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(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)

かつてメガバンクを中心とした銀行といえば、新卒を大量に採用し、全国に張り巡らされた店舗網に人員を配置しながら、ビジネスを維持・拡大してきました。しかし、日銀によるマイナス金利の導入、さらにはIT技術の発達により銀行を取り巻く環境は大きく変わりました。各銀行は生き残りをかけてITを活用しながら次の一手を模索しています。

メガバンク、新卒採用は3分の1まで削減

銀行の業務削減の動きを象徴するような出来事として、メガバンクの新卒採用が大幅に削減されたことが挙げられます。リーマンショックが起きる前年の2007年には、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループのメガバンクにおける新卒採用は計6,000人を超える規模でした。これほどの新卒を採用していたため、メガバンクから内定をもらった就活生を見かけることはそれほど珍しいことではありませんでした。

その後、リーマンショックに端を発した世界的な景気後退を受け、一時、採用人数が削減されましたが、再び大量採用回帰の動きがみられました。しかし、2020年4月にメガバンクに入行する新卒社員は計2,000人を切ると予想され、2007年の水準と比較して3分の1程度まで削減が進む見込みです。

みずほは行員約2万人削減、100店舗閉鎖

2019年3月期の決算発表において、みずほフィナンシャルグループは、純利益が前期比で83.2%減少し、965億6,600万円となりました。システム開発費や店舗の統廃合など構造改革への取り組みにより特別損益を計上したことが純利益の大幅な減少の要因として挙げられています。

具体的な構造改革として、新卒採用の抑制に加えて、行員数を2026年度までに1万9,000人削減(2017年3月末比)する方針です。行員数が減少すれば、それに合わせて店舗数の見直しも必要になります。現在、全国の約500の拠点を2024年度までに100拠点削減する計画を掲げています。厳しい経営環境の中、ただ闇雲に店舗数の縮小を掲げているのではなく、全国を約120のエリアに分け、そのエリアの中核としてハブ拠点を設置し、さらに少人数のスポーク拠点とを組み合わせることで効率的な店舗ネットワークを構築していく戦略です。

ビジネス環境に合わせて人員や店舗のスリム化とともに、IT構造改革を積極的に進める攻めの姿勢も求められています。AIをはじめとする技術革新を取り込み、開発の生産性向上に加え、運用や管理業務の効率化をITによって促進しています。みずほフィナンシャルグループでは、現在は3つの勘定系システムで運用していますが、次期システムではこれを一元化することで、サービスの新規開発の期間短縮、コスト削減の実現に繋げていく狙いです。

積極的な海外攻勢で描く成長戦略

少子高齢化が進む国内市場だけではメガバンクといえども、人員の見直し等による組織のスリム化、IT技術の導入によって成長を拡大させていくことは至難の業です。国内市場だけに留まるのではなく、堅調なアジア経済の成長をいかに取り込めるかということも経営戦略としては鍵となるでしょう。

その具体的な例として挙げられるのは、三菱UFJ銀行がインドネシアの商業銀行大手のダナモン銀行を買収したケースでしょう。買収額は7,000億円を上回る規模とされ、邦銀による海外買収案件としては、過去最大規模でした。2億人を超える人口に、5%前後のGDP成長率が続くインドネシアの成長のチャンスを逃さないため、現地の大手行を子会社化することで、利益拡大につなげる戦略です。

経済界の中で保守的な雰囲気であった銀行にも、大きな変革が求められる時代を迎えています。ITを活用しながら構造改革を進め、さらには海外への攻勢で、どのような成長モデルを描くことができるか、各銀行の手腕が試されています。

文・J PRIME編集部

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