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(画像=Gecko Studio/Shutterstock.com)

「仮想通貨」の名称を「暗号資産」に変更することや、仮想通貨の規制強化策などを盛り込んだ資金決済法と金融商品取引法の改正法が2019年5月に国会で成立しました。暗号資産が金融のインフラとして経済活動に寄与することへの期待が高まる一方で、不正流出事件の発生やFacebookが発表した新たな暗号資産「Libra」を巡り世界の金融当局が懸念を示すなど、順風満帆でないことは確かです。

「仮想通貨」を巡るこれまでの動き

改正法は、金融庁が「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案」として国会に提出していたもので、5月31日に可決、成立しました。2020年に施行される見通しです。金融庁は2017年、利用者保護やマネーロンダリング対策を目的とした「仮想通貨交換業」に関する新しい制度を開始しました。

仮想通貨の交換業者に登録制を導入したほか、利用者への情報提供、取引時の本人確認が義務付けられています。このような対策によって、金融庁は仮想通貨の育成と規制の両面を強化しようとしてきました。しかしその後も顧客の仮想通貨の不正流出やマネーロンダリング対策の不備、仮想通貨が投機対象化されるといった問題が広がりました。

また交換業者の事業規模が急拡大する一方で、業者の体制整備が不十分であることも露呈しました。仮想通貨を用いた新たな取引も登場しています。金融庁は規制強化に向け、有識者会議を設けてルール作りを進めてきました。こうしたことを背景に、利用者保護やルールの明確化のための制度の整備、国際的な動向を踏まえた仮想通貨の呼称変更といった対応がとられることになっています。

改正法で何が変わるか

・「仮想通貨」を「暗号資産」に
仮想通貨の名称は、2019年6月に開催されたG20サミットなどの国際会議で「暗号資産(クリプト・アセット)」の表現が使われることなどを踏まえ、日本でも法令上「暗号資産」に改められました。通貨という表現を用いることによる、円やドルなどの法定通貨との誤認を防ぐ狙いがあります。暗号資産は法定通貨と交換可能です。

しかし国や中央銀行が価値を保証する法定通貨とは異なり、公的な発行主体が明確に存在せず、価値の裏付けがありません。インターネット上で取引される電子データ資産であり、価格が大きく変動する傾向にあります。

・暗号資産の交換や管理に関する業務
交換事業者に対し、顧客の暗号資産を原則としてコールドウォレットなどの信頼性の高い方法で管理することを義務付けました。それ以外の方法で管理する場合には、ネット上で保管する顧客の暗号資産に相当する弁済原資の確保を義務化しています。2018年には、大手仮想通貨取引所のコインチェックで580億円分という巨額の不正流出が発生するなど、業者のずさんな管理体制問題を受けての対応です。

特に流出した暗号資産が、ネットワークに常時接続しているホットウォレットで管理されていたことは、重大な問題として受け止められました。

・暗号資産を用いた新たな取引への対応
暗号資産を用いた証拠金取引を、外国為替証拠金取引(FX)と同様に、金融商品取引法の規制対象とします。証拠金取引は、国内の暗号資産取引の大半を占めており変更の影響は大きいでしょう。暗号資産技術を使った資金調達「ICO(Initial Coin Offering)」についても、詐欺的な事案が多いとの指摘があることから、ルールを明確にすると規定しています。

収益分配を受ける権利が付与されたICOトークンに関して、暗号資産を対価として発行する行為に金融商品取引法が適用されることも明確化。また株式などと同様に、投資家への情報開示の制度や販売、勧誘などの規制を整備することも明らかにしました。

フェイスブックが暗号資産「Libra」を発表

改正法が成立し、暗号資産が金融のインフラとして経済活動に寄与することへの期待が高まっているのは確かです。今後は暗号資産のほか、ベースとなるブロックチェーン技術の導入や、この分野のフィンテック企業と連携することに、これまで慎重な姿勢を見せていた企業などの参入が増加する可能性があります。

新たな動きも次々と生まれており、引き続き利用者の保護と技術革新の両面を適切に実現していくことが求められるでしょう。2019年6月にはフェイスブックが新たな暗号資産「Libra」を発表しました。この話題への関心度は世界的に高く、2019年第1四半期時点で約23億7,500万人という顧客基盤を有するFacebookの取り組みが、既存の金融システムを大きく揺るがす可能性があると世界の金融当局が懸念しています。規制については、引き続き国際的に議論していく必要があるといえるでしょう。

文・J PRIME編集部

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