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(画像=Syda Productions/Shutterstock.com)

2019年4月、東京都池袋で乗用車が歩行者をはねるという事故がありました。事故にあった母娘が死亡し、また、運転をしていた男性が87歳と高齢であったことから、高齢者に運転をさせるべきかどうか、というのが議論の的となっています。高齢者は運転免許証を自主的に返納すべきなのでしょうか。考えてみたいと思います。

自動車事故は、高齢者になると跳ね上がる

池袋の自動車事故は、運転者が高齢者だったことからも、大きな波紋を呼んでいます。「高齢者に運転免許を与えるべきではない」という意見も聞かれますが、実際のところ、高齢者の自動車事故は多いのでしょうか。

実際、年々高齢者が運転する自動車の死亡事故というのは増えています。警察庁によると、年々死亡事故というのは減っているものの、高齢者による死亡事故というのは横ばいであり、結果、2015年には、死亡事故を起こした人のうち、高齢者が占める割合は約13%となっています。

免許保有者数あたりの事故で見てみても、75歳以上は、75歳以下の倍以上の割合で死亡事故を起こしており、「高齢者による死亡事故リスクは高い」というのは間違いないでしょう。

免許返納制度の利用者は増えているものの、減らない高齢者ドライバー

確かに高齢者になると、判断力や反射神経が鈍り、事故のリスクが高くなってしまいます。このため、高齢者には、無理に運転させるべきではない、という考え方もあります。

その1つとして国が用意している制度が、免許返納制度になります。運転に自信がなくなったり、家族に運転をやめるように言われたりした人が、自主的に警察や免許センターで免許を返す制度です。実際、免許を返納する人は年々増えており、2017年には40万人以上の人が免許を返納しています。そのうち25万人以上が75歳以上と、高齢者の免許返納自体は進んでいるのです。

免許返納が進んでいる理由の1つとして、免許を返納することで得られるメリットもあるからです。その1つが、「運転経歴証明書」になります。運転経歴証明書は、身分証の代わりになることに加えて、様々なところで特典を受けることができるのです。例えば、高島屋や三越伊勢丹では、自宅への配送が無料になったり、また、ホテルや飲食店で割引を受けることができるなど、幅広い範囲のサービスがあります。こういったサポートも、免許の返納を後押ししていると言えるでしょう。

しかし、それでもなお、高齢者の免許保持者は増え続けています。それは、単純に高齢者の人口が増え続けているからです。実際、75歳以上の免許保有者は、2016年に500万人を超えており、これから先も増え続けていくと予想されています。日本全体の高齢化には、免許返納制度だけではカバーしきれない、というのが現状なのです。

田舎にこそ「Uber」が必要?

また、地方の交通という観点でも、高齢者の免許返納という点では課題が残ります。都会と異なり、田舎は、交通の便が発達していません。「移動手段が車しかない」という高齢者は多くいます。彼らの生活の足を奪うことができない、というのも、高齢者のドライバーが減らない要因でしょう。

これを解決する1つの案が、Uberなどの民間ドライバーかもしれません。実際、三重県の菰野町では、町民がドライバーとなり、高齢者を有料で送迎するという「あいあい自動車」というサービスが立ち上がっています。ほかにも、京都府京丹後市ではUberの仕組みを使った移動サービスを提供するなど、法律の範囲内で住民の移動をサポートする、というサービスが始まっているのです。

今は、Uberは規制によりサービスを提供することができません。しかし、高齢者の事故防止という観点で考えると、移動手段の少ない地方こそ、Uberのようなサービスが求められているのかもしれません。

高齢者の免許返納は、様々な角度で検討する必要がある

単純に、「高齢者の免許を返納すべき」というのは簡単なことです。しかし、日本がこれからさらなる高齢化に向かうこと、そして、地方では車に頼らざるを得ないということからも、実際に高齢者の免許を返納させることには、ハードルも多くあります。Uberのような新しい仕組みの導入も含め、こういった議論が進み、事故が1件でも減るのを祈っています。

文・J PRIME編集部

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