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(画像=GiroScience/Shutterstock.com)

いまだに解明されていない宇宙誕生の起源、星の大部分を構成する正体不明の物質、私たちが暮らす時空の存在…こうした宇宙の謎を解き明かす鍵がニュートリノであり、ニュートリノを捕捉する装置として期待されているのがスーパーカミオカンデです。

宇宙の謎・ニュートリノ・カミオカンデ…詳しく聞けば聞くほど頭がこんがらがってきますが、今回の記事ではそれをなるべくわかりやすく解説していきます。

宇宙発見のカギを握るニュートリノ

小さすぎて捕まえられない物質

ニュートリノとは、「ニュートラル=電荷をもたない」「イノ=イタリア語の小さい」を合成した言葉で、電荷を持たない素粒子の一種です。

私たち生き物や金属、土などあらゆる物質は、水や二酸化炭素といった分子でできています。次に、分子は原子に分解されます。例えば水は、酸素原子1個と水素原子1個から成り立っています。

原子はさらに、陽子・電子・中性子といった粒子で構成されています。さらに粒子は、物質の最小単位とされる素粒子から成り立っています。素粒子には、クオークやレプトンと呼ばれるいくつかの種類があり、ニュートリノはレプトンの仲間です。

たとえ微細な素粒子でも、物質が電荷を帯びていればその発見は比較的容易です。ところが、ニュートリノは中性であり、さらには原子の中さえ通り抜けてしまう小ささなので実験機でとらえるのも難しいのです。

それでも、1956年には原子炉内で人工的に生成したニュートリノの発見に成功、発見者のフレデリック・ライネスはノーベル物理学賞を受賞しています。

自然界のニュートリノ捕捉を可能にしたカミオカンデ

ただし、自然界で生成されるニュートリノを捕捉するのはさらに困難を極めます。それを可能にしたのが、岐阜県の旧神岡鉱山に作られた巨大施設、3,000トンもの純水をたたえたタンクに1,000本ものセンサーを取り付け、微弱なニュートリノを観測しようという大胆な発想で、鉱山の名にちなみ「カミオカンデ」と名づけられました。

ニュートリノは超新星爆発で大放出されますが、この現象解明は宇宙誕生(ビッグバン)の謎にもつながるとされています。

開発者の小柴昌俊教授はカミオカンデを使って、300年ぶりとされる大マゼラン星雲の超新星爆発により放出されたニュートリノを観測、この功績が認められてノーベル賞を受賞しました。

そしてカミオカンデのグレードアップ版が、現在のスーパーカミオカンデです。

星は何でできている?

宇宙の謎解明には、「星が何でできているか」も手掛かりになります。実は星の物質量で炭素など組成がわかっているのは僅か15%、残りは正体不明です。電磁波・X線などでも観測なことから、これらの物質は「ダークマター(暗黒物質)」と呼ばれます。

ところが最近、暗黒物質同士の対消滅という物理現象からニュートリノが生成されることがわかってきました。現在、スーパーカミオカンデによって暗黒物質由来のニュートリノ観測が続けられており、「星が何でできているか」を解明する糸口突破が待ち望まれています。

天才学者たちとカネ

ノーベル物理学賞の受賞者たちも、最大のハードルは「おカネ」だったようです。

日本人初受賞者・湯川秀樹博士の旧姓は「小川」、書籍代すら捻出できなかった小川秀樹講師は、開業医・湯川玄洋氏の娘スミと結婚、以後は研究資金を義父に頼ります。

ニュートリノ発見の小柴教授も、おカネには苦労します。昔も今も「役に立たない基礎物理研究(小柴教授談)」が国から厚遇されたことはなく、素粒子観測のための巨額予算など誰しもが諦めていました。

小柴教授は一計を案じ、浜松ホトニクスへの光センサー開発依頼、神岡鉱山への掘削申請と次々と既成事実を作ります。予算が下りてないから支払う約束ができない、それでも教授の部下たちは土下座までして、説得を続けました。

宇宙の謎を解く壮大な「夢」、舞台裏では人間ドラマが展開されていたのです。

文・J PRIME編集部

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