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メルセデス・ベンツ300E-24に乗って分かった、現代のクルマとの明確な差。そして32年の時を経ても変わらないその魅力とは?

2024.09.09

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メルセデス・ベンツ300E-24に乗って分かった、現代のクルマとの明確な差。そして32年の時を経ても変わらないその魅力とは?

戸賀編集長のお気に入りである、92年式メルセデス・ベンツ300E-24(W124)、購入時、走行3万8000キロ、ボディカラーはブルーブラックも、納車3か月が過ぎました。
前回は、戸賀編集長が『鬼切れ』とまで言い切る取り回しの素晴らしさ、そして現在の道路状況においても、まったく問題の無い走りの良さと、いつでも一発始動の安定感。さらに今年の酷暑であっても、冷凍庫か! と感じるほど冷え(過ぎ)るエアコンについて語ってもらいましたが、今回はまた目線を変えたW124の素晴らしさ、そして戸賀編集長ならではの、W124の楽しみ方などを教えて貰おうと目論んでおります! 話しの聞き手は、前回に引き続き、雑誌編集者時代から30年来の付き合いを続けている、フリーランスエディターの菅原(スガ)でお送りいたします。

戸賀 スガさぁ、この間話したあとに、あらためて考えてみたんだけど、やっぱり今の時代って、ラグジュアリーとコンビニエンスを混同している節があると思うんだよ。たとえば、W124の場合、冷凍庫のように効くエアコンにしても、操作自体は風量もシンプルなダイアル操作だし、温度の設定はチャンネルを動かすだけ。感覚で動かせるから、すべてを見ていなくても操作できるシンプルさ、機能美がある。

にもかかわらず、現代のクルマには、シンプルに操作できる部分を見つけることが、難しいのが現状だろ?今のクルマは、最新であることのアピールなのか、やたらとスイッチが並んでいて、停車中にスイッチの位置を確認しないと、正確な操作が出来ないくらいの感じだよな。

メルセデスベンツの運転席

菅原 当時のメルセデスの操作系は、直感的に動かすことができるっていうことを、Car Ex(トガ&スガが所属していた雑誌)でもよくやっていたよな。確かに近頃のクルマは機能が増えた分だけ複雑になって、操作性だけで言えば、昔より後退している部分があるかもね。今回は、その辺を理解した上で、内装関係から話しを進めて行きたいと思うんだけど、どう?

戸賀 問題無いよ。

椰子の実の繊維を採用したシート

菅原 さっきのトガの話しにもあったけど、W124の操作系は今のクルマと比べたら本当にシンプルだったから、内装にも華美な装飾のない、本物の機能美があったよね。

戸賀 そうだね。操作系に関しては、必要最低限の要素で作られるからこその機能美だったと思う。そしてメルセデスの内装系と言えば、やっぱりシートの素晴らしさには定評があった。

W124のシート

菅原 そういえば前回、最後の方で、『車内の椰子の香り』について触れていたけど、あれもシートの話しだよね? それについてもう少し詳しく聞かせてくれるかな?

戸賀 前回は、その辺の話しで終了したんだよな。じゃぁ、まずはシートについて話していこう。まぁ、知っている人が多いかも知れないんだけど、当時のメルセデスのシートのアンコ(詰め物)には、椰子の実の繊維や、馬の毛などの天然素材が使われていたんだよ。椰子の実の繊維は、潰れても元に戻る力が強い。さらに、スポンジはずっと使っていると時とともにヤレていっちゃうけど、椰子の実の繊維は耐久性にも優れていた。そして、天然素材なのに通気性がしっかり確保されていて、夏でも蒸れないし、冬は冷たくないというのが当時の評価だった。300E-24には今年の夏しか乗ってないけど、確かに蒸れることはなかったよ。

菅原 天然素材なのに、機能的にも優秀だったんだな。

戸賀 そうなんだよ。でも俺にとって、このシート一番の特徴的は、何と言っても椰子の香りなんだよね。椰子の香りと聞くと、トロピカルな香りを想像する人も多いと思うけど、それは違う(笑)。説明するのが難しいけど、車内に乗り込むと当時のメルセデス独特の香りがするんだよ。32年前に誕生した俺の300E-24に初めて乗った時にもその香りがして、かなり驚いた。

W124の運転席

菅原 32年前のクルマなのに、香りは残っていたのかぁ。シートにヤレているような感じはなかったの?

