岩田先生

観る者の心を震わせる至高のアートと、入手困難にして極上の味わいを約束する50年モノの古酒。世界でただひとつの絢爛豪華なコラボレーションの裏には、運命的な出逢いが隠されていた⁉ ラストを飾る今回は日本画家・岩田壮平氏と、福光屋 福光太一郎氏のスペシャル対談をお届けします!

水がつないだ不思議な縁(えにし)

約40年前まで、日本に何年も熟成させて楽しむ日本酒がほとんど存在していませんでした。それは、明治時代に政府の税制によって、年を越して熟成させる酒が姿を消してしまったためです。しかし、日本酒の歴史を振り返ると、鎌倉時代にはすでに3年熟成の酒があり、江戸時代には5~10年寝かせた熟成古酒が造られています。 昭和40年代に入り、熟成古酒に挑戦する酒蔵が再び現れ始めました。
12代当主が「長期熟成」への挑戦を始めたのは、1959年のこと。その志を代々引き継いだ福光太一郎氏が、2021年、満を持して世に送り出したのが、50年ものの熟成酒、「百々登勢 1970」。1970年醸造、親子2代に渡って大切に育んできたこの美酒にふさわしいスペシャルなプロジェクトとして、今、最も勢いのある日本画家たちとの“競演”が生まれました。

福光 当社にとって、「百々登勢 1970」は特別な想いを込めた商品です。お酒だけでの販売もしてはいますが、せっかくなら、スペシャル感のある形で皆様にお届けしたいと思ってスタートしたのが、日本画とのコラボレーションでした。岩田先生に、このオファーを受けていただけて、とても嬉しかったです。

岩田 こちらこそ、素晴らしいプロジェクトにお声がけいただき、ありがとうございました。実は私、金沢美術工芸大学に通っていた頃、福光屋さんのはす向かいに住んでいまして。なので、懐かしさと嬉しさがないまぜになり、感慨深かったですし、不思議なご縁を感じました。

福光 えっ、そうなんですか!? まったく存じ上げませんでした。

岩田 お正月に、福光屋さんのところに出ている湧き水を、ほんのちょっと汲ませていただき、それで墨をすって絵を描いたなんてこともあるんですよ。良質な湧き水には、神様の力が宿っているような気がして、それにあやかりたいという気持ちで。

福光 そうでしたか。当社の敷地内の湧き水は、近くのお料理屋さんが出汁を取るために汲みに来るなど、ご近所の方々に活用いただいていますが、先生もそのおひとりだったとは(笑)。その湧き水は、霊峰白山から100年以上かけて流れてきた「百年水」で、「百々登勢1970」にも使っています。

岩田先生
岩田先生

岩田 お酒づくり同様、水は、日本画にとっても非常に重要なもの。日本画は、岩絵の具を膠と水で溶いて描くのですが、その水はやがて蒸発し、天に昇り、いずれ雨になって、また地上へと降りてくる。福光屋さんが、今回のプロジェクトで日本画家に声を掛けてくださったのも、水という深いつながりがあるからではないか。勝手ながら、そう解釈いたしました。作品のモチーフに鯉を選んだのも、水を意識してのこと。古来より、鯉は滝の流れに逆らいながら天まで登り、やがて龍になると言われてきましたし、龍は水の守り神でもあります。この作品から、そんな気配を感じてもらえたら嬉しいですね。

福光 作品を初めて拝見した時、その迫力と色の美しさに圧倒されましたが、そうした想いを込めて描いてくださったんですね。それを伺い、ますます感激いたしました。

ボトルは、ラベルという作品を引き立てる“額”

福光 先生は、日本酒のラベルを手がけるのは初めてと伺いました。日頃描かれている絵とは、やはり違うものですか?

岩田 そうですね。絵は、通常平面で見ていただきますが、お酒のボトルには曲面があるので、見え方が多少違うだろうなとは思いました。ただ、ラベル用に描き方を変えるなどはせず、あくまでも日本画の作品として取り組ませていただきました。従来の絵描きとしての気持ちを大切にしたというか。

岩田先生

福光 それは嬉しいです。今回、ボトルの色を黒にし、艶も消してマットな質感にし、フロスト加工をほどこしたのは、「絵が一番映えるように」という想いからでした。このボトルは、お酒を入れる容器であると同時に、絵を際立たせる額縁でもありますから。

岩田 そこまで考えてくださったとは、絵描き冥利に尽きます。作品はもちろんですが、このボトルも、お酒を空けた後も飾って、楽しんでいただきたいですね。

福光 「百々登勢 1970」はお酒のみも数量限定で販売していますが、「息子が20歳になった時に封を切る」という方もいらっしゃれば、「自分がこの世を去った時に、お世話になった人たちに飲んでほしい」という方もいらっしゃるなど、手に取ってくださった方々それぞれのストーリーが生まれるお酒なのだと思います。日本酒の長期熟成酒には、低温度帯で恒温による「淡熟」と、四季の気温の変化に委ねた「濃熟」があるのですが、「百々登勢 1970」は後者。ですから、ご購入いただいた後、開封せずに、光の当たらない冷暗所で保管いただければ、さらに熟成が進みますしね。

日本酒にも日本画にも、人智の及ばぬ力が宿っている

岩田 私は残念ながらお酒が飲めないのですが、お酒の香りには惹かれます。熟成酒である「百々登勢 1970」は、どんな香りなのでしょう?

