インボイス制度,免税事業者
(画像=Foxy burrow/Shutterstock.com)

免税事業者にとって、2019年10月に施行される消費税増税より怖いのがインボイス制度です。

インボイス制度は2023年10月から本格的に実施されるとしていますが、個人事業主やフリーランスは今からその制度を知っておき、準備しておく方が良いのかもしれません。

今回は、インボイス制度の何が怖いのか、どう対策すればいいのかを解説します。

そもそも「インボイス制度」とは

インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」といい、適格請求書による仕入税額控除を要件とする制度のことをいいます。

簡単にいうと、自身が販売している商品やサービスに、適格請求書発行事業者であることを請求書で伝えることをいいます。

そもそも消費税は、売上の消費税から、仕入れ時の消費税を差し引いて、その差額を国に納めます。

  • 売上1,000万円(消費税8%)税込み1,080万円
  • 仕入600万円(消費税8%)税込み648万円

たとえば、売上金額1,000万円の場合、2019年8月現在は消費税率8%ですので、80万円を消費者から預かっています。

そのうち、仕入金額600万円にかかった消費税は、600万円×8%=48万円ですので、80万円-48万円=32万円を国に納めることになります。

このときに、仕入先からの適格請求書があれば48万円を差し引けるのですが、そうでなければ80万円をまるまる国に納めることになってしまうのです。

この適格請求書があるのとないのとでは大きな違いがあることがわかります。

しかし、この適格請求書はすべての事業者が発行できるのではなく、消費税の課税事業者である「適格請求書発行事業者」だけ。

つまり、売上が1,000万円以下の免税事業者や、設立間もない企業は適格請求書発行事業者として登録ができません。

適格請求書発行事業者として登録ができない免税事業者から、商品やサービスを仕入れている人や企業は、仕入れ時の消費税を負担しなければならなくなるため、納める消費税が増えてしまいます。

前述の例でいうと、これまで32万円だった消費税は一気に80万円になってしまうのです。

課税業者は免税業者とは取引ができない?

インボイス制度が始まると、自身が免税事業者の場合、取引先の負担が大きく増えてしまうことになるため、取引先は免税事業者との取引を辞めてしまうのではないかといわれています。

そうなると、免税事業者は売上が落ちたり、取引先が離れたりといったことが起こるかもしれません。

ただ、こういったことがないよう、免税事業者からの仕入れでも最初の3年間は80%、その後の3年間は50%の仕入税額控除が認められるなど、制度導入から6年間は影響緩和のための措置が講じられることになっています。

とはいえ、現在免税事業者である個人事業主やフリーランスが、インボイス制度導入後に取引先や売上を減らさないためには、どのような手段を取れば良いのでしょうか。

免税事業者の2つの選択

インボイス制度が導入されると、免税事業者は次の2つのどちらかを選択する必要があります。

  • 免税事業者のままでいる
  • 課税事業者になる

免税事業者のままでいるのなら、取引先の減少は避けられないでしょう。つまり売上減少です。

引き続き発注してくださる取引先であっても、消費税の負担をかけてしまうことに違いはなく、いずれは取引の打ち切りとなってしまうかもしれません。

新たに顧客の開拓をしても、免税事業者であることが理由で取引ができないことも十分に考えられます。

免税事業者のままでいるなら、売上の減少を覚悟で続けるしか方法はありません。

一方の課税事業者になると、インボイス制度を理由として取引先が減少することは免れるでしょう。

現在免税事業者であっても、インボイス制度が導入されたあとの取引先への負担や、この先の売上減少の不安を思うと、課税事業者になることは避けられないのではと考えられます。

軽減税率とインボイス制度は別

消費税は2019年10月に10%にひきあげられます。また、軽減税率制度により8%のものと10%のものを区別しなければならず、手間がかかり負担も大きくなります。

軽減税率制度は食料品を取り扱う飲食店やスーパーマーケットだけではなく、すべての事業所が請求書・領収書に税率別の合計額を記載しなければなりません。

記帳の手間が増えますので、事業者にとっては大変なことに違いないのですが、インボイス制度と軽減税率はまったく別で理解しておかなければなりません。

どちらも負担が大きいのですが、税を8%と10%に分けることより、インボイス制度によって消費税を納めることの方が事業者にとってより大きな負担となります。

軽減税率導入のあとに大きな改正が待っていることを覚えておく必要があります。

まとめ

インボイス制度とは何か、個人事業主やフリーランスはどのような対応をすればいいのかをお伝えしてきました。

インボイス制度導入から6年間は、影響緩和のための軽減措置が講じられるとはいえ、やはり取引先への負担や減少を考えると課税事業者になることは避けられないのかもしれません。

今後のインボイス制度の導入に向けた心構えをしっかりしておきたいものです。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan

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