Mammoth
(画像=Zoran Milosavljevic/Shutterstock.com)

2019年6月4日~11月4日まで、お台場の日本科学未来館では、「マンモス展」が開催されています。このマンモス展の中でも、ひときわ注目度が高いのが、「マンモス復活プロジェクト」ではないでしょうか。今や、最先端の生物化学では永久凍土の中のマンモス標本から、マンモスの遺伝情報を調べ、マンモスを「復活」させることができるかもしれないのです。

今回は、「遺伝子工学の最先端はどこにあるのか」についてマンモスの研究を例に解説します。

マンモスを復活させることができる?

今後、最先端の生物学でマンモスが復活するかもしれません。長くマンモスに関する研究を続けている近畿大学では、永久凍土から出てきたマンモスの細胞核をマウスの卵子に移植する実験を行いました。その実験の中で、マンモスの核が細胞分裂をする準備をはじめたのです。細胞分裂が行われれば、理論上、マンモスの遺伝情報を持った生物が生まれます。

つまりマンモスのクローンが生まれる可能性があるのです。実験結果は残念ながらマンモスの核が持つDNAが破損しており、細胞分裂は行われませんでした。しかしマンモスの復活に関しては、「可能性がある」ことがわかった瞬間でもあったのです。一方、ハーバード大学では「ゲノム編集」という技術で、マンモスのクローンを作成しようとしています。

こちらはゾウの遺伝子とマンモスの遺伝子を見比べながら、ゾウの遺伝子をマンモスの遺伝子に近づけていくという技術になります。この技術を使うことで、マンモスの特徴を持ったゾウを生み出すことができるのです。こちらもまだ完成には至っていませんが、あと5~10年ほどで、マンモスの特徴を持つゾウを生み出すことが期待できるという話。

科学の発展は、「マンモスの復活まであと一歩」というところまで来ているのです。

研究で見えてきた、「マンモスが絶滅した本当の理由」とは?

このほかにもマンモスに関する研究が進んだことで、さまざまな事実が明らかになってきました。たとえばマンモスが絶滅した理由については、過去さまざまな説がありましたが、今は、大きく3つの仮説に集約できるようです。1つ目は、気候変動の影響でマンモスの生息地の草原がなくなったことが要因とされています。

マンモスは、マンモス・ステップと呼ばれるイネ科の植物やスゲなどが生える草原に生息していたと言われています。このマンモス・ステップが、気候変動の影響でなくなったことにより、飢餓が起こったという説があるのです。2つ目は、人類による乱獲の影響です。武器が刺さったマンモスの骨が発見されるなど、人類がマンモスを乱獲していたことが最近の研究によりわかっています。

3つ目は、マンモスの中で疫病がはやり、その疫病により絶滅したとする説です。ロシアの研究者が、マンモスの死がいから炭疽(たんそ)菌の一種を検出したと報告しており、これが要因になったとする説も残っています。この3つの説の中でも、特に有力なのが、「気候変動の影響で絶滅した」という説であるというのが、最近の研究でわかっているのです。

今後、「絶滅動物の復活」はあり得るのか?

今後、研究が進めばマンモスをはじめとする絶滅動物は、どんどん復活していくのでしょうか。現実としては、そういった世界が来るのは、まだまだ先かもしれません。近畿大学の研究では、今回の場合、「マンモスのDNAをマウスの卵に入れる」というステップを踏んでいます。もちろん、これが無事に生育されると、マンモスのDNAを持った生物が生まれるわけです。

しかし、あくまで元の卵はマウスです。これが、「100%マンモスである」というのは、まだ裏付けが足りない状況といえるでしょう。またハーバードの「ゲノム編集」で生まれるのは、「マンモスの特徴を持ったゾウ」であり、マンモスそのものではありません。あくまでベースとなるのは「ゾウ」です。こちらも、100%オリジナルのマンモスであるというのには、まだ少し遠いところにあるといえるでしょう。

最先端の生物工学をもってしても、「絶滅動物を完全に復活させる」という点では、まだまだ時間が掛かる可能性があります。しかし、これまでの科学の発展を考えると決してゼロではないかもしれませんね。

マンモスを通じて、最先端の生物工学に触れてみよう

かつて絶滅した巨大生物であるマンモスには、「何らかの憧れを持っている」という人も多いかもしれません。そのマンモスの復活プロジェクトには、最先端の生物工学の技術が多く使われています。マンモスを通じて、こういった最先端の生物工学に触れてみてはいかがでしょうか。

文・J PRIME編集部

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