ポルシェ

「ポルシェ」と聞いて気持ちが高ぶらないオトコがいるでしょうか!? しかも「911」が追加されれば、リッチなオジサンの脳内には、ドーパミンやエンドルフィンがだだ漏れするのは間違いありません。そこで短期連載企画として、時代を超えてクルマ好きなオトコを魅了してきた911について、改めて紹介したいと思います。
短期連載の最終回はエンジンが水冷化された「近代911」の2モデルを、J PRIMEの目線から解説します。

水冷化→ダウンサイジングと時代の流れに沿って進化

この「ポルシェ911ヒストリー」の連載5回目で、順調な進化を遂げた997型のことを解説しました。その997に代わり、2011年にまたまた911の歴史上、衝撃的な革命をもたらす991型がデビューします。
ボクスターとカイエンの売り上げに、超絶人気のマカンの収入が加わり、当時のポルシェは順風満帆! 豊潤な資金を投入して作られたのが、この991なのです。

ポルシェ短期連載
(画像=991は先代の997から90%の部品が見直されました。アルミ素材を多用したボディは997からサイズが拡大(ホイールベース100mm延長)したにも関わらず、80kgほど軽くなっています。2013年登場のターボは3.8リットルで520PS、ターボSは560PSを発揮。その3年後にマイナーチェンジすると、560PS・580PSにまでパワーアップしました。)

最初の991はカレラ系でエンジンを3.6リットルから3.4リットルに縮小。戸賀編集長は「エンジンの“ダウンサイジング化”よりも、前期型のカレラ&カレラSは“最後のNA”エンジンであることに注目したいですね」と、991前期型のトピックスを解説。

そして、2016年のマイナーチェンジではさらにエンジンがダウンサイジングされ、ターボが搭載されました。
「後期型になって、GT3を除く全車がターボ化されたわけです。いやはやこのターボ化されたカレラ&カレラSの速さは尋常じゃありませんでしたね」と、戸賀編集長は当時を振り返ります。
なるほど。彼の言葉どおりマイナーチェンジ後の後期型ではカレラ/カレラSともに3.0リットルに縮小する代わりに、2基のターボを備えてカレラで370PS、カレラSで420PSを実現。ターボラグがほとんどないリニアな出力特性はとても気持ちよく、またアルミ素材を多用した軽量ボディと相まって、991型の走りはすこぶる軽快でした。

「最高回転数が7500rpmまで引き上げられ、高回転でパワーが出るセッティングも、気持ちのよい走りに貢献していますね。また、パワステが電動化され、ロール補正をアクティブに行うPDCCやトルクベクタリング機構のPTVなど、ドライバーズエイドの装備がより進化していることも、991型の魅力です。そうそう、991のもう一つのトピックスとして、4WS(四輪操舵)搭載を忘れてはいけませんね。そのおかげで低速コーナーリングでは俊敏性が増しましたし、高速クルージングで安定してレーンチェンジできるようになりました。また、タルガが昔のカタチに戻ったことは、往年の911ファンとしてはすこぶる喜ばしいことでしたね」と、またまたヲタク薀蓄を披露する戸賀編集長。

そんな彼はあえてタルガを選ばず、991の前期型・後期型ともにGT3を、それも「大排気量&大パワーをMTではきちんと操作できない」と判断して8速PDKを選び、RRスポーツカーならではの切れ味鋭い走りを堪能…(詳しいことは『戸賀編集長の愛車遍歴』で語りましょう。乞うご期待!)

