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(画像=designer491/Shutterstock.com)

よく「所得税を圧縮する」といった表現が使われますが、中身は3ステップからなります。(自営業者であれば)まず、経費計上をして所得そのものを減らす。その上で、所得控除により所得税を計算する前の金額を減らす。そして、所得税から税額控除を直接差し引くという流れです。所得控除と税額控除は混同しやすいので違いを覚えましょう。

所得税率に影響を与える「所得控除」

所得控除とは、所得税を計算する前に「所得から差し引く控除」を指します。たとえば、その年の所得が500万円で所得控除が200万円なら、課税される所得金額は300万円(所得500万円−所得控除200万円)になります。

所得が圧縮されることにより、所得税の税率が変わってきます。仮に、もともとの所得500万円のままだったら所得税率は20%です。これに対して、所得金額300万円なら所得税率は10%に下がります。ちなみに、所得税の速算表は次の通りです。

  • 課税される所得金額195万円以下 5%
  • 同上195万円超 330万円以下 10%
  • 同上330万円超 695万円以下 20%
  • 同上695万円超 900万円以下 23%
  • 同上900万円超 1,800万円以下 33%
  • 同上1,800万円超 4,000万円以下 40%
  • 同上4,000万円超 45%

出所:国税庁「No.2260 所得税の税率」
※上記に復興所得税は含まれていません。

所得が増えると税率が重いため、高収入の方は「所得控除をいかに増やすか」が大きなテーマになります。一方で、所得控除をやみくもに増やそうとする方もいますが、上記の速算表に沿って「所得税率を落とすにはどれくらい控除を増やせばいいか」を考えていくべきでしょう。いくら所得控除を増やしても税率が落ちなければ意味がないからです。

ふるさと納税の寄附金やiDeCoの掛金は「所得控除」

所得控除には具体的に次のような内容があります。

  • 基礎控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 雑損控除
  • 寄附金控除 など

いくつかの所得控除の項目について補足していきます。まず、保険関係は所得控除の対象になるため、高所得者ならある程度意識すべきです。

また、小規模企業共済等掛金控除は、一般ビジネスパーソンになじみのない項目かもしれません。これは自営業者・経営者・役員などが廃業や退職したときのために積み立てる退職金制度です。該当する方は加入によって所得税率を引き下げる効果が見込めます。iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している方は掛金をこの「小規模企業共済掛金控除」の欄に記入します。掛金は全額、控除の対象になります。

寄附金控除は、国や地方公共団体に特定寄附金を拠出したときに計上します。利用者が急増しているふるさと納税はこの欄に記入します。政党や認定NPO などに対する寄附金は、後述する税額控除とどちらかを選択できます。

住宅ローン控除や株式の配当は「税額控除」

もうひとつの税額控除は、所得控除と比べるとシンプルな仕組みです。さきほどの所得控除を差し引いて計算した所得税からダイレクトに差し引くことができます。例えば、所得控除を勘案して計算した所得税が100万円だったとしましょう。税額控除が30万円であれば最終的におさめる所得税は70万円になるといった具合です。

多くの方になじみのある税額控除に使える制度は、マイホームを購入した方が対象の「住宅ローン減税制度」でしょう。これはその年の住宅ローン残高の1%を10年間にわたって所得税から控除するものです(消費税10%引き上げに合わせて13年間に拡充)。

また、配当金控除は、株式の配当や投資信託の分配金などがある方は一定の計算によって税額控除が発生します。これも忘れずにチェックしたいところです。

節税のためには、所得控除と税額控除の両方が大切です。ただし、高所得者に限っていえば、所得税率を決める所得控除が特に重要と考えられます。今年度は所得控除をいくら計上できそうか、それによって所得税率がどれくらいになりそうかを常に意識して、税金をコントロールしましょう。

文・J PRIME編集部

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