五輪,原石, J-STARプロジェクト
(画像=Mooshny/Shutterstock.com)

東京五輪・パラリンピックを控え、有望選手を全国から発掘する「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト」が3年目を迎えています。取り組みが本格化してきていますが、このプロジェクトはどのような視点から生まれ、どのような選手が育ってきているのでしょうか。

リオ五輪・パラリンピックの成果と反省

2016年のリオ五輪・パラリンピックではメダル獲得数や入賞数が前回大会を上回る成果を上げたものの、五輪ではメダルを獲得した競技数が減少、パラリンピックでは史上初めて金メダルを逃しました。

スポーツ庁の鈴木大地長官はこの結果を受け、課題が浮き彫りになったと指摘。日本はメダルを安定的に獲得できる競技が固定的で少なく、今後はメダルを獲得できる競技数を増やしていくことが必要だと総括しました。

鈴木プラン

鈴木長官は同年、「鈴木プラン」と銘打った競技力強化のための支援方針を打ち出しました。前述の課題を克服するには、各中央競技団体は競技力の強化、スポーツ庁他はその支援に取り組む必要があると考え、それを具体化しました。

6つの柱から構成されていますが、その中に「アスリート発掘への支援強化」という項目があります。これは、今後恒常的なメダル獲得を目指す競技を対象に、アスリートの特性に応じて競技を探したり、類似したスキルの種目に転向するのを促したりして、有望選手を発掘しようという取り組みです。

種目転向で成功したアスリートはいる?

スポーツ庁によると、硬式野球部員は日本全国で約16万人、サッカー部員はそれを上回る約17万人いるものの、甲子園や全国高校サッカー選手権に出場できる人は少なく、プロまで進んで国際大会を経験できるのはさらに限られます。

そこまで到達できなかった人の中にも、競技人口が少ない競技で才能を発揮できたら、五輪やパラリンピックでメダルを獲得できる人はいると同庁は見ています。

ところで、種目を変えて実際に成功したアスリートはいるのでしょうか。

同庁によると、リオ五輪の男子400mリレーで史上初の銀メダルを獲得した日本チーム4人のうち、山縣亮太選手、桐生祥秀選手、ケンブリッジ飛鳥選手は、小学生の頃にサッカーをやっていて、その後陸上競技へ転向したそうです。

また、平昌冬季五輪で金メダルを獲得した高木菜那選手・美帆選手の姉妹は、女子サッカーでも有望なプレーヤーだったそうです。リオ・パラリンピックの400メートルで銅メダルを獲得した辻沙絵選手は大学2年までハンドボール選手でした。種目転向の成功者も存在しています。

J-STARプロジェクトの発足

鈴木プランなどを背景に2017年、スポーツ庁が主導する「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STARプロジェクト)」が発足しました。

各競技に適した有望な人材を見出し、専門家の検証・評価を通じて各競技団体の強化育成コースに導いていくことが目的です。対象競技は年によって変化がありますが、第3期では五輪競技で水泳(飛び込み)、ボート、ウェイトリフティング、ハンドボール女子、7人制ラグビー女子の5競技、パラリンピック競技で陸上(身体障がい)、ボッチャ、パワーリフティング、水泳(身体障がい)、車いすフェンシング、アイスホッケーの6競技となっています。

日本の得意な柔道や水泳、体操などではなく、今後メダル獲得の可能性を高められる競技が選ばれているそうです。

対象者は五輪競技が満12~17歳、パラリンピック競技が満12歳以上。今期は第3期生の選考が進められます。

具体的な取り組みは?

選考過程は3つのステージに分かれています。

第1ステージでは全国から条件を満たした人の応募を受け付け、審査を経て通過者を決定します。

第2ステージでは体力測定や競技体験等の「測定会」を実施、次のステージへの通過者を決定します。

第3ステージでは、特定の対象競技から有望とされた人を対象に合宿やトレーニング等の「検証」を約1年間実施。さらに各競技団体の育成プログラムの対象者とするかが決定されます。

スポーツ庁によると、第1期生では五輪競技で1,189人、パラリンピック競技で114人、合計1,303人の応募があり、測定会・面談などを通じて対象競技にいずれかの適性があると判断された59人が検証ステージの「競技拠点県合宿」に進んだそうです。

活躍を見せ始めた選手

プロジェクトが開始して3年とたたないうちに、大会で優勝したり、有望株となる選手が出てきています。

第1期生でパラ・パワーリフティングの全日本選手権で優勝した女子選手や男子選手は、このプロジェクトで初めてこの競技に出会ったそうです。また、JOCエリートアカデミーに入校したボートの女子選手は陸上短距離からの転向でした。

今後、このプロジェクトから自身でも気づかなかった適性を生かし、五輪・パラリンピックで活躍する選手が輩出されていくことに期待が高まります。

文・J PRIME編集部

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