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(画像=ImageFlow/Shutterstock.com)

ニュースで「一帯一路」という言葉をよく耳にします。複数の大陸にまたがる巨大経済圏の構築を目指す中国の戦略的構想のことで、今後のアジア経済、そして世界経済を読み解く上で理解必須の重要ワードです。一帯一路構想に関連する最新の状況を解説します。

一帯一路構想の概要と歴史

「一帯一路」は端的に言い表すのであれば、巨大経済圏の構築を目指す中国の構想のことです。人の移動や物流、そして金融・経済の活発化を狙って習近平国家主席が2013年に提唱したもので、80以上の国家・地域を巻き込む広域プロジェクトとして、いまなお世界がその動きに注目しています。

具体的には、中央アジアを通りヨーロッパへと続く陸路のことを示す「一帯」(シルクロード経済ベルト)と、東南アジアを通ってインド、アラビア半島、ヨーロッパへとつながる海路のことを示す「一路」(21世紀の海上シルクロード)を中心に構成されていますが、最近ではこの構想の対象地域が南米などにも拡大しているという特徴があります。

この一帯一路構想については、イタリアが2019年3月に先進7ヵ国(G7)の国としては初めて協力に関する覚書に署名したことでも注目されました。中国政府によれば、2019年4月現在では署名した国は既に126ヵ国、国際組織は29組織に上っています。

一帯一路構想とカネの動き

一帯一路構想では、経済圏に含まれる諸外国の企業と中国企業との共同プロジェクトが動いており、その内容は都市開発から鉄道の建設、発電所建設などさまざまです。

2019年4月に開催された一帯一路の首脳会議に合わせて中国企業と海外企業の間で合意された契約の総額は640億ドル(約7兆円)に達したと言われており、その規模の大きさを改めて世界に示すものとなりました。

ただこうした「カネ」に関する視点で中国の経済構想を考察した場合、いまある重大な指摘がされるようになりました。その指摘とは、経済援助を受けた新興国が中国政府への借入金の返済に行き詰まり、最終的には中国の経済支配を受けることになってしまうという「債務のわな」に関する懸念です。

国内外メディアの報道などによれば、既に中国政府からの借入金の返済が難しくなりつつある国は20ヵ国以上あると言われており、一帯一路構想やほかの単独プロジェクトなどにおける中国マネーの行き先を各国が注視する状況が続いています。

一帯一路構想と日本

日本政府は現在、一帯一路構想に対して完全な賛成の意思を示してはいませんが、事業の透明性やプロジェクトの採算性などの一定条件を満たした場合は協力する、というスタンスを取っています。

民間企業レベルで言えば、中国、そして東南アジアや中央アジア、ヨーロッパを舞台に事業を展開している日本の企業は既に数多くあり、「一帯」と「一路」の両方において既に無縁であるとは言えません。物流事業やインフラ関連事業を手掛ける企業などは特にそうでしょう。

また日本は鉄道などの交通や発電所などの「インフラ輸出」に長年力を入れてきており、こうした視点からも一帯一路構想の動きに非常に敏感になっています。

現代版シルクロードに注視を

歴史の教科書に登場する「シルクロード」は古代の中国と西洋を結ぶ東西交通路のことで、誰しもがその存在について学んだことがあるでしょう。シルクロードは交易を盛んにし、文化・宗教の伝来という点からも大きな影響力を持ちました。

中国の一帯一路構想はまさにこのシルクロードの現代版とも言え、プロジェクトが進むことで経済的・文化的な影響をより広い地域に与えるようになっていきます。「債務のわな」問題を含めて一帯一路構想はどのような動きをみせるのか、今後も目が離せない状況が続いていくのは確実です。

文・J PRIME編集部

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