リッチなオジサンの合言葉は
“一日一贅”

CAR

“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴 Vol.21

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第20弾! BMWの本領!? FRの楽しさが追求されたM4

2023.10.20

Facebook
Instagram
戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第20弾! BMWの本領!? FRの楽しさが追求されたM4

650のカブリオレに、『走りもスタイルも、乗り心地もすべて最高のクルマだった』と最大級の賛辞を贈った戸賀編集長。次のクルマ探しはさぞかし苦労するのかと思いきや、あるクルマと外国の地で運命的な出会いをしたのだとか! そのクルマとは一体、どんなクルマだったのでしょうか?

クルマをこよなく愛しながらも、決してリッチではないオジサン・戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼が「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を語ります。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば幸いです。話の聞き手は、戸賀編集長の雑誌編集者時代の同期、フリーランスエディターの菅原。若い頃の数年間は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」の二人。そんな二人ならではの昔話、こぼれ話もお楽しみにください!

菅原 あれだけベタ褒めだった6カブだった訳だろう? その最高のクルマの後に乗るクルマを探すなんて、なかなか難しかったんじゃない?

戸賀 確かに。6カブは、かなり満足度が高かったのは間違いないし、何と言っても妻のお気に入りでもあったから、下手なクルマに手を出す訳にはいかない。実際、次のクルマはなかなか考えられなかった記憶もある。ボディカラーやインテリアを変えて、左ハンドルの6カブもありかな? なんて考えたこともあったよ。でもねスガ、運命的な出会いというものが世の中にはあるんだよ(笑)。

菅原 トガが運命的な出会いって言っても、あんまりいいイメージが湧かないんだよね(笑)。

戸賀 うるさいよ(笑)。まぁ、運命的な出会いをする前に、BMWが本来持っている、走りの部分にもっとフォーカスするのも有りだよなぁ、っていう考えも俺の中にあったんだけどね。

藤倉 走りの部分……確かに嫌な予感しかしないっす。

菅原 だよな。

戸賀 そこのふたり、ちょっとうるさい(笑)。話しを先に進めるぞ。確かその頃、BMWの国際試乗会があったんだよ。それもサーキットでの試乗会だった。

藤倉 イスタンブール・パーク・サーキットですね。

戸賀 そう、イスタンブールだ。そこにメンクラの編集長として参加したんだよ。試乗するクルマは、当時デビューしたばかりのM4だった。

菅原 ちゃんとしたサーキットで走るなら、Mしか考えられないよな(笑)。

戸賀 でも、その頃の俺は、BMWのMと言えば前に話した中井貴一さんのM6しか乗ったことがなかったんだよ。しかも乗ったのは街中だし、中井さんの大事なクルマだし、アクセルを踏み込むことなんかできる訳がない。

菅原 そりゃそうだ。

戸賀 だからその試乗会が、俺にとっては初めてMで全開走行した日だった。

菅原 トガにとっては、ほぼファーストインプレッションだった訳だね。で、その走りはどうだったの?

戸賀 ただただ感動だった。排気量のデジタルサウンドプロセッサーじゃないけど、BMWのエンジン音は本当に『半端ねぇ~』って感じで最高だったし、肝心の走りもFRの楽しさを追求しまくっている。ポルシェより断然ワクワクさせてくれる仕上がりだった。
これぞBMWの本領発揮というクルマを、箱根ではなく、イスタンブール・パーク・サーキットで乗って感動しちゃったんだよ。このクルマには絶対乗らなくちゃいけない、これは間違いなく運命的な出会いだ、と思ったのも仕方ない。

菅原 ……やっぱりこうなったな(小声)。

藤倉 ですね(小声)。

戸賀 でも残念だったのが、日本で買えるM4の左ハンドルは、マニュアルだけだったこと。DCTを選べるのは、右ハンドルだけだったんだよ。俺は大排気量、大パワーのクルマをマニュアルで操作するのは無理だと考えていたから、あの時は迷うことなく2ペダルを選んだ。

菅原 もう買っちゃったよ(小声)。

藤倉 買っちゃいましたね(小声)。

戸賀 でも実際にM4が納車されて走り込んでみると、3リッターツインターボまでなら、戸賀の力量でもアクセルを踏めることが分かった。まぁ、M4だから行けたのかも知れないけどね(笑)。だから、3リッターなら今でも躊躇なくマニュアルを選ぶ。カレラも今は3リッターツインターボだから、ギリいけるかな。

菅原 またポルシェを買おうとしているのか?(小声)