戸賀 個体差もあるとは思うけど、俺の300E-24はまったく問題無かったよ。椰子の実の繊維はかなり丈夫なんだろうね。そういえば、これも赤池 学さんの「メルセデス・ベンツに乗るということ」という本に書いてあったんだけど、メルセデスがこの椰子の実の繊維を使ったのは、経済的にちょっと厳しい国に、産業を生み出すという狙いもあったらしい。そんな話しもメルセデスらしい逸話だよね。

安全基準の差から生まれた、トランク容量の差

W124のトランク

菅原 ほかにも、乗っている内に気が付いたことってある?

戸賀 トランクのデカさだね。もうバスタブみたいな広さのトランクなんだよ。安全基準とかもあるから一概にはいえないけど、妻が乗っている現行のメルセデスのSのトランクでもキャディバッグは斜めにしなくちゃ入らないのに、俺の300E-24のトランクには、キャディバッグを真横にして乗せることが可能。さらに4つのキャディバッグが積めるから、1台のクルマで4人がゴルフに行くこともできるんだよ。まぁ、実際にすることはないとは思うけど(笑)。でもこれは、意外なメリットだったかも知れない。さらに気が付いたことを言うと、現代のクルマに慣れてしまった俺には、W124がシンプル過ぎて驚くことが多かったのも事実だね。

現代では当たり前な装備は、ほとんど付いていない

菅原 それってどういうこと?  

戸賀 今のクルマにはあって当たり前のものが、ほとんど付いて無いんだよ。まず、助手席のエアバッグが無い。その代わり、小物入れはあるけどね。さらに駐車センサー、衝突センサーみたいな運転支援システムはまったく無い。あ、ドリンクホルダーも無いな。

W124の助手席

でも300E-24に乗り始めてから、運転に関して、楽をし過ぎていた自分に気が付かされたよ。当たり前のことだけど、運転支援システムがないから、自然と運転に集中するようになるんだよ。当然、スマホを操作する余裕なんて皆無だしね。

菅原 スマホ使ったら、捕まっちゃうけどね。

戸賀 当たり前だ(笑)。例えばの話しだよ。何となく300E-24に乗っていると、やっちゃいけないことをクルマが教えてくれている感じがするんだよ。ある意味、運転の基本をあらためて教えてくれる先生みたいなクルマだよね。この先、ネオクラシックのクルマも、確実にクラシックカーに変わっていくことを考えると、クルマ好きなら今のうちにネオクラシックなクルマに乗っておくべきだと思う。クルマ好きにはたまらない、魅力の塊みたいな名車だからね。あ、もうひとつ今のクルマにはあって、W124には無いものを思い出した! これはけっこう驚いた。この年代のクルマ、リモコンキーじゃ無いんだよ(笑)。

菅原 あ~、確かに。

ネオクラシックに、キーホルダーはマストアイテム

戸賀 そして鍵が無茶苦茶チンケなんだよ(笑)。言ってしまえば、黒いゴムと穴が開いてるただの鉄の棒って感じ。でも昔、俺が280Eに乗っていた時、このチンケな鍵を自慢してたんだよなぁ(笑)。もちろん当時はキーホルダーが必須アイテムだったんだけどね。

だから今回の300E-24のキーにも、エルメスのキーホルダーを用意したんだけど、鍵がシンプル過ぎるおかげで、キーホルダーが映えるんだよ(笑)。ネオクラシックに乗るなら、間違いなくキーホルダーは必須アイテムだな!

菅原 ネオクラシックにぴったりなキーホルダー探しも楽しそうだね。

戸賀 スガ、それ次回までの宿題にしよう(笑)。

現行のモデルでは知ることのできない、クルマ好きにはたまらないディープな世界があることを教えてくれるネオ・クラシック。次回は、メルセデスのネオクラシックの、おススメモデルをご紹介していきたいと思います!

乞うご期待!

メルセデス・ベンツ品川
東京都品川区東品川3丁目28−25
営業時間:平日9:30~18:00 土・日10:00~18:00
定休日:祝日
電話番号:03-5479-1700

文 菅原 晃

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