(画像=Oleksandr Kavun/Shutterstock.com)
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2019.2.19

ファッションではなく芸術。オートクチュールの世界 

グローバル化が進み、ファストファッションが世界中で流行を生み出し、SNSで瞬く間に広がる現代のファッション業界ですが、西洋のファッションの歴史は、顧客からの注文に応じて縫製される完全オーダーメイドの「オートクチュール」を起源としています。

世界中のファッショニスタが注目するパリコレクションにおいても、「プレタポルテ(既製服)」とは別に、オートクチュールのコレクションが今なお展開されています。オートクチュールの世界は、ファッションの域を超え、もはや芸術に達しています。

有名メゾンの起源はオートクチュール

オートクチュールの歴史は、フランスで仕立て屋さんの集まりであるクチュール組合が1868年に創設されたことに始まります。いまや世界的なブランドとして人気を集めるシャネルやディオール、ジヴァンシィ、イヴ・サンローラン、ランバンといった高級メゾンもオートクチュールからそれぞれのブランドの歴史をスタートさせています。この組合に所属するメゾンが発表する作品がオートクチュールに分類されます。

プレタポルテの世界では、デザイナーが製作した洋服を、複数のサイズ展開を経て顧客が購入するという構造になっています。当然ながら、ビジネスの側面もあるため、市場で売れる洋服とデザイナーの創造性との妥協点を探りながら、デザインや洋服の値段に折り合いをつけなければなりません。

一方のオートクチュールは、世界的な映画俳優やセレブ、大富豪、貴族など上流階級層が顧客リストに名を連ねています。オードリーヘップバーンがジヴァンシィ、カトリーヌ・ドヌーヴはイヴ・サン=ローランなどといったように、各メゾンがセレブを顧客に抱え、超一流のセレブが着用する服ともなれば、1着のお値段は数百万円から数億円ということも珍しくありません。

しかし、その値段の裏には、厳選された最高級の装飾や生地をベースに、職人が何百時間もかけて一着を製作していくというプロセスがあります。富裕層ともなれば、他人とは異なる特別な一着を求めるため、値段は二の次となり、こうした顧客によってオートクチュールの芸術の世界が支えられている面があります。

華々しいオートクチュールの世界ですが、これまで順風満帆にその歴史をたどってきたというわけではありません。かつては、オートクチュールがパリコレクションなどで注目を集める一方、1970年代にはプレタポルテが躍進し、コレクションでの存在感もオートクチュールに匹敵するほどにまで成長しました。プレタポルテの台頭により、オートクチュールから撤退を余儀なくされたメゾンもありました。また、高額なオートクチュールの洋服は、景気にも左右されやすく、2000年代のリーマンショック時などには、注文が大きく落ち込みました。一方、これまで欧米中心だったオートクチュールの顧客が、アジアや中東を中心とするニューリッチ層にも広がり、彼らが新たにオートクチュールの世界を支えるまでに成長しています。

特に、オイルマネーで潤う中東はいまや、オートクチュール市場の3割の売り上げを占めるという調査データまであります。莫大な財産を築いたニューリッチ層にとっては、多少の景気の浮き沈みによって消費が影響を受けることは少なく、オートクチュールにとっても追い風となっています。こうした顧客の存在により、オートクチュールはさらに、その芸術性を追求して、豪華な洋服の製作に邁進できるようになっています。

新たな顧客とともに、新たなステージに突入したともいえるオートクチュールは、ファッションだけの世界にとどまらず、匠の技を盛り込んだ洋服で芸術の域に達しています。

文・J PRIME編集部

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