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(画像=FreshStock/Shutterstock.com)

米中の対立が続く中、米国がファーウェイ排除に向けた制裁措置を発動したことが大きな波紋を呼んでいます。米中関係とファーウェイ問題、そして日本への影響について考えます。

ファーウェイ排除

5月上旬、合意が近いとみられていた米中の貿易協議が突然、暗礁に乗り上げました。さらに両国が互いに追加関税率の引き上げを発表して以来、摩擦は一層激化の様相を呈しています。

そうした中、トランプ大統領は5月中旬、中国通信機器大手ファーウェイの製品を米企業が調達することを事実上禁じる大統領令に署名しました。米商務省も、安全保障上のリスクが高い外国企業のリストにファーウェイを追加し、同社への米ハイテク製品の輸出を事実上禁止する措置を発動しました。

このファーウェイへの制裁措置を受け、グーグルがファーウェイへの一部ソフトの供給を制限すると報じられました。ファーウェイはAndroid OSへのアクセスが一部制限され、スマートフォンの新製品でGmailやGoogle Playなどのグーグルの主要なサービスが使えなくなる可能性があります。

また、英半導体設計大手Armがファーウェイとの取引を停止するとの報道もありました。スマートフォン向けプロセッサの大半はArmベースであり、Armの技術が利用できなくなれば、ファーウェイのモバイル事業は大きな打撃を受けるとの見方があります。

問題は?米国の狙い

ハイテク覇権死守へ

米国は2018年から、米中の貿易不均衡を是正する手段として追加関税の導入を繰り返してきました。そのような動きの中で、米国が中国に対して圧力を強める背景には、ハイテク分野の覇権争いで中国の勢いを抑える狙いがあるとみられています。米国は中国がハイテク分野で米国の優位を覆し、将来的に国益や軍事的地位を揺るがしかねないとして危機感を強めてきました。

米国は、中国がスパイ行為やサイバー攻撃によって、米政府機関や軍、企業から機密情報や知的財産を盗んでいたとみており、そのような中国政府の活動にファーウェイ製のスマートフォンや通信機器が利用される恐れがあると指摘しています。特にファーウェイと中国政府の親密な関係を問題視し、世界的企業となった同社が安全保障上の深刻な脅威になると考えているのです。

ファーウェイは、携帯基地局のシェアで世界3強の一角を占め、スマートフォン出荷台数では2019年第1四半期時点でアップルを上回る世界2位となっています。

中国は、「中国製造2025」という産業育成政策を推進しており、情報通信や人工知能(AI)などの先端技術で世界トップの水準を目指すとしています。そして、この戦略の核の1つが次世代通信規格「5G」です。5Gの鍵となる移動通信システムインフラで、2025年に中国市場で80%、世界市場で40%という目標を掲げています。米国は中国政府が企業に補助金を投じて進めるこの政策を問題視し、見直しを求めてきました。

中国は5Gインフラを比較的低コストで世界中に提供し、シェアを伸ばそうとしています。中国のデジタルサービスを普及させる狙いもあるとみられています。中国は膨大なデータを取得することが可能になり、世界でデジタル覇権を掌握することになるかもしれません。

中国がこのような動きを大規模に展開しようとする中、世界でファーウェイの機器が広く浸透していくことが予想されます。米国はファーウェイが世界の5G市場を支配し、中国が5G覇権を築いて世界中の情報を握ることや、米国を凌駕することを阻止しようとしています。

貿易交渉のカード

米国はファーウェイ制裁を、長引く貿易交渉で中国に譲歩を迫るためのカードとして使う狙いがあるとの見方もあります。

米政府は2018年春に、中国の通信機器大手ZTEと米企業の一部取引を禁じる制裁を発動し、その後ZTEは経営危機に陥りました。米国はZTEへの制裁解除を交渉の材料とし、協議を優位に進めました。ファーウェイに対する措置は、その衝撃をはるかに凌ぐとみられています。

日本への影響は

ファーウェイへの制裁は、同社と取引のある日本企業にも影響する可能性があります。ファーウェイの製品には日本企業の部品が多く使われており、同社製品の生産が減少すれば、業績に響く恐れがあるなど懸念が広がっています。日本企業の製品でも米国の技術を一定以上使っている場合、禁輸措置の対象となります。

さらに、日本でも人気の高いファーウェイ製のスマートフォンを販売できなくなれば、携帯電話各社の戦略にも影響しかねません。Android OSがファーウェイ製品で使用できなくなる可能性が出てきたことを受け、大手キャリアはファーウェイの新型スマートフォンの発売を見合わせると発表しました。

また、米国と足並みをそろえる必要のある日本政府は2018年12月、中央省庁などが使用するIT機器の調達に、機密情報流出などの安全保障上のリスクを考慮する方針を示しています。企業名は特定されていませんが、ファーウェイなどの中国企業の製品を意図したとみられています。さらに、大手キャリアは5Gの基地局などに中国製品を使わない方針を固めたと報じられました。

状況が日々変化する中、米中にポジションを持っている投資家は慎重に対応していく必要がありそうです。

文・J PRIME編集部

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