福光 非常に芳醇で、豊かな香りですよ。色味は、透明感と輝きを持った琥珀色で、味わいは、さまざまなフレーバーの要素を持ちながら、まろやかでバランスが良い。自信を持って、皆様におすすめできるお酒に仕上がりました。ただ、これは狙ってできるものではありません。同じ原料を使い、同じ手順でつくっても、気候や発酵の状況次第なので、最終的にどんなお酒になるか、つくり手ですら、わからないんです。

岩田先生

岩田 神のみぞ知る……ですね。私も、たらし込みという、絵の具を溜めた中に、違う絵の具を垂らして混ぜていく手法を用いていますが、それに似ている気がします。絵の具の水分が蒸発した後に、水の流れというか、痕跡が残るわけですが、どんな模様になるかは、仕上がってみないとわからないんですよ。描くのは作家ですが、人間の力だけではない、別の力が働いて完成するというか……。神様が降りてくるかどうか、なのかもしれません。そして、神様は、脈々と受け継がれてきた歴史や、日々の鍛錬など、まじめにコツコツと取り組んできたところに降りてくるのではないかと思います。

岩田先生

福光 そうかもしれません。もともと日本酒は、神様と人間を媒介するためのもので、神様に仕える者がつくってきた、いわば「神事」。絵と同様、日本酒と神様も、非常に近しい存在なんです。

岩田 なんだか、いろいろなところにご縁を感じますね。この出逢いに感謝です。

福光 こちらこそ! これをご縁に、今後とも宜しくお願いいたします。

岩田先生
(画像=岩田氏と福光氏、双方ともに親交のある日本画家の福井江太郎氏も合流。シリーズ第一作を飾った福井氏の作品はすでに完売。)

日本酒と日本画、福光屋と岩田壮平氏の間に佇む深い縁から生まれた「六々魚」×「百々登勢 1970」。贅沢なこのコラボレーションを手にした人にも、この素敵な縁がつながっていきますように!

販売情報はコチラ! 大丸東京店 美術画廊で取り扱い

岩田先生

「百々登勢1970×六々魚」¥3,300,000(税込)
※岩田壮平『六々魚』10号M
商品のご購入・問い合わせ:大丸東京店 美術画廊 03-6895-2607
販売期間:2022年6月22日(水)〜7月12日(火)
※商品の受け取り・決済は大丸東京店となります
※限定1セット販売のため、先着順になること予めご了承ください

岩田壮平 

1978年
愛知県生まれ
1981年
華道池坊入門(’95まで)
1998年
臥龍桜日本画大賞展(’05)
1999年
日春展 以後毎年出品(’08’09奨励賞、’10日春賞)
2000年
金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科絵画専攻日本画卒業 卒業制作大学買上
2001年
日展 以後毎年出品(’05’10特選)
2002年
金沢美術大学大学院美術工芸研究科修士課程絵画専攻修了
2008年
第7回 菅楯彦大賞展 大賞、第4回 東山魁夷記念 日経日本画大賞 入選(’12)
2009年
損保ジャパン美術財団 選抜奨励展、第一回 絹谷幸二賞 推挙
2012年
文藝春秋10月号目次原画制作、個展「めもあやな」/日本橋三越本店・名古屋・福岡・仙台
2013年
婦人衣料 ENFOLDコラボ服/ENFOLD・伊勢丹各店・基幹店、連載「粋狂花盗人」(月刊美術2013年10月号~2014年9月号)
2014年
個展「Origin」/ 髙島屋 東京・横浜・名古屋・京都・大阪・岡山
2015年
第6回 東山魁夷記念 日経日本画大賞展 大賞
2016年
個展「野馬荘という名の画室より」/佐藤美術館、個展「蒐められた花」/日本橋三越本店、個展「天上ノ彩~地二万万」/福山天満屋
2017年
「日本画山脈 再生と革新~逆襲の最前線」/巡回 岡山県新見市・佐賀県唐津市・広島県呉市・愛媛県八幡浜市、上野アーティストプロジェクト「現代の写実―映像を超えて」/東京都美術館
2018年
個展「拈華」/髙島屋 東京・大阪・京都・横浜
2019年
「植物の力」 / 香川県立東山魁夷せとうち美術館
2020年
「SEVEN ARTIST」 / 松坂屋美術館(名古屋市)、初の画集『cycle』刊行、個展「画集刊行記念 岩田壮平日本画展~cycle~」/天満屋 岡山・米子・福山
2022年
個展「Ode」 / 日本橋三越本店・高松・福岡
現在 日展会員、武蔵野美術大学教授

撮影 小澤達也
文 村上早苗


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