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ミリタリー顔でありながらエレガントな魅力

名作「タイプXX」待望の新作は軍用と民生用の2モデル

2023.06.10

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名作「タイプXX」待望の新作は軍用と民生用の2モデル

およそ70 年にわたりパイロット時計のアイコンとして地位を築いてきたブレゲの「タイプ XX」。今季そのヒストリーを踏まえつつ、最新テクノロジーをまとった次世代につながる2つの「タイプ XX」が華々しくデビュー。気になるその背景を徹底リポートします。

航空時計における歴史を持つブレゲの本質

ハイエンド・パイロットウォッチの代表作として世界中の時計愛好者から支持を得るブレゲのタイプ XX。その長い歴史を踏襲しつつ、新生代のテクノロジーを積極的に盛り込んだ、次世代タイプXXが今季2タイプ登場します。すなわち軍用時計から着想したモデルと、最良の民間モデルに由来する2つの新型です。

一流のメゾンとして自負を持つブレゲは、19世紀に航海の分野にて役割を果たしたように、20世紀には航空の分野に貢献し、人類の偉大な冒険に熱心に関わってきました。多くのパイロットが買い求めたアイテムこそブレゲの時計でした。1910年にはアルベルト・サントス-デュモン、1918年にはフランスに滞在中のアメリカのパイロットたちやルイ・ブレゲ航空会社。それに1920 年にはフランスを訪れた日本人パイロットなど、多くの人々がブレゲのパイロットウォッチを手にしたのです。

ブレゲ社の資料を詳細に調査すると、航空環境の特別な規定に合致する多数の「特注」製品が 1930年代以降に登場したことが判明します。たとえば耐磁性のシルバー・ケースに収められた19 リーニュ の飛行場用クロノメーター、スプリットセコンド・クロノグラフの積算計、断熱ケースが備わる24 リーニュの小型積載用クロノメーター、サーモスタットと照明、シデロメーターなどなど。これらの高度な技術による製品は、軍用の航空と国営航空会社として創設されたばかりのエールフランスに供給されました。 1950年代初頭からは、航空機の計器パネルに積載する時計機器の供給が一段と増加傾向に。それはまさに、ブレゲが30年もの間、高い評価を得ていた専門技術のひとつなのです。最も普及したモデルには「タイプ 11」「タイプ 11/1」「タイプ 12」などがあり、これらは多くの国に販売され、さまざまな航空機の計器パネルに搭載されたのです。

以上のように航空業界に多く寄与してきたブレゲは、1930年代にすでにクロノグラフ機能が備わる腕時計をより多く製造するようになり、戦後もその傾向を継続しました。パイロットにとって航空機に搭乗した際、安全上の理由から代理機能を用意しておくことがマスト。その際に極めて重要な役割を果すのが時計です。当時それは計器パネルのクロノグラフを別のクロノグラフでバックアップすることを意味しており、何よりパイロットが着ける腕時計型クロノグラフが担っていたのです。これこそがまさに伝説の「タイプ XX」であり、スぺシャリストの地位を築いた時計機器の核心なのです。

ミリタリーモデルの系譜に連なる「タイプ20 クロノグラフ Ref.2057」

新作のひとつは、1955年から1959年にフランス空軍に納められた1100本のモデルからインスパイアしています。その名称にはローマ数字で「タイプ XX」と表記される海軍航空隊モデルを含む、あらゆるモデルとは異なり、アラビア数字の「20」を採用。ダイヤルは原型となる「タイプ 20」のスタイルを忠実に踏襲し、ブラックにて現代的に仕上げられています。アラビア数字とベゼルの3角マーカー、そしてすべての針にミントグリーンの夜光塗料を塗布。3 時位置の30分積算計は、時位置のスモールセコンドより若干大きくなり、4時と5 時の間に日付表示の窓が設けられています。ステンレススティールによる直径42mmのケースには、過去に空軍向けに供給されたモデルと同様、目盛りの刻みがなく縦溝模様を施したベゼルを取り付けています。リューズはオリジナルモデルを想起させるポワル型(梨型)。3段引きにて各調整(1 ニュートラル、2 日付修正、3 時刻合わせ)が行えます。2時位置のプッシャーはクロノグラフの作動に用い、計測のスタートとストップを担当。4時位置のプッシャーは、クロノグラフ針と積算計のゼロリセットに用い、ブレゲ得意のフライバック機能により瞬時にクロノグラフの再スタートが可能です。

