市場拡大,電動キックボード
(画像=Akaberka/Shutterstock.com)

訪日客が観光地を周遊しやすくなれば、インバウンドの経済効果はより大きいものになります。ただ地域によっては交通機関が脆弱です。そんな中、手軽さが特徴の「電動キックボード」が注目を集めています。

欧米で先行して普及する電動キックボード

電動キックボードは一般的に車輪が付いた板(キックボード)に電動式のモーターが取り付けられており、使用者がハンドルを使って走行方向を操作する乗り物のことを呼びます。「電動キックスケーター」や「電動キックスクーター」などと呼ばれることもあります。

サイズが自転車よりも小型であることから、アメリカやヨーロッパではより手軽に移動できる乗り物として人気を集めており、既に複数の企業が特に都市部でレンタルサービスやシェアサービスを展開しています。欧米の都市部を最近旅行した人の中には見かけたことがある人も少なくないはずです。

料金は30分で5〜6ドルほどのサービスが多く、近場であればバスを待つよりも短時間で目的地に着けることもあり人気です。利用にはアプリのインストールやクレジットカードの登録が必要ですが、一度目以降はそうした手間も掛かりません。

アメリカでは運転免許を持っていればキックボードをレンタルすることができるので、多くの人がヘルメットさえ着用すれば利用可能な状況となっています。

日本における電動キックボードの規制

日本国内でも将来的に電動キックボードが普及するかもしれません。政府がインバウンドの誘致活動に力を入れる中、電動キックボードが訪日客の地方観光における足としての役割を果たせば、周遊が促されることで地域経済に良い影響を与える可能性は大いにあるでしょう。

ただ日本では電動キックボードの普及は一筋縄ではいきません。道路運送車両法において電動スクーターは「原動機付自転車」に該当するため、前照灯や番号灯、ナンバープレート、方向指示器(ウインカー)などを必要とします。もちろんヘルメットの装着も必要です。そうした装置が十分ではない状態で公道を走行すれば、違反として処罰されることがあります。

こうした状況の中で福岡市の高島宗一郎市長は2019年2月、一定の要件を満たした電動キックボードについては自転車と同等の扱いを可能とする特区の設置を国に提案しています。電動キックボードに対する規制が緩和されれば、シェアサイクルのように観光客の足となることが期待されるからです。

活発化する電動キックボードの実証実験

2019年に入り、日本国内では電動キックボードの実証実験が各地で頻繁に行われています。8月には株式会社Luupが、東北大学のキャンパス内で電動キックボードの実証実験を実施することを発表しました。私有地であるキャンパス内で学生に利用してもらい、社会実装に向けた課題の抽出や社会受容性の向上につなげようという取り組みです。株式会社Luupは三井住友海上火災保険と電動キックボードの保険を構築したことでも知られています。

シェアリングモビリティ事業を手掛ける株式会社mobby rideも実証実験を積極的に行っており、7月には丸紅と共同で実証実験に取り組むことを発表しました。ドイツの電動キックボード企業Wind Mobilityも日本法人を立ち上げ、千葉市で実証実験などに取り組んでいます。

安全確保や保険整備と両輪で

電動キックボードが公共交通機関と観光地を結ぶ「ラストワンマイル」の足になっていく可能性は十分にあります。ただ、普及に向けた取り組みは安全性の確保や保険の整備と両輪で進められなければなりません。

福岡市が特区として認められれば、普及の火付け役になる可能性もあります。今後の国の動きにも注目していきたいところです。

文・J PRIME編集部

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