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(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

昔は「歯槽膿漏」と呼ばれた「歯周病」、単に歯ぐきの腫れと軽んじる人も少なくありません。ところが歯周病は単に歯ぐきだけでなく、歯さらには全身にまで影響を与える恐るべき病気なのです。おそるべき歯周病の病理現象を解説すると同時に、その予防法について紹介します。

全身をむしばむ歯周病

口の中は、ばい菌だらけ

歯を磨くと出血する・口臭がきついと言われる・硬いものを上手に噛めない・食べ物が挟まる・最近歯が伸びた?・歯ぐきが腫れて赤い・口がねばつく(とくに朝起床時)・歯ぐきがかゆい……。

こんな症状に3つ以上当てはまる人は兆候あり、6つ以上なら相当程度に歯周病が進行しています。

歯周病とは、グラム陰性菌・スピロヘータ・嫌気性菌など「歯周病菌」が引き起こす歯ぐきやその周辺に広がる炎症疾患で、全身疾患への影響も指摘されています。

清潔なように思える口の中ですが、実際はさまざまな常在菌が住みついています。だからといってすぐに病気を発症するわけではなく、善玉菌(グラム陽性好気性球桿菌)が優勢で免疫機能を保っているうちは、健康を維持できるのです。

やがては糖尿病・脳梗塞を引き起こす歯周病

ところが歯のケアを怠ったり、不規則な食生活・過度のストレス・喫煙等で免疫力が低下すると、口腔内の悪玉菌が勢いを増し、歯周病を発症します。ちなみに症状が軽い層も含め、成人の8割が歯周病とも言われています。

歯周病はまず歯ぐきの炎症(歯肉炎)から始まり、さらに歯ぐきの奥の歯槽骨を浸潤する歯周炎にまで進行します。そのまま放っておくとやがて歯がぐらぐらし始め、やがては抜けてしまいます。悪影響は口腔内だけにとどまりません。歯周病の悪玉菌は血管を通じて全身に回り、血管内に炎症を起こして粥状の隆起(アテローム)を作ります。そして動脈硬化、最悪の場合は脳梗塞につながるのです。

さらに、糖尿病悪化にもつながります。歯周病菌により血中に増殖するサイトカインによる、インシュリンの生成阻害が原因とされています。

プラークが歯周病菌のすみか

歯周病菌は歯と歯ぐきの間(歯肉溝)に住みつき、歯垢(プラーク)から歯石に進行します。さらに歯周病菌は、歯ぐきの組織を壊しながら内部に入り込み、歯周ポケットを形成します。酸素が嫌いな歯周病菌にとっては絶好の環境です。

歯ぐきの炎症はやがて潰瘍に進行、そこから出血による血液中の鉄分・たんぱく質を養分として、歯周病菌はますます増殖します。

正しい歯磨きで歯周病を予防する

歯周病を予防するには、何といっても常日頃の正しい歯磨きが大切です。しかも歯石に進行した段階では、普通の歯磨きでは容易に取り除けません。だからこそプラークのうちに、退治しておくことが大切です。

ただしいくら一生懸命磨いても、間違ったやり方を繰り返していてはプラークを取り除けません。

具体的には、歯肉溝にこびりついたプラークを歯ブラシでバラバラに壊し、歯周病菌が最も嫌う酸素に触れさせます。より正確には専門家のアドバイスを受けるのがベストですが、ポイントを挙げると以下の2点です。

・プラークが住みつく歯と歯ぐきの境目に45度の角度で毛先を当てる
・ブラシは細かく動かす(歯2本ほどの間隔を)

予防歯科が重要

教育現場における歯磨きやフッ素うがい励行もあり、今や95%が朝夜の歯磨きを習慣化するに至り、その甲斐あってかつてないほど虫歯は激減しました。

そして口腔衛生は、歯周病撲滅という新たなゴールへ戦いの火ぶたを切っています。撲滅作戦のキーポイントになるのが、歯周病がひどくなる前の水際対策、歯科検診です。歯科検診では、歯ぐきの腫れ具合チェック、歯周病の原因となる歯石の除去に加えて、正しい磨き方も指導してくれます。

特に「いつ歯医者に行ったか思い出せない」ような方は、黄信号です。この機会にぜひ、歯科検診を受けてみてはいかがでしょうか。

文・J PRIME編集部

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