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“クルマ通”戸賀編集長の愛車遍歴

戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第15弾!「まさにドンピシャなタイミングで登場、今でも気になるプジョーRCZ」

2023.06.14

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戸賀編集長が語る愛車ヒストリー 第15弾!「まさにドンピシャなタイミングで登場、今でも気になるプジョーRCZ」
画像はトガブロ。より

業界でも屈指の “クルマ通”である戸賀編集長。数々の名車を乗り継いで来た彼が「何を基準にクルマを選んだのか?」、または「そのクルマのどこが魅力なのか?」を語ります。J PRIMEをご覧の貴兄の“今後のクルマ選び”の参考になれば幸いです。話の聞き手は、戸賀編集長の雑誌編集者時代の同期、フリーランスエディターの菅原。若い頃の数年間は、仕事も遊びもほとんど一緒に過ごしていたという「トガ&スガ」の二人。そんな二人ならではの昔話、こぼれ話もお楽しみにください!

愛車レンジローバーを売ったお金で、デビアスの「プロミス」というワンオフモデルの指輪を買い、彼女とのハワイ旅行でプロポーズを決行した戸賀編集長。
お金が無くなった彼が購入したのが、スマートの初代カブリオでした。しかしこのスマート、お金が無くても見栄の張れるセカンドカーとしては最高の1台だったものの、やはり実用性にちと難あり。次に戸賀編集長のアンテナに掛かった1台とは?

スマートからプジョーRCZへ

菅原 スマートでは、彼女とゴルフに行けないし、やっぱり走りも楽しめない。そこでトガは、金はないのに新しい車を探すことになった訳だ(笑)。

戸賀 理由はいたってシンプル。楽しい車に、もっとスマート乗りたかったんだよ。でもスガの言う通り、金は無い(笑)。当然ポルシェ、いやボクスターを買うこともできなかった。

菅原 で、金の無いトガは、どんな車に目を付けたの?

戸賀 まずは外せないのが、輸入車であること。さらに個人的に、本国仕様のまま乗りたいっていうのがあるから、ヨーロッパの車に乗るんだったら左ハンドル、イギリスの車に乗るなら右ハンドルがいい。メーカーの都合でできないこともあるけどね。

菅原 『金はかけず、ドライビングが楽しめて、彼女とゴルフに行くときは、荷物も余裕で載せられる』っていうのを考えると……そんな車あるか?

戸賀 無いんだよ(笑)。だからまず探したのは、左ハンドルでマニュアルの車。そして、小さくてもいいけど、リアシートを潰せば無理なくキャディバッグ2つ+αが積めて、彼女とゴルフの練習&コース、小旅行にだって行ける車だった。

菅原 やっぱり無いな(笑)。 その当時だと、輸入車にも右ハンドルの文化が強くなり始めてた時だよな。

戸賀 そうなんだよ。お金を払えば、お高い車で左ハンドルのマニュアルはあるんだけどね。なんども言うけど当時の俺にはお金がない(笑)。でも、そんなタイミングに発表されたのが、プジョーのRCZなんだよ。

戸賀 この車、1.6リッターターボの2×2で、右ハンドルはオートマだけど、左ハンドルがマニュアルなんだよね。値段も確か400万ちょいぐらいだった記憶がある。サイズ的には小さいけど、価格的には当時の俺にとってはかなり魅力的だった。

菅原 いや、400万はかなり無理しているような気がするけど(笑)。

戸賀 確かに、ちと無理はした(笑)。でも、そこで見つけたのが、屋根が黒、ボディがパールホワイトで内装も黒のRCZだった。すごく凝った作りで、ダッシュボード回りなんかレザー張りに見えるけど、実際には合皮を貼ってるんだよ。ステッチ風なものも効いていて、とても400万円には思えない完成度。

戸賀 FFのみで四駆はないんだけど、俺にとってはまさにドンピシャなタイミングで登場してきた車だった。ルーフの素材がカーボンで、さらにバブルルーフを採用しているあたりのこだわりも俺には刺さった。迷うことなく乗りました、って感じだったかな。

菅原 で、そのRCZ、キャディバッグは問題なく積めたの?

戸賀 これが驚き! リアシートは荷物置き場にしかならないサイズだったけど、これを倒すとキャディバッグが縦に4個載るぐらいの広大なスペースが生まれるんだよ。さらにハッチバックでガバッと上に開くから、積んだキャディバッグの上にも余裕がある。だからキャディバッグの上に、ボストンバッグ載せることもできた。積載量は完璧。二人でゴルフ行くには最高の車だったね。ちなみに、ちょっと走りの話しをさせてもらうと、FFなのにテールスライドができるんじゃないかっていうくらい安定志向の車だった。俺的にはかなり楽しく走れたけど、当時、彼女がどう思っていたかは聞いてない。気になるけど(笑)。

