超富裕層の方は、プライベートバンクを利用すると資産運用のメリットが大きい…このような内容の記事やコラムを読んだことがある方もいらっしゃるでしょう。しかし、日本ではプライベートバンクが身近な存在ではないため、いまいち実感がわかないという方も多いはずです。プライベートバンクの本質を知るには、その歴史を知ることが近道です。

プライベートバンクには、日系と海外系がある

はじめに、プライベートバンクの利用価値を確認しましょう。一言でプライベートバンクといっても、大きく「日系」と「海外系」の2つのグループがあります。同じプライベートバンクでもその性格はかなり違います。

日系プライベートバンクは比較的歴史が浅く、一般的に口座開設の最低預け入れ金額は1億円程度からと言われます。これに対して海外系プライベートバンクは、長い歴史と世界的なブランド力を有した金融機関も多く存在します。金融機関によっては、最低預け入れ金額が数億円以上とも言われます。

日系、海外系、2つのグループのプライベートバンクに共通する利用メリットは、「テーラーメイドの資産運用(金融商品の提案)」です。世界中の金融商品からその顧客に合ったものをセレクトしてくれます。ネットバンクやネット証券が発達した時代にあって、プライベートバンク不要論も散見します。しかし、一般投資家では難しい高度な金融商品を提案してもらえるのはプライベートバンクだからこその魅力です。一方、どの程度のレベルの提案がしてもらえるかは、金融機関によってかなりの差があります。

プライベートバンクがスイスで発祥した理由

海外系プライベートバンクは、金融に強いと言われる国で発達しています。具体的な国名では、スイス、オーストリア、アメリカ、香港、ドバイ、シンガポールなどです。この中でも、ブランド力と歴史のあるプライベートバンクが目立つ国がスイス。この国はプライベートバンク発祥の地であり、現在も世界中の超富裕層の資産が集まります。

その歴史をひもといてみると、もともとプライベートバンクは、スイスから周辺国に出稼ぎに行く兵士のための機関でした。スイスといえば、平和主義の中立国のイメージですが、11世紀頃までさかのぼると、ヨーロッパ諸国の戦争に大勢の傭兵(ようへい)を送っていた歴史があります。傭兵とは金銭で雇われた兵士のことです。彼らにとっては、通常の報酬の他に、現地住民から奪った財産も収入源でした。これらの管理には細心の注意が必要だったため、プライベートバンクが発達したと言われます。

その後、1815年のウィーン会議でスイスが永世中立国を表明したことをきっかけに、プライベートバンクの位置づけは大きく変わります。永世中立国ということは侵略されるリスクが低いということであり、資産を守るにはうってつけなことからヨーロッパ諸国の富裕層の資産が集まりだしました。それがやがて、金融に強い国へ、さらには日本へと広まったというわけです。

ちなみに、日本国内には現在、さまざまな金融機関カテゴリを主体にしたプライベートバンクがあります。たとえば、メガバンク、地銀、信託銀行、証券会社などのプライベートバンクが展開しています。

一般的な超富裕層は日系プライベートバンクと好相性

「日系」と「海外系」という2グループのプライベートバンクを比較した場合、日本国内の超富裕層と相性がよいのは日系と考えられます。理由は、日本特有の税金や金融のルールには海外系では対応が難しい面があるからです。そのため、一般的な事業承継や相続対策を考える方は、日系のプライベートバンクを選ぶとよいでしょう。

実際に、海外系のプライベートバンクの中には、シティバンクのプライベートバンク部門のように、再三の行政処分を受け、撤退したところもあります。海外系プライベートバンクと相性がよいのは、グローバルの金融商品を重視する一部の超富裕層に限られるでしょう。

文・J PRIME編集部

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