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“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴 〈ポルシェ944ターボ〉

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第1弾!
「生意気ですけど…学生時代にポルシェを新車で買いました」

2022.05.27

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戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第1弾!<br/> 「生意気ですけど…学生時代にポルシェを新車で買いました」

業界ナンバーワンと言っても良いくらいの“クルマ通”である戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼に「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を伺いました。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば…と思います。連載第1回目は、編集者になりたての時期に選んだ“最初”のポルシェを紹介します。

「ポルシェってモテる?…いやモテない!?」を痛感

———-戸賀編集長の最初のクルマは、ポルシェ944ターボと聞いています。ボディカラーはシルバーで、フロントフェンダーに「turbo」というステッカーが貼ってあったとか。
戸賀編集長(以下、戸賀に略) まぁ、学生時代には家のクルマのトヨタに乗っていたんですけどね(笑)…なんてことは置いといて、僕の愛車遍歴を語る前に、当時のクルマ事情を知っておく必要があると思います。
———–なるほど。単に「何に乗っていたか?」を紹介するのでは、ただの愛車自慢になってしまいますからね。時代の背景をふまえつつ、戸賀編集長が「その時代になぜそのクルマを選んだのか?」を語ることによって、クルマ選びや乗り方・遊び方のヒントになりますね。

戸賀編集長の愛車遍歴

戸賀 当時はナビシステムなんてありませんでしたし、携帯も持っていませんでしたから…いや、小型の携帯電話が普及し始めたばかりの頃、雑誌の企画で僕はいち早くIDO(auの前身)の携帯を使っていたんですけど、友達や彼女はまだ持っていませんでしたから。だからクルマに乗るには、まず「道を知っていること」がとても重要でした。例えば、夏は都心から横浜〜江ノ島へのアクセスは必須でしたし、冬になれば当時は首都高と繋がっていなかった関越や東北道にいかにスムーズに乗れるかどうかが腕の見せどころだったんです。
———–へェ〜、ナビが無かったんですか。大変でしたねぇ(※注:J PRIME編集部の若手スタッフの感想)。
戸賀 女のコとドライブデートが決まったら、当日までに道順や現地の観光スポットなどを確認するための「予習ドライブ」をしたもんです。だって、ドライブ中に道に迷ったら、自分の印象は悪くなるでしょ!! 夏の湘南の海岸線なんておいそれとUターンできないんだから、入ろうとしたカフェを通り過ぎようもんなら女のコに「ちっ、使えねえヤツ」と舌打ちされちゃうでしょ!?
————「予習ドライブ」ですか。いやはや、ドライブデートに大変な労力を注いでいたんですね。
戸賀 そういう大変なこと、面倒臭いことをやった男がモテたんですよ(笑)。昔は! そして、あの当時はフジテレビのF1中継が大ブームでしたし、ドリキンも人気だったので、「速く走れること」もドライバーとしての格付けに重要でしたっけ。だから、僕の世代の男の多くは、意外とドラテクを磨いていたと思いますよ。

戸賀編集長の愛車遍歴
944ターボが登場したのは1985年1月で、1991年まで製造。944のトップグレードである944ターボにはエアロダイナミクス特性を強化したフロントエプロンが採用され、そこにフォグライトとハイビームヘッドライトが組み込まれたフロントマスクが印象的でした。一方、944のブラックのラバーバッファーは取り除かれ、リアバンパー下部にはボディカラー同色のリアディフューザーを装備。※写真はデビュー当初のモデルなので、戸賀編集長が乗っていた’91年944ターボとはホイールなどが異なります。

————-おっと、そのあたりがポルシェ944ターボに関係してきそうですね。
戸賀 そうですね。大学を卒業して世界文化社『Begin』編集部に就職が決まった頃、真面目にスポーツドライビングのことを学びたいという気持ちが強くなり、「スポーツカーに乗ろう!」と決めたんです。で、選んだのがポルシェ944ターボでした! 昔からの貯金に加え、学生時代のイベントのバイトで得たお金を握りしめて六本木のミツワ自動車に行ったことは、今でも鮮明に覚えていますよ。学生が精一杯、大人ぶるために、アルマーニのスーツを着て…でもかなりドキドキしてディーラーのドアをくぐったっけなぁ(遠くを見る目)。
————でも。なんでまた944ターボなんですか? ポルシェと言ったら911でしょう!?
戸賀 当時、確か944Sの価格は911より200万円くらい安かったと思います。で、944ターボとなるとほぼ911と同額でしたから、普通なら911を選びますよね。でも、RRじゃなくてFRの方がきちっとスポーツドライビングを学べると判断したんです。『カーグラフィック』の記事に載っていた「944ターボは世界最高のコーナーリングマシン」という謡い文句が、決め手となりましたね。で、実際に運転してみると、それはそれはまぎれもないFRスポーツでした。2.5リッターの直列4気筒ターボは最高出力220PSでしたが、190PS前後の当時の国産車スポーティーカーに比べれば十分にパワフル! しかもボディや足回りの剛性感が非常に高かったので、余計に速さを体感できましたね。このクルマでスロットルワーク、シフトワークといったスポーツドライビングの基本を覚えました。

戸賀編集長の愛車遍歴
2.5リッター直列4気筒ターボエンジンは最高出力220PSを生み出し、1988年モデルのターボSには大型化されたターボチャージャーが搭載され、最高出力は250PSまで高められました。

———–う〜む、やはり「スポーツカーはFR!」なんですね。ところで、先ほどあんなにドライブデートのことを熱心に語っていましたが、944ターボは女のコにはウケたんですか?
戸賀 それがですね…実はあまり良くなかったんですよ。っていうか、このクルマがポルシェだとわかってくれない…いや、外車だとわかってくれなかったんですよね(苦笑)。944ターボに乗って迎えに行くと、僕が座っている左側のドアを開けようとした女のコもいましたね(笑)。逆に、クルマ好きの男性は皆「おっ、944ターボじゃん、珍しいな」とすぐに好反応! ただ、口の悪い先輩たちからは「4気筒のポルシェ? ちゃんと走るのかよ」とボロクソに言われましたっけ。つまるところ、944ターボはポルシェに乗ることの凄さやスポーツカーで走ることの楽しさと同時に、余計な“悲哀”も体験できたってわけです。
———–ふむふむ。自分なりに納得できる理由で944ターボをチョイスし、キャッシュで買って、実際に乗って“ポルシェ・ライフ”を始めた戸賀青年。944ターボのパフォーマンスを感じ取り、ポルシェの魅力を少しだけかじりだした戸賀青年。でも、ちょっと“滑った”感のあるクルマ選びだったわけですね(笑)。それもあって、その944ターボはたった1年半で手放してしまうんですよね? 次回は人生2台目のお話を伺いましょう。ありがとうございました!

文 高 成浩(POW-DER)

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