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(画像=oatautta/Shutterstock.com)

官報に載っている破産者情報をネット上で地図に関連付けて公開していた「破産者マップ」が炎上し、閉鎖される事態となりました。誰でも見られる公開情報をまとめたサイトでしたが、何が問題視されたのでしょう。閉鎖に至った経緯を振り返ります。

破産者マップとは

「破産者マップ」とは、2019年3月15日ごろにインターネット上で公開され、そのわずか4日後の3月19日に閉鎖されたウェブサイトの名称です。

破産者マップでは、内閣府が休日を除いて毎日発行している「官報」に掲載された直近2年間の破産者や破産企業の情報が集約され、Googleマップ上で破産者の住所が確認できるようになっていました。ここで使われていた情報は官報の紙媒体やインターネット版、有料の検索サービスから誰でもアクセス可能なものでした。

破産者マップのツイッターアカウントの発言によれば、公開翌日には1時間あたりのアクセス数が一時230万回に上り、サーバーへの負荷でページが一時的に見ることができなくなるほど注目を集めるまでに至りました。SNS上で破産者マップに関する情報や意見が一気に広まったことが理由でした。

破産者マップの炎上の経緯

この破産者マップに対しては、プライバシーの侵害などを指摘する批判の声が多く挙がりました。破産者マップのツイッターアカウントの発言によれば、マップに掲載されていた破産者や破産企業から削除要請も多くあり、一時は「15秒に1件のペース」(同アカウント)で申請があったようです。被害者対策弁護団も立ち上がりました。

報道などによれば、政府の第三者機関である個人情報保護委員会も、破産者マップが公開された3月15日のうちに運営者に対して閉鎖を求める行政指導を行っています。問題視されたのは、個人情報保護法の第18条「取得に際しての利用目的の通知等」と第23条「第三者提供の制限」に関する点だとされています。

結果的に破産者マップの運営側は個人情報の保護委員会の行政指導に従い、19日未明に破産者マップを非公開にしました。ただ破産者マップのツイッターアカウントでは「誰もが自由に見ることができる状態で官報を公開している図書館や大学も、破産者の名誉を傷つけているのでしょうか?」と発言し、行政からの指導に対して批判的な立場を明確にしていました。

一方で、「誰もが自由にアクセスでき、公開されている破産者の情報の表現方法を変えるだけで、これほど多くの反応があるとは思わなかったのが正直なところです」とも発言しており、反応が想像以上であったことによるとまどいも感じていたようです。

公開情報と二次利用

官報では破産者の情報のほかにも実にさまざまなデータが公開されています。各種省令などの情報のほか、日本への帰化を許可する人に関する情報、叙位や叙勲、企業の決算公告なども掲載されています。

今回の破産者マップの炎上事件は、国が公表している情報を集約することに問題があるのか、という点が特に議論になったと言えます。官報に対しては情報の一覧性に乏しいという指摘もあり、善し悪しは別として、今後も破産者マップのように官報の情報を整理したウェブサイトが登場する可能性は十分にあります。

また国や自治体が公開しているデータとしては、官報だけではなく、市町村が発行している広報などもあります。広報にもその市町村の住民の名前や連絡先が登場することはたびたびあり、こうした情報に対する二次利用に対する扱いについても、今後何らかの議論が必要になってくる可能性は大きいでしょう。

一層の議論が必要

インターネットによる情報の拡散性は今に始まったことではありませんが、破産者マップの炎上事件は改めてこうした拡散性と情報の公開度合いについての議論を巻き起こす結果となりました。今後有識者を含めた議論がより深まっていくことが求められているでしょう。

文・J PRIME編集部

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