遺産相続,トラブル,パターン
(画像=Tero Vesalainen/Shutterstock.com)

日本の家庭裁判所では毎年1万件以上の遺産分割事件が扱われており、相続トラブルを機に家族や親族の関係が悪化することは決して他人事ではありません。遺産規模が大きい富裕層ならなおさらです。深刻なトラブルに結びつく5パターンを紹介します。

①遺産の目録がなく、相続人同士で隠し財産について疑い合う

「長男だけが知っている父の隠し財産があるのではないか……」

故人の遺産のありかがはっきりしていないと、相続人同士が疑い合う火種になります。例えば隠し財産の存在を知っている長男が、こっそりとその財産を相続してしまう可能性も捨てきれないからです。このケースについては、故人が生前に遺言書に添付する財産目録を作成していると起きにくいトラブルです。

②相続財産が不動産で、複数の相続人の間で分割できない

「母が遺した一戸建てを一体どうやって分ければいいのか……」

不動産という財産は複数人で分割できません。遺産がその不動産だけの場合、同居していた人が相続し、その代わりにほかの人に代償金を支払うという解決策もありますが、相続した人に代償金の支払い能力が無い場合もあります。相続が発生する前から兄弟姉妹などの間でこの点について話し合いを重ねておくことが大切です。

③遺言の内容が偏っており、兄弟姉妹間の関係が悪化した

「遺言書に書かれているとは言え、長兄以外に一切相続させないなんて……」

遺言書では、相続させる人や遺産の取り分を任意で決めることができます。しかし、法律ではそう定められているとはいえ、あまりにも偏りが大きい場合は兄弟同士の不仲などにつながってしまうことがあります。遺言書を作るときはこうしたトラブルに発展する可能性も考慮して相続の配分などを決めるのも一つです。

④遺言書が複数あり、遺産分割の手続きが滞ってしまった

「遺言書が2つもある。どちらが本物なのか分からない……」

故人の自宅を調べたら、遺言書が複数見つかったとします。片方が押印や日付が書いてある有効な遺言書で、もう一方が無効な遺言書である場合は良いですが、両方とも無効な遺言書の場合は故人の遺志が分からず、遺族の間の混乱の原因となります。公証人に遺言書を作成してもらう「公正証書遺言」を作成しておけば原本が公証役場に保管されているため、こうしたトラブルを回避できます。

⑤遺産分割で主張がぶつかり合い、話し合いが円滑に進まない

「長女が同居していたことを理由に遺産を独占しようとしている……」

遺言書がない場合は、遺産分割の話し合いを相続人の間ですることになります。しかし、故人と同居していた相続人がいる場合や生前よく故人の看病をしていた相続人がいる場合など、遺産の取り分をめぐって争いが起きることがあります。折り合いがつかない場合は家庭裁判所の調停・審判の手続きを利用できますが、遺言書を作成しておくことが一番のトラブルの予防策です。

減ることがない遺産分割事件の数

裁判所が公表している2017年度の司法統計によりますと、1年間で扱われた遺産分割事件数は全国で1万2,166件に上っており、10年前の2007年度の9,800件と比べると1.2倍に増加しています。こうした数字からは、遺産相続については根本的な解決策が見出されていないのが現状であるという見方をすることもできます。

ドラマでも取り上げられているような泥沼の争いは、決して現実に起こり得ない話ではありません。そんな中で遺産相続のトラブルを避けるためには、やはり予防策を打っておくのが一番有効とされています。生前に遺言書が有効な形で作成しておくのはもちろんのこと、話しにくいことかもしれませんが、遺産分割について親が生前に子供たちと話をしておき、親族間で理解を得られるように努めておくことも重要です。

文・J PRIME編集部

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