藤倉 可能性はありますね。(小声)

戸賀 そうそう、大事な事を忘れてた。この時は国際試乗会から早めにオーダーを入れられたから、大好きなガンメタに、レンガ色みたいなカラーの内装というお気に入りの仕様にできたんだよ。お気に入り仕様というだけじゃなく、街中、サーキットを問わず、本当に最高の走りができるクルマだった。スイッチを操作すればモードを変えられて、それによって乗り心地もサウンドも、すべてが変わる。直6の凄さを久しぶりに感じることが出来た最高のおもちゃだったね。

20数年ぶりに、クルマをいじりまくったのがM4だった

戸賀 それが原因だった訳でもないんだけど、悪い虫が動き出して、学生時代以来久しぶりにいじりまくった(笑)。

菅原・藤倉 やっぱり (笑)。

戸賀 でも、違法改造する訳ではなく、BMWの公認チューナー7社の中で、唯一アジアに存在する「スタディ」にM4を持って行って、大人のチューニングを始めた。まずは、スロベニアのエギゾーストメーカー『アクラポビッチ』のフルチタンマフラーを入れて、コンピューターチューニングもして、BBSのジュラルミンホイールも入れて、…………いや、本当にヤバかった(笑)。あのマフラーのサウンド、とくにスポーツモードにした時のあのサウンドは今でも忘れられない。確か1年で1万5000キロぐらい走ったからね(笑)。

菅原 かなり乗ってるねぇ。

戸賀 乗った(笑)。こんなに一緒に居るかっていうくらいM4と一緒に居た。自分でメチャクチャ手洗い洗車していたしね (笑)。

菅原 トガって、昔から洗車が好きだよな(笑)。世界文化社にいた時も夜中に作業していると、突然、「スガ、洗車に行こう」って言い出すから、ふたりで夜中に洗車に行ったもん (笑)。

戸賀 そうそう、洗車が終わると会社に戻って仕事を再開してたもんな(笑)。この時もそんな感じで、どんなに忙しくても土日のどこかに必ず洗車場に行く時間をねじ込んでた(笑)。

藤倉 あの時の忙しさを考えると、洗車の時間を捻出できることが信じられませんよ。

戸賀 だから、たまに他の予定に食い込んでたけど、……それも、もうとっくに時効だよな(笑)。

藤倉 会食のあとに編集部に戻って仕事をしたり、打ち合わせと打ち合わせのわずかな時間で色校を見てもらうために、僕が校正紙を届けたりしていましたよね。

戸賀 昔の楽しい思い出だな(笑)。

戸賀編集長の総論。「M4は、俺が首都高にタイヤカスを一番飛ばしたクルマかも(笑)」

戸賀 こんなことを言うと怒られちゃうかも知れないけど、俺があれだけ首都高にタイヤカスを飛ばしたクルマはほかに無いと思うんだよね(笑)。色んなデバイスが付きまくっているから、ある域を超えなければスピンはしない。ポルシェより走りを楽しめるのはFRだからというのもあるかな。911はやっぱり怖さがある。RRはリアが出やすいからね。だからM4は、楽しく、ある意味で一番安心してアクセルを踏み込めるスポーツカーだと思うよ。
さらに言うと、M4ってBMWらしさを色濃く出しながら、シンプルなスタイリングでスポーツカーとして割り切っているのが良いんだよね。俺はリアシートが好きではないから、かなり走りに寄った仕上げにしていたけど、もっと4ドアのボディを有効に使った、「羊の皮をかぶった狼」仕様も有りだと思うしね。サーキットを走っていても、ボディが緩いなんて感じたことは一度もない。今考えても最高のおもちゃだったと思う。この間の650カブリオレの時も言ったけど、このM4も「人生で乗り継いできたクルマのベスト5」を出せって言われたら、間違いなく出てくる1台だね。いや、ベスト10にしておこう。まだ増えてくる可能性が高い気がするから(笑)。ちなみに次のクルマもBMWです(笑)。

BMW M4クーペ
全長×全幅×全高:4685mm×1870mm×1385mm
ホイールベース:2810mm
駆動方式:FR
車重:1640kg
最高出力:431ps(317kW)/7300rpm
最大トルク:56.1kgm(550Nm)/1850-5500rpm
エンジン:直6 DOHC 24バルブ ツインターボ
総排気量:2979cc
トランスミッション:7段AT
価格:¥11,260,000(税込み)※2014年当時

文 菅原 晃

Facebook
Instagram
TOPTOP