深刻化,事業承継
(画像=Montri Thipsorn/Shutterstock.com)

団塊世代の経営者が数十万人、2020年ごろから引退の時期を迎えますが、業績が良いにも関わらず事業承継がうまくいかず、廃業を余儀なくされるケースが続発すると危惧されています。いま事業承継で何が問題となっているのでしょうか。

問題①後継者確保が困難化

事業承継とは、その企業の資産や経営資源を後継者に引き継ぐことを指します。事業承継を円滑に成功させたことがさらなる事業拡大に結びつくこともあれば、後継者が見つからずにそのまま廃業し、働いていた従業員の雇用が失われることもあります。

日本企業の99%以上を占める中小企業についてみてみると、後継者の確保が困難になっているというのが現状です。日本政策金融公庫総合研究所の2016年公表の調査によれば、廃業予定企業のうちその理由として後継者問題を挙げた経営者は約28%に達しています。

この約28%の内訳は、「子どもに継ぐ意思がない」が12.8%、「子どもがいない」が9.2%、「適当な候補者が見つからない」が6.6%となっており、世界的に広がる働き方や職業選択の多様化、日本の少子化などが、後継者確保をより困難にしている一因であると考えられます。

問題②経営者の高齢化

日本の企業では経営者の高齢化が続いており、世代交代が進んでいないことを如実に示しています。

帝国データバンクが毎年発表している「全国社長分析」の2019年版によれば、社長の平均年齢は前年比0.2%増の59.7歳となっており、過去最高を更新しています。1990年の社長の平均年齢は54.0歳でしたので、経営者の高齢化が進んでいることが分かります。

企業の年商規模で比較した場合、年商1億円未満で経営者の年齢が70代である企業が21.0%、80歳以上である企業が5.1%に上っています。年商500億円以上の企業では、70代が6.6%、80歳以上が0.6%であることから、年商規模が小さい企業であるほど高齢化が目立っていることが分かります。

社長の平均年齢が特に高いのが「不動産業」で61.7歳となっており、「製造業」が61.1歳、「卸売業」が60.7歳と続いています。

問題③事業承継の準備の出遅れ

後継者の育成には通常5~10年かかると言われています。親族内承継よりも親族外承継の割合が増えている昨今は、後継者探しにもより時間がかかっています。しかし、決して準備を早期から始めている企業ばかりというわけではありません。

帝国データバンクが2016年2月に公表した「中小企業における事業承継に関するアンケート・ヒアリング調査」によれば、経営者の年齢が60歳代の企業でも「これから準備をする」「現時点では準備をしていない」と答えた企業が半数近くに上っています。

経営者が70歳前後で引退する予定である場合は、せめて60代のころから準備を進めておきたいところですが、事業承継の対策を早期にしっかり打てている企業は決して多くないのです。

それでも事業承継を成功させるために

経営者の高齢化や後継者確保の困難化の中で事業承継をうまくいかせるためには、各企業が早い段階からの事業承継の準備を始めることが不可欠です。さらには、自分の子どもなどに会社を継がせることばかりにこだわらずに、会社の役員や従業員、またはその他の人への事業承継も視野に入れておくべきです。

また、多くの経営者にとって事業承継は何度も経験するものではありません。それ故に事業承継についての知識が不足しているのは仕方のないことであるとも言えます。事業承継では後継者の贈与税や相続税の納付が課題となることもあります。こうした課題をカバーする国の制度もありますが、経営者1人ではそのことについてなかなか調べきれない現状もあるでしょう。

それらを踏まえて、事業承継に詳しい専門家を早期に見つけ、二人三脚で中長期的な取り組みを進めていくことも視野に入れておくとよいでしょう。

文・J PRIME編集部

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