(チーターデジタルの代表取締役社長、橋本勇人氏)
(チーターデジタルの代表取締役社長、橋本勇人氏)

伝統的なマーケティングの手法にテクノロジーが入り込み、デジタルマーケティングが普及することで、既存企業のビジネスのやり方にも大きな変化の波が訪れています。衣料品業界は、消費者ニーズをすばやく取り込み、市場が冷めないうちに適切なモノを売るという意味で、デジタルツールによる高速かつ緻密なマーケティングの効果が出やすい業態です。

一連の流れを自動化するマーケティングオートメーション(MA)が普及して数年が経とうとしています。それまでは「だいたいこのくらいのニーズなので、これくらいのスペックで作ろう」といったように、感覚的な商品開発が一般的でしたが、MAツールを導入することで、ユーザーを細かく分類し、好みに沿った商品をオーダーメイド感覚で開発することも可能になってきました。

しかし、ツールはあくまでもツールです。「あくまでも消費者との関係構築が目的。達成できるなら紙やダイレクトメールでも問題ないし、ITなど必要ありません」と話すのは、MAやメールマーケティングツールを提供するチーターデジタルの代表取締役社長、橋本勇人氏です。米衣料品大手のAmerican Eagle Outfittersが、消費者が期待する方法での顧客体験を提供する際、チーターデジタルが支援した際の話を聞きました。

デジタルとリアルの間に立たされた顧客体験

American Eagleは、流行の先端を行く高品質な衣料品やアクセサリー、パーソナルケア用品を提供する小売専門の大手グローバル企業です。同社は、コアターゲット層である15〜25歳までの層のモバイルシフトが急速に進んだことで、デジタルとリアル店舗における顧客体験に一貫性を持たせ、その上でブランド価値を提供していく必要に迫られていました。スマートフォン、検索エンジン、実店舗、Eコマースなどさまざまなチャネルにおいて、シームレスな顧客体験を提供することが求められていたのです。

そこで、商品検索から購入に至るまでの体験をスムーズなものにすることで、会員のロイヤルティーを高めようと考えました。実施したのが、オンラインで取り置きし(Reserve)、リアル店舗で試着して(Try)、 購入(Buy)するという一連の流れを仕組み化する「RTBプログラム」です。

ユーザーはECやアプリで商品を検索し、気に入った商品があればそのまま取り置きできます。取り置きは、専用フォー ムに基本情報を入力するだけです。手続き完了後に案内メールまたはSMSが配信されます。メールには取り置き店舗、期間、試着の手順、営業時間を載せ、次のプロセスである試着まで、ユーザーを誘導します。

店舗を訪れた顧客とコミュニケーションし、試着してもらって気に入った商品があれば購入を促します。購入は、そのまま店舗でも、家に帰ってからECサイトからでもできます。実店舗を交えたリアルとデジタルの継ぎ目のない顧客体験を実現しました。

サポート

この体験を構築する上で、チーターデジタルは戦略立案から施策の実施、効果検証まで一気通貫のサポートを提供しました。プログラムの要件定義フェーズでは、顧客のコミュニケーションチャネルのトレンドや購買行動を分析しました。そこから、データを活用したメッセージを配信できるように顧客、在庫、店舗などの各データを統合。さらに、購買データ、開封、クリックなどのデータに基づき、クリエイティブの改善を支援しました。

実際のところ、取り置き、試着、購入を支援するRTBプログラムの導入効果は大きいものでした。RTBの利用顧客の売り上げは、利用していない顧客の2倍に達しました。American Eagleにとってのロイヤルカスタマーも増加したのです。

American Eagleのこうした取り組みは、IT活用の威力を示すものである一方で、古い体質が残る既存の衣料品業界が、今後競争にさらされる可能性も示します。デジタルマーケティングなどITの積極的導入など、新しい施策の実施も考慮しておく必要がありそうです。

文・J PRIME編集部

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