ポルシェ短期連載
(画像=991からタルガが頭の上が開くタイプに戻りました。「この992でもタルガは大人気で、新車は納車2年待ちがザラですから!」と語る戸賀編集長。また、「992型はテールランプが細くなり、印象がとてもシャープになりました。それも人気の理由の一つです」とも。)

そして、そんな991をよりスタイリッシュに進化させた992型…現行911が2019年にデビューします。なんと言っても992は近年のポルシェ車に共通するデザインの流れを汲んだ、4点式のLEDヘッドライトと細くシャープな印象のテールランプが特徴です。この一文字テールランプは、もはやポルシェのアイデンティティと言ってもいいでしょう。そして、そのデザインは昨今のトレンドになっています。また、PDKは7速から8速に進化し、インテリアはよりモダンかつラグジュアリーになっています。

そうしたエクステリア&インテリアの変化と若干の装備変更に比べると、992のエンジンは先代991の後期型とたいして変わっていません。
「でも、インタークーラーの位置がリアフェンダーからエンジン直上に変更され、冷却効果が高まったおかげで出力はアップしています。それにエンジンそのものの搭載方法が、エンジンハンガーからシャシー直付けマウントに変わりました。これによってリアの剛性がアップしたので、992は“腰の据わった走り”に仕上がっています」と語る戸賀編集長。

良いところだらけの992ですが、さらに“アゲアゲ”ポイントを加えるならば…992はエキゾーストサウンドが格段に良くなったこと。アクセルを踏めば低回転から高回転まで、すこぶる大迫力で官能的なサウンドを満喫することができます。
「991の時はGT3でさえ高回転時くらいしか楽しめなかったエキゾーストノートを、992では低回転から満喫できるようになったんです。このサウンドを楽しむためにも、なにより992の本当の性能を体感するためにも、997から設定されているスポーツクロノとスポーツエキゾーストのオプションを忘れてはいけません。この2つのオプションのおかげでエンジンのレスポンスが向上し、カタログデータどおりのパワーが発揮されるのです。911乗りならば絶対忘れてはいけないオプションです」と戸賀編集長は力説します。今後992を買おうとしている人は、戸賀編集長のアドバイスを忘れないでくださいね。

んじゃあ、そういう戸賀編集長は991から992に買い替えないの?…と問いたくなりますよね!? すると彼は「性能はもちろんのこと、一体型(一文字)テールランプも5連メーターのコクピットも、すべてひっくるめて992はベスト・オブ・911だと思っています。う〜む、マイナーチェンジ後にターボSかGT3を買っちゃおうかな(笑)」とか。

先代991型は、自然吸気エンジンのような気持ちいいターボの出力特性と軽量化ボディの相乗効果で軽快な走りを実現。992型はその走りを剛性アップしたボディ&ワイドトレッドによって、さらに洗練! 

「フラット6が空冷から水冷になって、約四半世紀が経ちます。空冷がアンティークの領域に入りつつも、ある意味では昨今の風潮に合ったサステナブルなエンジンでもあります。“どちらが良いか”と比較するのではなく、両方の良いところを認めればいいんじゃないでしょうか」と戸賀編集長は語ります。
さらに「昔からポルシェはレースで勝つために、どのメーカーよりもターボの技術を磨いていたんです。そんな“ターボ屋”であるポルシェが手がけたターボエンジンは、いよいよ完成の域に到達したと言ってもいいでしょう。今後ハイブリッド?電気?の時代が来るのは必至ですから、最後に今の911に乗っておきたいものですね」とも!…いちばん好きなクルマとしてポルシェを挙げ、911ヲタクを自称する戸賀編集長の言葉で、『911ヒストリー』を締めくくりましょう。

文 高 成浩(POW-DER)


【関連記事】
正真正銘のエンスーだけが分かる初代911はまぎれもないエンスーRRスポーツなのであった!〈901型〉
いよいよJ PRIME戸賀編集長も乗った911が登場! 先進技術を搭載して乗りやすくなった近代化911〈964型〉
エンジンとボディの“付加価値”によって、世界中の高性能スポーツカーに変革をもたらした2代目911〈930型〉
マルチリンク・サスというトピックスよりも「空冷エンジンはこれで最後!」という話題が先行!〈993型〉
戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第2弾! 「ポルシェでスポーツドライビングの楽しさを知りました」