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(画像=Ysbrand Cosijn/Shutterstock.com)

ビジネスパーソンが身につけておきたい教養の一つに、西洋美術史があります。単にアートを眺めているだけでは、そのアートが生まれた背景や、時代による特徴などを捉えることができません。美術品とその歴史を深く知ることで、よりアートを楽しめるようになるでしょう。

今回は、大人だからこそ身につけたい教養として、ヨーロッパにおける美術の歴史についてご紹介します。

美術史はエリートのたしなみ

美術品は感性を高めるためにあると考える人も多くいるでしょう。しかし、西洋美術史をひも解いて、美術品には美しさと同時に、その裏には宗教や政治との深いつながりがあることが分かります。そのため世界のビジネスエリートたちは、美術史から、作品が創られた時代背景や当時の哲学への理解を深めていくのだそうです。

日本でも、ビジネスパーソンのための美術史講座が数多く開催されています。より深い教養を身につけたい、ビジネスで使える美術の知識を得たい、グローバルに活躍したいという人は、美術史の講座を受講してみてはいかがでしょうか。

これだけは押さえておきたい!西洋美術史

ここからは、これだけは知っておきたい西洋美術史について解説します。

美しさと写実を求めたギリシャ美術

紀元前3000年から西暦0年ごろまで続いたギリシャ美術では、神から与えられた人間という造形の美しさを追求することも、徳を積む一つの手立てと考えられていました。紀元前400年ごろになると、男性の美を追求したギリシャ彫刻が発展します。美しい男性は、神への捧げものと考えられていたそうです。

その後、戦争によってギリシャ文明が各地に広がると、ギリシャ美術にギリシャ以外の文化が融合するようになります。

そうして神ではなく、権力者などの特定の人物をアートで表現するように変化していきました。このころから、美術品のモチーフがより個人に近づき、写実主義が発展します。衣服の繊細な動きまで表現されている「サマトラケのニケ」は紀元前190年ごろの作品、かの有名な「アフロディーテ(通称:ミロのヴィーナス)」は紀元前100年ごろの作品であるといわれています。

宗教と美術が密接にかかわりあった初期キリスト教美術

期限後になると、初期キリスト教美術が誕生します。ローマ帝国の衰退を背景に、異教として禁じられていたキリスト教もローマ帝国の国教として公認されました。これを機に、各地で協会が建設され、ガラス片を用いて装飾を行うモザイクが発展します。モザイク画は細やかな表現が難しいことから、デザインは単純化し、写実主義から離れて、人物にも動きがなくなっているのが特徴です。

また、絵画はキリスト教の要素が濃くなり、「目から学ぶ聖書」としての役割も果たすようになります。

権力者や貴族がこぞって美術品を買い集めたルネサンス

西暦1400年ごろからは、誰もが知る「ルネサンス」の時代に入ります。ヨーロッパの都市の経済が活性化したことによって、芸術はいったんキリスト教から離れ、ギリシャ美術同様に個人がモチーフとなりました。

ルネサンスはイタリアのフィレンツェを中心に展開され、作品は主に当時の権力者やパトロンの手に渡っています。絵画だけでなく、建築や彫刻でも新しい様式が次々と生まれ、貴族たちの居城を飾る装飾品も、より豪華なものになりました。

宗教戦争とバロック

1600年ごろにローマで形成されたバロックは、30年戦争とも呼ばれる宗教戦争を背景として、キリスト教と深くかかわる絵画を多く生み出しました。貿易が活発になり経済が発展して、市民の生活が豊かになっていったのもこのころです。

市民はローマ教皇への反発心を持つようになり、読み書きができない庶民でも意味が理解できるよう、当時のカトリック教会を風刺する絵画も多く生まれました。

重い税負担や免罪符の発行などから、カトリックを疑問視する庶民も増えていく中で、福音主義と呼ばれるプロテスタントは聖像の破壊を始め、このころ数多くの美術品が失われています。一方カトリックは、市民の心を再び取り戻そうと、鮮やかでダイナミックな宗教画を求めるようになりました。

フランスではルイ14世による絶対王政が敷かれ、王立絵画彫刻アカデミーが設立されています。古来ヨーロッパではこのようにして、美術品を宗教や政治に利用しながら、学問としても発展したのです。

興味深い西洋美術史を理解すると美術がもっと楽しくなる

西洋の美術は、宗教や政治・経済と密接にかかわりあってきました。有名な美術品が生まれた背景を知ることで、これまで単に美しさやすばらしさに見とれていただけの美術品が、より身近なものに感じられることでしょう。特に、現代におけるメディアのような役割を果たしていたバロックの絵画の変遷をたどることで、その当時に生きていた人々の思想や願いも見えてくるかもしれません。

文・J PRIME編集部

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