民間用モデルの系譜である「タイプ XX クロノグラフ Ref.2067」

大胆な表情を持つ2つめの新型は、1950年代から1960年代の洗練された民間用「タイプ XX」の系譜をダイレクトに踏襲。とりわけ1957年に製造されたRef.2988の「タイプ XX」に通じる要素が顕著です。ダイヤルはRef.2057と同じくブラック仕上げにしていくつか相違点を持ちます。まず表示が異なり、3時位置に15分積算計、6時位置に12時間積算計、9時位置にスモールセコンドが配置されているところ。さらに積算計は軍用モデルと同様に大きさを変えてデザインされ、ダイヤルに一段と力強い表情を与え優れた視認性を実現。アラビア数字、針、ベゼルに配した3角マーカーには、それぞれアイボリー色の夜光塗料が用いられています。さらに、4 時と 5 時の間に日付表示の窓を設置。ステンレススティールによる直径42mmのケースには目盛りを刻み、縦溝模様を施した両方向回転ベゼルを備えています。リューズはクラシカルな直線型で、3段引きにて各調整(1ニュートラル、2日付修正、3時刻合わせ)が可能。2時位置のプッシャーはクロノグラフの作動に用い、計測のスタートとストップを担当します。また4時位置のプッシャーは、クロノグラフ針と積算計のゼロリセットに用い、フライバック機能にて瞬時にクロノグラフの再スタートを可能とします。

新型キャリバーが誇る高精度と頑強な構造

ブレゲ・マニュファクチュールにおける 4 年の開発を経て、新しい自動巻ムーブメント、すなわち民間モデル用のcal.728と軍用モデル用のcal.7281が誕生しました。頑丈な構造と革新的な技術を融合したこの新しいムーブメントと派生ムーブメントは、複数の特許で保護され、コラムホイール、垂直クラッチ、5Hzという高振動、革新的なゼロリセット機構など、クロノグラフに現代的な設計が取り入れられています。さらにクロノメトリー(高精度な計時)における最先端の革新的な技術も導入。まずひげゼンマイ、ガンギ車、アンクルのホーンはシリコン素材。このシリコンは腐食や摩耗に耐性があり、磁力の影響も受け ないので時計の精度向上に貢献します。さらに、この自動巻きクロノグラフ・ムーブメントには60時間という長時間パワーリザーブが備わります。現代的なライフスタイルに理想的なスペックを持つ機械となっているのです。

現行コレクションへの追加が熱望されていたこれら 2 つのモデルは、航空機の翼を思わせるハバナカラーのレザーボックスに納めて販売予定。この新しいクロノグラフは、カーフスキンのストラップに加え、付属品としてブラックのNATOストラップもボックスに収納されており、オーナーは好みに応じて時計のスタイルを変えることが可能です。歴史あるパイロットウォッチに範をとった2つの新作クロノグラフは、スポーティにしてビンテージのエッセンスを備えているところが最大の魅力。エイジングしたレザージャケットやスエードブルゾン、それにスポーティなテックアウターに合わせることで、颯爽としつつも味わいと品格を備えた高感度スタイルに仕上ること間違いありません。

タイプ 20 クロノグラフ 2057
「ミリタリーバージョン」
¥2,585,000(税込)

SPEC
ケース径:42mm
ケース厚:14.1mm
ケース素材:ステンレススティール
ムーブメント:自動巻き、キャリバー:7281、5Hz(3万6000振動/時)
ダイヤル:ブラックダイヤル
パワーリザーブ:60時間
防水性:10気圧 (100m)
ストラップ:付け替え可能なカーフストラップとNATOストラップの2本付き

Technical data: タイプ XX クロノグラフ 2067
「民間バージョン」
¥2,585,000(税込)

SPEC
ケース径:42mm
ケース厚:14.1mm
ケース素材:ステンレススティール
ムーブメント:自動巻き、キャリバー:728、 5Hz(3万6000振動/時)
ダイヤル:ブラックダイヤル
パワーリザーブ:60時間
防水性:10気圧 (100m)
ストラップ:付け替え可能なカーフストラップとNATOストラップの2本付き

BREGUET(ブレゲ)
https://www.breguet.com/jp
*外部サイトに移動します

文 長谷川 剛

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