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(画像=Zapp2Photo/Shutterstock.com)

4月末に、小売業界を一つのニュースが駆け巡りました。ウォルマートが、4月25日に、AIを活用した実験店舗をOPENしたというニュースです。

ITを活用した店舗といえば、Amazonが展開するAmazon Goがよく知られています。このウォルマートの新しい店舗は、同じIT活用であっても、Amazon Goとは一線を画すようです。ウォルマートの新しい試みと、今後の小売店のIT化について解説します。

ウォルマートが新しい店舗をオープン

ウォルマートがニューヨークのレビットタウンの実験店で、インテリジェント・リテール・ラボという新しいコンセプトのお店を立ち上げました。このお店では、既存の売り場に、いくつものセンサーとカメラを設置しています。

このお店の目指すところは、製品の在庫管理の最適化です。この店舗には、3万点以上の商品が陳列されています。店内のカメラは、棚の商品をリアルタイムで認知・判別し、商品在庫が切れている場合や商品の鮮度が落ちた場合の回収のタイミングなどを知らせます。ウォルマートのAIは、すでにバナナの色から、バナナがどれだけ熟しているかを判断できるそうです。ウォルマートのカメラやセンサーは、1秒間に1.6テラバイトものデータをリアルタイム分析しているそうです。

ウォルマートが考えるIT化とは?

では、ウォルマートはどのように小売店をIT化しようとしているのでしょうか。ウォルマートが目指すのは、「在庫管理の最適化」でしょう。

小売業、特にスーパーで悩ましいのは、古くなった商品の廃棄や値引きによるロスです。食品スーパーにおいて鮮度は重要です。基本的に多くの品物は販売期間が限られており、在庫が残ってしまえばそれはそのままコストになります。この廃棄コストや値引きコストを最小限にするために、ITやAIを導入しようとしているのです。

背景にあるのは、「監視されている」という顧客の反発かもしれません。カメラが張り巡らされた店舗では、顧客は監視されている、個人情報を採られていると感じ、買い物することに抵抗があると感じる人もいます。そういった批判を回避するために、ウォルマートは、今回、商品の監視に焦点を当てたとも言われています。

Amazonとウォルマートの違いは?

では、Amazon Goとウォルマートの大きな違いを見てみましょう。

Amazon Goとウォルマートの大きな違いは、店舗のコスト削減のアプローチ方法です。先ほども言ったように、ウォルマートは、商品の「在庫ロス」に焦点を当てました。実際、ウォルマートの実験店舗では、100人ものスタッフが働いています。一方、Amazon Goは、レジの人員と時間の削減、というのが大きなテーマになっています。これは、ウォルマートが生鮮食品中心なのに対し、Amazonは、ホールフーズを買収したといえど、もとは書店という賞味期限を持たない商品から始まった店舗である、という、それぞれの由来による違いかもしれません。ITによって省力化を進めるのは同じでも、アプローチが全く異なるのが面白い点です。

IT化が進むと、小売業はどうなる?

では、今後、IT化が進むと、小売業はどのようになるでしょうか。もしかすると、本当の意味で、「店舗」の存在価値がなくなるかもしれないのです。

なぜならば、今、小売業の店舗が存在する理由は、「実際に商品を見たい」という意見が多いからです。ファッション業界では、店舗はショールーミング化しつつあるなど、店舗の目的そのものがかわりつつあります。もし、AIやカメラで、新鮮な商品のみが店頭に並べられるようになると、商品に対する信頼度が上がり、そもそも顧客の「実際に商品を見たい」というニーズがなくなる可能性があるのです。リアル店舗がIT化した結果、リアル店舗の必要性がなくなってしまう可能性があるのです。ITの発達が小売店を破滅に追い込む可能性があるというのは、なんとも皮肉なものかもしれません。

ウォルマートのIT化は、小売業をさらに進化させる

ウォルマートのIT化は、商品の鮮度管理という、これまで小売店が肌感覚で行ってきた業務をIT化することにより、省力化を目指そうとしています。レジを省力化するAmazonとは異なるアプローチですが、ITで省力化を行うという目的は変わりません。これまで低利益で苦しんできた小売業は、ITによって進化するのでしょうか。

文・J PRIME編集部

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