AI導入,人
(画像=GaudiLab/Shutterstock.com)

大船渡高校野球部の佐々木朗希(ろうき)投手が、最高球速163キロというその剛腕で注目を集めています。メジャーリーグでも通用しそうな球を日本の高校生が打ち崩すのは至難の業とも言えます。

しかし、その解決策として採り入れられたのは、人工知能(AI)です。岩手県の盛岡大付属高校野球部は「Pitch18(ピッチ18)」というAI搭載のピッチングマシンを導入しました。大船渡との対戦が決まり、数日間の間「ロウキ君」と名付けたPitch18に、変化球を交えながら最速175キロの球を投げさせたのです。

結果として、盛岡大付属の打者はこの球速に目を慣れさせることに成功。大船渡に打ち勝ったのです。AIの導入が引き起こしたイノベーションのひとつといってもいいでしょう。この成果を得るために、柔軟な指導方針、従来のやり方にこだわらない潔さ、導入した際のリスクの検証など、さまざまなチェックポイントが存在します。

AIを制御しながらイノベーションを起こすためには、AI時代のやり方を踏襲する必要があるのかもしれません。

それが時代の要請なのか、NECは新卒社員でも年収1,000万円を超える報酬を得られるとする新制度を2019年10月から導入すると発表しました。AIなど先端分野で高い能力を持つ人材の獲得で優位に立ちたい考えです。研究職の20~30歳代の約20人が対象になるとのことです。

産業界にも着実にAIドリブンな考え方が浸透していることを示すことになりました。

天気予報も脱目視

AIがこれまでの仕事のやり方を変えるというのは、もはや必然的な流れと言えそうです。野球に限らず、天気予報でもその流れが強まっています。

気象庁は、天気予報に欠かせない気象予測について、コンピュータだけでなく、人間の目視による観測を長年にわたり継続してきていました。しかし、2019年になり、一部のエリアでは、目視予測を取りやめコンピュータによる自動観測に切り替え始めたといいます。

お天気キャスターとして広く知られる森田正光さんは、インタビューで、予報精度においては、コンピューターに人は勝てないと述べています。

日本で気象観測が始まったのは明治時代。日本各地に観測所を設け、職員が目視で天候をチェックしていました。第二次世界大戦後に機械化が始まります。1950年代には雨の分布を調べる気象レーダー、70年代には雨量などのデータを集める「地域気象観測システム(アメダス)」などが登場。

それでも目視の観測が続けられたのは、空から降ってきたものが、雨か雪か、もやの原因が黄砂なのか霧なのかについては、人が判断してきたという経緯があったからです。

人は温度やる空気感なども含めて気象を体感しているものです。今後も一部の気象台では目視を継続するとのことですが、「歴史遺産」とも言われる目視データの継続性が危うい局面を迎えているのは確かと言えるでしょう。

AIに仕事を奪われる?

天気予報という仕事がAIに奪われる? そんな懸念がよく持ち上がります。しかし、森田さんは「コンピューターにも問題がある。それは予報を算出するまで何を考えているかわからないこと。予報の背景に何があったのかなどは、人独自の視点で指摘し、コンピューターと共存すべき。」と話します。

AIを活用してさまざまなデータを収集し、それを予測に生かしていく。それ自体は気象予報士にとって決してマイナスではなく、プラスに働くと考えられます。

今後は、気象という単体にとどまらず、気象×農業、観光、漁業、交通、経済予測など、さまざまなファクターを掛け合わせた分析が進んでいきます。より広く、深い分析をした上で、誰かがその解説をしなくてはなりません。それこそが、気象予報士の今後の仕事の方向性になるといえるのです。

同じことがあらゆる業界にも当てはまります。AIによるデータ分析の間口の広がりは、結果としてそれを解説したり、それを基に新たなものをつくったりいう、人にしかできない仕事を大幅に増やすことへとつながります。AIがつくる未来は明るいと言えるのです。

文・J PRIME編集部

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