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(画像=13_Phunkod/Shutterstock.com)

「創業当初に最も頭を悩ませるのは資金」という起業家は多くいることでしょう。融資の審査もなかなか通らず、どのようにして資金を調達すればいいのか考えあぐねてしまった際の選択肢となり得るのが、エンジェル投資家です。

新規ビジネスを進める起業家にとって、まさに天使のような存在であるエンジェル投資家とはどのようなものなのでしょうか。エンジェル投資家から見たベンチャーへの投資メリットなどについて紹介します。

エンジェル投資家とは

資産の活用法について迷っているのであれば、エンジェル投資家になり、ベンチャーやスタートアップに支援を行うという方法もあります。エンジェル投資家とは、創業間もないベンチャーやスタートアップに対して、資金援助を行う個人投資家のことです。投資家は投資の見返りとして、株式などを受け取ることができます。

エンジェル投資家が行う投資は、投資された企業にとっては返済の必要がないため非常に大きなメリットですが、エンジェル投資家からすれば見過ごすことのできないリスクとなります。

基本的にエンジェル投資家は、投資した企業に積極的にかかわり企業の育成に努めます。単に投資先の一つとして考える場合には、リスクの高いエンジェル投資家ではなく、ベンチャーキャピタルファンドに出資をするという方法をとるとよいでしょう。

エンジェル投資家の投資状況

一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターが発行した「ベンチャー白書2017」では、主な資金調達方法として、エンジェル投資家からと答えたベンチャーは約3割となっています。このことから、意外に多くのベンチャーが、エンジェル投資家からの資金を受け入れていることが分かります。

海外に比べ、日本では極端に少ないといわれてきたエンジェル投資家ですが、かつての起業家がエンジェル投資家に転身するケースも増加しているようです。2014年の時点では、エンジェル投資家の数は約1万人、エンジェル投資家の年間投資額は1人当たり100~300万円、総投資額は年200億円程度と推計されています。

エンジェル投資家には税制優遇も

日本には、エンジェル投資家として一定要件に当てはまる企業に投資を行うと、税制優遇を受けられる制度があります。これは創業促進を目的としており、優遇措置Aの要件を満たせば、確定申告の際に個人投資家が優遇措置AまたはBのいずれかを選ぶことができます。

【優遇措置A】設立3年未満の企業への投資が対象
総所得額×40%または1,000万円のいずれか低い額までを限度として、「投資額−2,000円」が総所得金額から控除

【優遇措置B】設立10年未満の企業への投資が対象
対象企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除(控除対象となる投資額の上限なし)

さらに、エンジェル投資家として投資した企業の株式を売却した際、損失が生じた場合にも、その年の他の株式譲渡益と相殺できます。相殺しきれなかった損失は、翌年以降3年間の株式譲渡益と相殺できるのもこの税制優遇のポイントです。

企業へ投資した時点と、株式を売却して損失が出てしまった時点の両方で税制優遇が受けられるため、万一投資先の企業が思ったように成長しなかった場合でも、エンジェル投資家はこの税制優遇によってリスクを軽減することができます。

税制優遇を受けられる投資先は

この税制優遇には2種類あり、それぞれ税制優遇を受けるための要件が異なります。

優遇措置A(対象企業への投資額−2,000円を総所得金額から控除できる)

この税制優遇を受けるためには、対象企業が設立から3年未満の中小企業者であることに加え、以下の要件を満たしている必要があります。

・設立から1年未満かつ最初の事業年度を未経過の企業……研究者または新事業活動従事者が2人以上で、常勤の役員・従業員の10%以上であること。

・設立から1年未満かつ最初の事業年度を経過している企業……研究者または新事業活動従事者が2人以上で、常勤の役員・従業員の10%以上であること。直前期までの営業キャッシュフローが赤字であること。

・設立から1年以上2年未満の企業……試験研究費が収入金額の3%を超え、直前期までの営業キャッシュフローが赤字であること。または、研究者または新事業活動従事者が2人以上で、常勤の役員・従業員の10%以上であること。直前期までの営業キャッシュフローが赤字であること。

・設立から2年以上3年未満の企業……試験研究費が収入金額の3%を超え、直前期までの営業キャッシュフローが赤字であること。または売上高成長率が25%超で、直前期までの営業キャッシュフローが赤字であること。

優遇措置B(対象企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除できる)

この税制優遇を受けるためには、対象企業が設立から10年未満の中小企業者であることに加え、以下の要件を満たしている必要があります。

・設立経過年数が1年未満の企業……研究者あるいは新事業活動従事者が2人以上で、常勤役員・従業員の10%以上であること。

・設立から1年以上2年未満の企業……試験研究費等が収入金額の3%を超えていること。または新事業活動従事者が2人以上で、常勤の役員・従業員の10%以上であること。

・設立から2年以上5年未満の企業……試験研究費等が収入金額の3%を超えていること。または、売上高成長率が25%を超えていること。

・設立から5年以上10年未満の企業……試験研究費等が収入金額の5%を超えていること。

税制優遇メリットもあるエンジェル投資家として、次世代の起業家を育ててみよう

ベンチャーやスタートアップの成長を支えるエンジェル投資家になることで、未来の大企業の創立に深くかかわることができるかもしれません。投資先の企業が大きく成長することで、IPOの際、または上場後に株式で大きな利益を得られる可能性もあります。

万一損失が出てしまった場合でも、エンジェル投資家のためのエンジェル税制を活用することで、損失を軽減することができるでしょう。未来の大起業家を育てるのは、あなたの投資資金かもしれません。気になるベンチャー・スタートアップを見つけたら、投資を打診してみてはいかがでしょうか。

文・J PRIME編集部

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