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(画像=Freedomz/Shutterstock.com)

1980年以降、ほとんど見直されなかった相続法が約40年ぶりとなる2018年に改正されました。改正によって変更された点は主に7つあります。生前から相続に関する手続きを行いたいと考えている人は、2019年1月から順次施行される改正相続法について理解を深めていきましょう。

相続法が改正された背景

相続法がほとんど見直されなかった約40年の間に、社会の高齢化は大きく進みました。それに伴い、相続開始時における配偶者の年齢も高齢化しています。改正相続法では、相続時の配偶者の高齢化を加味して、残された配偶者の生活の保護を目的とする方策が盛り込まれています。また、遺産相続における紛争の件数も年々増加していることから、これを防止する内容も加えられました。

改正の内容は

上記の通り、改正相続法では、配偶者の生活の保護と相続時の紛争を防ぐことを大きな目的としています。具体的にはどのような点が変更されたのでしょうか。ここからは、相続法の変更点について詳しく解説します。

自筆証書遺言の方式緩和

2019年1月13日から、自筆証書遺言が作成しやすくなりました。これまでは、遺言書の全文と財産目録のすべてを自書しなければなりませんでしたが、これからはパソコンで財産目録を作成し、通帳のコピーを添付できます。ただし、財産目録には署名と押印が義務付けられています。

居住用不動産の贈与等に関する優遇

婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用の不動産を遺贈・贈与する場合、これまでは贈与分も相続財産として扱われていました。2019年7月1日からは、遺贈・贈与を受けても居住用不動産は相続財産とみなされず、配偶者はその分より多くの財産を相続することができるようになります。

預貯金の払い戻し制度の創設

新制度の創設によって、被相続人の葬儀費用や配偶者の生活費などを遺産分割前に被相続人の預貯金から払い戻せるようになります。こちらも2019年7月1日から施行されます。

遺留分制度の見直し

例えば家族経営の企業で、経営者が死亡した際、後継者に自社株式をすべて相続させるという遺言書を残していたとします。現行の制度では、後継者ではない相続人が「遺留分を侵害された」として、後継者に遺留分減殺請求を行うことができます。

これにより、株式が分散され事業継承がうまくいかず、場合によっては経営を続けることが難しくなってしまうこともありました。これらは遺産相続の紛争にもつながります。2019年7月1にからは、遺留分を侵害されたとする相続人は、遺留分侵害額に相当する分を金銭で請求できるようになりました。

さらに、遺留分を請求された相続人は、裁判所に対して支払期限の猶予を求めることができるようになります。

上記の例でいえば、自社株式を分散させる形で相続するのではなく、自社株式を後継者に集中させることができるようになるのです。

特別の寄与

同じく2019年7月1日から、相続人以外の被相続人の親族が被相続人の療養看護等を行った場合、相続人に対して金銭を請求できるようになりました。例えば、現行の制度では、被相続人の息子の配偶者が被相続人を介護していた場合でも、相続の権利がありません。

2019年7月1日からは、相続人が死亡している場合でも、その配偶者は金銭を請求できるようになります。

法務局による自筆証書遺言の保管

2020年7月10日からは、自筆証書遺言を法務局に保管してもらうこともできるようになります。被相続人の死後、相続人は全国にある遺言書保管所に遺言書保管の有無を確認でき、遺言書の閲覧、遺言書の写しの交付をしてもらえます。公正証書遺言よりも気軽に作成できる自筆証書遺言に、しっかりとした保管先ができることで、今後ますます自筆証書遺言の活用が進むと考えられます。

配偶者居住権

2020年4月1日からは、相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた配偶者は、遺産分割において配偶者居住権を取得できるようになります。配偶者居住権を得ることで、その住居に無償で済み続けることができるようになるという制度です。

配偶者居住権が新設されることによって、住居を確保しながらその他の財産も相続できるようになります。

改正のポイント

今回の法改正では、被相続人の配偶者の財産の保護、相続と同時に事業継承を行う際の紛争の防止、自筆遺言書による紛争の防止の3つを重点としていることが分かります。自分の死後の配偶者の生活が心配な人、子どもや親族に確実に会社を譲りたい人には朗報です。

とはいえ、自分の死後に相続による紛争が起きないように、生前からしっかりと対策を取っておく必要もあるでしょう。多くの財産を抱えている人は、今から弁護士などに相談し、対策を取っておくと安心です。

文・J PRIME編集部

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