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(画像=natthi phaocharoen / Shutterstock.com)

セブン-イレブン・ジャパンは2019年5月、賞味期限が近付いたおにぎりやお弁当について、ポイント還元方式による値引きを約2万の加盟店で実施するとプレスリリースしました。実施時期は今秋、コストは本部負担とされています。コンビニ各社も同様の動きを進めており、食品ロス削減が大きな流れとなっています。

メディアにもしばしば取り上げられる廃棄ロスですが、コンビニ各社はなぜ突如として環境保護の問題に目覚め、社会的課題の解決に率先して取り組み始めたのでしょうか。どうやらコンビニ各社はそれぞれ複雑な事情を抱えているようです。

食品の廃棄ロス削減は社会的な課題

国連WFP(世界食糧計画)の「世界の食料安全保障と栄養の現状報告書」によると、世界の飢餓人口は9人のうち1人に相当する8億人を超え、1.5億人以上の子どもが発育阻害に苦しんでいます。

一方日本では、年間廃棄される食品廃棄物が約2,800万トン、そのうち600万トンはまだ食べられるのに廃棄されている「食品ロス」です。

ちなみにこの数字は、世界の飢餓を救うための全世界食料援助約400万トンを大きく上回っています。

もちろん食品ロスは家庭での問題でもありますが、半分以上は生産・小売り段階で発生しています。政府・自治体も事業者を巻き込んだ取り組みを進めていますが、まだまだ定着したとはいえない状況です。

食品廃棄費用は殆ど加盟店負担

小売り段階における食品ロス削減の有効策の1つが、賞味期限前の値引き販売で、これまでもスーパーなどでは一般的に行われてきました。

一方、コンビニでは価格競争防止・ブランドイメージなどを理由に定価販売を維持してきました。もちろん本部にとって収益機会の確保は絶対であり、加盟店に対して欠品の撲滅を厳しく指導しています。必然的に売れ残りが生じ、その量は仕入れのおよそ1割とされています。

その一方で本部はこれまで、廃棄コスト(弁当の仕入原価+廃棄料金)の85%を加盟店に負担させてきました。廃棄が増えても本部の懐はそれほど痛まない、というわけです。

それではコンビニ各社は、いままで加盟店による値引き販売を許容してきたのでしょうか。

例えばセブンイレブンでは、価格について加盟店にゆだねているとしてきましたが、実際には長いこと価格拘束を続けてきたとされています。2009年には公正取引委員会から、独占禁止法違反により排除措置命令を受けました。

それでもコンビニ各社は値引きへの消極姿勢をこれまで崩してきませんでした。

経産省も改善を求めるコンビニ業界の取引慣行

ところがここ数年、国内市場飽和による店販の頭打ち、人手不足に伴う人件費増やオーナーの過剰負担などが重なり加盟店の多くが利益減少に苦しむようになってきました。

加盟店から本部に対する不満がマグマのようにたまり、その矛先は利益圧迫要因の1つである食品ロスに向かいました。

2019年4月には、経産省の世耕弘成大臣がコンビニ8社のトップを呼び出し、加盟店との関係を見直す行動計画書の作成を求めました。経産省が見直しを求めた背景は、何も食品ロス問題だけではなく、24時間営業の強制、社会保険未加入、スクラップアンドビルド戦略における加盟店の恣意的選定などいくつかの問題が横たわっています。

ちなみに経産省が同時期に実施した加盟店オーナーに対するアンケートによると、約4割が「加盟店となっていることに満足していない」と回答したようです。

業界最大手のセブンイレブンが曲がりなりにも食品ロス削減に動いたのも、経産相の「お触れ」が少なからず影響したのでしょうか。

本部と店舗は近づけるか

今回ナナコポイントに付与されるポイント還元幅は5%、加盟店の一部からは「果たして意味があるのか」との声も出ています。

それでもこれは、小さな第一歩です。これを機に本部と加盟店との関係が本来あるべき「共存共栄をめざす対等な互恵関係」に近付き、あわせて食品ロス削減に少しでもつながることが期待されています。

文・J PRIME編集部

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