菅原 「テールスライドできる」じゃなくて、「テールスライドができるんじゃないか」っていうトガに、成長を感じるよ(笑)。

戸賀 うるさいよ(笑)。良くも悪くもFFの癖は強いんだけど、攻めた走りも楽しめるし、マニュアルも操作しやすかった。久々に小排気量のマニュアルで、面白い車に乗ったのがRCZだったね。今でも『RCZのマニュアル』ってネット検索することがあるんだけど、1台だけ走行1000キロぐらいのやつが出てくるんだよ。プレミアはついてないけど、だからこそ、今が買いなのかもな! あまり口には出さないけど、RCZ、けっこう本気で気に入ってたんだよ(笑)。

RCZの思い出話

戸賀 そういえば、RCZには面白い思い出がある(笑)。RCZで編集部にも通勤していたんだけど、近くに出光のガソリンスタンドがあったんだよ。

菅原 キラー通りの出光?

戸賀 そうそう。仲良くさせてもらっていたから、そこによく汚いRCZを置いて、後で取りに来るよって言ったまま、一日止めちゃったりしてさ(笑)。

菅原 やっぱり成長はしていなかった(笑)。

戸賀 で、ある時スタンドから、「戸賀さん、早く取りに来てくださいよ」って電話かかってきたから、アシスタントの藤倉に取りに行かせたんだよ。

ここで現在J PRIMEのディレクターで、当時のアシスタント藤倉が登場。

藤倉 またあの話しですか(笑)。

戸賀 だって面白いからさ(笑)。スガにも聞かせてあげないと(笑)。キラー通りの出光から青山通りに向かう途中、スキーショップ次郎あたりから150mぐらいの緩~い坂道があるだろ? あそこで藤倉はハンクラを使いまくったらしいんだよ(笑)。RCZのマニュアルには、ヒルスタートアシスタンスっていう坂道発進を補助するための機能が付いていたのに(笑)。会社の入り口から駐車場まで30mぐらいだったんだけど、会社のドア開けた瞬間にクラッチの焼けた匂いがして、白煙がぼうぼう上がっててびっくり。火事かと思った(笑)。

藤倉 返す言葉もございません…!

菅原 トガに殴られなかった?(笑)。

藤倉 殴られはしませんでしたけど(笑)、まあまあ怒られました…!

戸賀 でも驚いたのは、その後。そんなことがあったのに、RCZはまったく壊れなかったんだよ(笑)。本当にプジョーらしいというか、ドイツ車に近いっていうか。フランス車だけに猫足でもあったけど、ドイツ車使いっていうのかなぁ、そんな使い方もできる本当にいい車だった。

小排気量の車が持つ魅力

戸賀 基本的なことを言うのを忘れていたけど、やっぱり小排気量の車って、ちょっとしたタイミングでも全開にしやすい。全開って言うと暴力的なイメージを持たれがちだけど、小排気量の車をキビキビ走らせるには、ある程度は積極的にアクセルを踏まないとならない。ちなみにクラッチペダルは、そんなに踏まなくていいけどね(笑)。

藤倉 返す言葉もございません…!

菅原 たぶん、一生言われるよ(笑)。

戸賀 RCZやアバルトもそうだけど、小さい車、小排気量の車ならではの喜びっていうのは、常にエンジンを回して運転を楽しめるところにもあるよね。 じつはRCZ、その後パールホワイトのRCZから、ブラウンメタリックの限定車Brownstoneに乗り換えているんだよね。ボディ色、内装が変わっただけで、ほぼ同じスペックの左ハンドルのマニュアルに (笑)。

菅原 限定好きの血が騒いだ?(笑)

戸賀 確かに、限定が好きということもある(笑)。でもRCZは本当にいい車だったから、ちょっと他のカラーも試してみたくなった。じつはパールホワイトの下取りが良かったのが一番デカいけど(笑)。今でも、中古で買っても絶対に悪くない1台だって思うよ。なぜならライバルだったアウディTTは、もう生産中止になったけど、ファイナルエディションが確か950万くらいでしょう? いや、高くてもう買えないよ。TTは2リッターのターボだけどね。その点、RCZはプレミアがついてないから現状安い。プジョーが持つ、上品、上質、知的さに、RCZの骨太な感じと、明らかに肉食系な佇まいを併せ持つRCZが、今なら驚きのバーゲンプライス。乗り心地も良かったし、スポーティーだったし、本当に良く乗った1台だから、人と被りたくないっていう人の車の選択肢としては、大いにありなだと思うよね。で、RCZの次は、ついに久しぶりのセカンドカー生活に入るんだよ。

次回に続く。

プジョーRCZ LHⅮ
全長×全幅×全高:4290mm×1845mm×1360mm
ホイールベース:2610mm
トレッド前/後:1580/1600mm
駆動方式:FF
車両重量:1350kg
最高出力:200ps(147kW)/5800rpm
最大トルク:28kg・m(275N・m)/1700rpm
種類:直列DOHC4気筒ターボ
総排気量:1,598cc
価格:¥4,230,000(税込)※2011年当時

文 菅原 晃

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