インフレ率,日本
(画像=Getty Images)

インフレとは、物やサービスの価格、つまり物価が持続的に上がることで、貨幣の側から見ると貨幣の供給が増大し、貨幣の価値が下がることです。

経済が成長する社会では、物やサービスへの需要が供給を上回るため物価が上がる、つまりインフレが進むようになりますが、ある程度発展した社会では、物やサービスの需要が減り、供給が需要を上回るようになり、インフレがあまり進まなくなります。

前年に対してどの程度インフレが進んだかを表す指標をインフレ率といい、資産運用をする人にとっては最も大切な指標です。

ここでは、インフレ率について考えてみましょう。

日本のインフレ率

IMF発表の過去5年の日本のインフレ率をまとめてみますと

  • 2014年…2.76%
  • 2015年…0.79%
  • 2016年…-0.11%
  • 2017年…0.47%
  • 2018年…1.20%

のようになります。

この結果を見る限りは、日本はもはやデフレではないという主張は正しいような気がします。

したがって、定期預金などに多額の資産を預け続けることは、安全とは言えないと思います。

また、生活実感のインフレ感は、種々の基本的な生活必需品の値上がりが続いていて、この数字よりずっと大きな気がします。

年金生活者は特にその実感を感じているのではないでしょうか。

インフレ率の計算

ハンバーガーチェーンのマクドナルドは世界中でビッグマックを販売しているので、その価格を調べると各国の物価がはっきりとわかってくるというニュースをたまに聞きますが、インフレ率の計算は、これに似ています。

ビッグマックでインフレ率を計算するとすれば、今年の価格と昨年の価格の差額を昨年の価格で割って百分率に直せばよいのです。

実際のインフレ率の計算では、ビッグマックの代わりに、消費者物価指数(CPI)を使用するのが普通です。

消費者物価指数(CPI)は総務省から毎月発表されています。

その変化率を見たものがインフレ率です。世界的な規模で見れば、普通は、年平均で2〜3%ぐらい増加していきます。

先進各国のインフレ目標も大体このあたりにあります。

インフレ率と生活実感とのズレ

多くの場合、発表されるインフレ率と生活実感とはかけ離れていることが多いようです。

これは、一体何故なのでしょうか、その原因について少し考えてみましょう。

政府が発表するインフレ率は、実際には消費者物価指数(CPI)そのものではなく、それから価格変動の大きい生鮮食品とエネルギー部分を差し引いたいわゆるコアコア消費者物価指数(CPI)を用いています。

このため、消費者に近いところで、生鮮食品やガソリンなどの急激な値上がりが生ずると、実際の感覚とは大きくかけ離れたインフレ率が発表されることがあります。

また、1袋の量を減らして価格を同じにしたようなものについては、重量の補正を加えており、生活実感のズレの原因ではないようです。

統計上は、持ち家世帯の家賃消費はありえないのですが、統計上はこれが含まれてコアコアCPIに反映されているらしく、そのためインフレ率を下げる原因となっているらしいのです。

このズレの大きな原因は、現在のところ、生鮮食品の大幅な価格上昇と実体のない持ち家世帯の家賃の下落が統計上の物価を押し下げていることから生じているものと考えられます。

いずれにしても、庶民感覚と政府の発表されるインフレ率とは、昔からズレを感じる場合が多く、ほとんどの場合、庶民のインフレ感の方がインフレ率よりかなり高く感じることが多いようです。

各国のインフレ率(%)

各国のインフレ率
(画像=The Motley Fool)

最近の各国のインフレ率を見ると、いろいろなことがわかります。

日本もやっとデフレの時代が終わったという政府の報告も納得できる値です。

また、米国、英国は別として、ヨーロッパの先進国は、目標をインフレ率で2%に置きながら、それを超えられずに苦労していることなど、日本とほとんど同じ状況と言えます。

先進国でインフレ率が上がっていかないのは共通の課題と言えるでしょう。

また、発展途上国のインドでは、4%前後のインフレ率があり、それよりも少し先進国よりの中国では、インフレ率は、先進国並みに向かっていることなどがわかります。

インフレ率の推移

IMF発表の日本のデータをまとめてみると以下のようになります。

  • 1980年代:平均インフレ率…2.5%
  • 1990年代:平均インフレ率…1.2%
  • 2000年代:平均インフレ率…-0.3%
  • 2010年代:平均インフレ率…0.5%

1990年代は、1991年に日本のバブル崩壊があり、2000年代には2008年9月のリーマンショックがあり、これらがインフレ率低下に大きく貢献していることがわかります。

報道などでよく言われる「失われた20年」というのが数字でも裏付けられているような気がします。

最後に

ここ20年くらいの平均値からは、日本はまだデフレが終わっていないと主張する人もいますが、5年間くらいの平均値を見る限りは、もはやデフレは終わったと言って良いでしょう。

先進国になるほど、品物の供給が多くなり、それに対する需要が減るためにインフレ率が小さくなると言われています。

実際には、それ以外にもアマゾンを中心とした通信販売の驚異的な拡大や、タイムズ24などのカーシェアリングなどが物価を大幅に下げていることは明らかだと思います。

このようなことが一巡した後も、なおかつインフレが進まないということが本当なのかは筆者としてはかなり疑問に思っています。

文・The Motley Fool Japan編集部/The Motley Fool Japan

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