾! 「僕のクルマ人生には、クルマ業界の巨匠の言葉が大きく影響しています」

2023.02.13

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戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第11弾! 「僕のクルマ人生には、クルマ業界の巨匠の言葉が大きく影響しています」

業界でも屈指の“クルマ通”である戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼が「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を語ります。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば…と思います。今回はイタリアの小型車という、ちょっと異質なクルマをチョイスしたお話。聞き手は戸賀編集長の雑誌編集者時代の先輩、フリーランスエディターの高(「“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴」参照)です。

「フィアット・プントは故・徳大寺先生のお下がりなんです!」

戸賀 僕がMEN`S EXの編集長だった頃は、高さんとはあまり仕事してなかったですよね!?

高 そうだねぇ。当時ってCAR EXが無くなってしまい、Beginのスタッフが若返りを図ったこともあって、世界文化社そのものが疎遠になっちまったからなぁ。だから、戸賀っちがその頃に乗っていたクルマのことはよく知らないんだよね。前回のパールホワイトのAMG CLS55は、市ヶ谷〜番長界隈で見かけたことがあったけど…。

戸賀 当時は、今は亡き徳大寺有恒先生と懇意にしていたんですよ。先生がMEN`S EXに記事を連載していたこともありまして、打ち合わせや撮影などでしょっちゅうお会いしていましたね。だから、クルマに関しては凄く為になるお言葉をいただきましたし、僕のクルマ人生においては徳大寺先生の影響は多大にあると思います。

高 ヘェ〜、それは良い経験だったね。

戸賀 実際のところ、徳大寺さんからクルマを売っていただいたこともあります。AMG CLS55を手放した際、次に乗りたいクルマがなかなか見つからなくて、“繋ぎ”のクルマとして徳大寺さんに「何か売ってください」とお願いしたんですよ。徳大寺さんは当時、ゴールドカラーのMINI ONEとグリーンメタのフィアット・プントを所有していて、僕はMINIが欲しかったんですが…。

高 そりゃそうだな。実用車としてだったらメカトラブルが心配なプントより、故障がほぼ皆無なBMW MINIの方が良いもんな(笑)。

戸賀 MINIはボディ剛性が非常に高く、クーパーじゃなく普通のONEでも十分に走ってて楽しかったし、それに加えてエクステリアもインテリアも個性的かつお洒落なデザインでしたから、クルマとしての出来は良かったんですよ。でも、当時は徳大寺さんの奥様も乗っていらしたので、それを譲ってはもらえませんでしたね。そこで、プントを心良く譲っていただけたんですが…「戸賀ちゃんなら値段なんていくらでもいいよ。言い値で売ってあげるから」と言われたものの、こちらとして決められず…なかなか決まらなったんです。しかも、ようやく値段が決まって(※注:超リーズナブルな価格だったとか)、いよいよ受け渡しの時になったら、Cピラーに埋め込み式のテールランプの右側が割れてたんですよ(苦笑)。で、慌てて環8のクルマ屋に持ち込んで、大至急で直してもらい、ようやく僕のクルマになったという次第。僕の人生で初めてのイタリア車になりますね。

高 2000年のアタマくらいだっけ!? 1993年にウーノに代わるイタリア庶民の足として華々しく登場したプントだけど、戸賀っちが徳大寺さんから買ったのは1999年にモデルチェンジした2代目かな。エクステリアのディテールがシャキッとエッジが立ったデザインに変わったヤツだね。

エクステリアの各部がエッジが立ったデザインになったフィアット・プントは、イタリアの風景によく似合います。もちろん、徳大寺さんや戸賀編集長が乗り回していた東京の街にもマッチします(戸賀編集が乗っていたプントは、ボディカラーがグリーンメタで、内装はネイビーのファブリックです)。

戸賀 当時、たった80PSでしたが、車両重量が1060kg(※注:モデルや仕様によって異なります)ととても軽いこともあって、街中はもちろんゴルフ場までの往復の高速道路でもなんら不満はありませんでしたね。まぁ、CVTの出来はイマイチだったかなぁ。このプントに乗っていて感じたのは、とにかくすべてが軽くて気持ちいいってこと! 車重が1トンそこそこだから物理的に軽いんですけど、ボディが小さいのとステアリングやスロットル、スイッチ類の操作がシンプルなこともあって、心情的にも軽く感じられるんです。しかも、心配していたメカトラブルもありませんでしたから、余計にイージーで楽しかったのを覚えています。僕はイタリアの服はシルエットが美しいし、着心地が軽くて優しいので大好きなんですが、イタリア車は機械としての品質や耐久性が良くないと決めつけていたもんですよ。こんなにトラブル無く乗れるのなら、もっと早くからイタ車に乗っていれば良かったなぁ。

高 ふ〜ん。それって徳大寺さんのクルマだったからなのかなぁ!? つまり、クルマ専門誌などで有名な徳大寺さんのクルマなら、ディーラーもクルマ屋も気合いを入れてメンテするだろうし、また徳大寺さんご本人は一般人よりクルマの扱いが上手い=ダメージを与えないから、そのプントはノントラブルだったのかも!?

戸賀 う〜む、そのへんのトコロはなんとも言えませんが…。ただ、僕としては「徳大寺さんのお下がりに乗っている」ことが、誇りでもあり自慢でもありましたね。プントに乗りながら、「どうして徳大寺さんはこのクルマを選んだのだろう?」とか考えてみたりして…。結局のところ、プントってイタリア人の“足”なんだな…ということがわかりました。外車とかイタ車とか意識せず、なんの気取りも気兼ねもなくスイッと乗れるんです。それこそポロシャツにジーンズというごくカジュアルな格好から、ジャケット&パンツのお洒落なコーディネートまで、どんなスタイルでも絵になるのが魅力かな。そう、クルマではなく、乗る人が主役になる!…というのがプントの良さですかね。だから徳大寺さんは、このプントを日常の足にしていたんじゃないかな。

高 うんうん。ヨーロッパの大衆車、それも下のグレードに乗ると、その国の文化が見えてくる…って言うしね。戸賀っちは徳大寺さんからクルマをお下がりしたことで、いろいろと勉強になったんだね。

文 高 成浩(POW-DER)

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