インバウンド,最前線
(画像=Constantin Stanciu/Shutterstock.com)

訪日外国人旅行者の増加を目指した訪日プロモーション事業であるビジット・ジャパンがスタートしたのが2003年。この年に日本を訪れた訪日外国人旅行者の数は521万人に過ぎませんでした。

しかし、その数は、2018年に3,119万人まで増加しました。どのようにして訪日外国人旅行者が急増し、現状としてどのような課題に直面しているのでしょうか。

ビザ緩和、富裕層、中間層が日本へ

2018年に日本を訪れた外国人のうち、国別でみると、中国人が最多の838万人でした。中国人旅行者に対しては、2000年に団体ツアー客を対象にビザの発給を開始。2009年には、その対象を個人の観光客にも拡大しました。個人ビザには、一定の経済力を有する旅行者に発給される一次ビザに加え、沖縄県、東北6県に1回目の訪日で滞在する際に、有効期間3年の数次ビザも発給されています。

また、リピーターを取り込むべく、過去3年以内に2回以上特定の個人ビザで訪日した中国人訪日旅行者に対し、十分な経済力が証明された場合、沖縄、東北6県の訪問地要件が設定されない有効期間3年間の数次ビザも発給されます。

さらに、中国人富裕層を取り込むためのビザも登場しました。相当な高額所得者に対しては、有効期限5年、1回の滞在期間が90日以内の数次ビザが発給されます。訪日外国人増加の背景には、中国人観光客に対するビザが緩和されたことが、要因の1つに挙げられます。

訪日外国人観光客全体では、中国人が最多を占めていますが、主な旅行者の国籍別の伸び率に着目すると、2018年はベトナム人旅行者が前年比26.0%増で最多の伸び率を記録しました。この他、東南アジアでは、フィリピン18.8%、タイ14.7%、インドネシア12.7%と2桁以上の伸び率となりました。

東南アジアは堅調な経済成長を続け、海外旅行を楽しめる経済力を持った中間層が育っていることに加え、エアアジアやジェットスターなどのLCCが日本路線に就航し、手ごろなフライトを確保できるようになったことも、訪日旅行者の増加の後押しともなっています。

爆買いの終焉?

かつて、訪日外国人旅行者の旺盛な消費は「爆買い」という言葉を生み出し、同じ電化製品を2つも3つも買っていく姿が目に付きました。しかし、足元では訪日外国人旅行者の消費に変化が起きています。2018年の訪日外国人旅行者の旅行支出は平均15万2594円と前年比で0.9%落ち込みました。

このうち中国人旅行者は、同2.9%減と全体の平均を上回る落ち込みとなっています。2017年の中国人旅行者の1人当たりの旅行支出のうち買い物代に焦点を当てると、11万9,319円でしたが、2018年には11万923円まで減少しています。この傾向から免税品で訪日観光客を引き付ける戦略は、軌道修正を迫られそうです。

一方、消費の落ち込みとは対照的に、訪日外国人旅行者の数そのものは増加傾向を続けており、東京や京都などの観光名所では観光客が引き起こす渋滞や混雑が公害として問題視されています。中には、公共交通機関における観光客の利用が増加し、住民の生活が脅かされる例まで発生しています。地域住民と観光客の間で軋轢が生じないような、混雑緩和に向けた対策が求められています。

2020年には4,000万人の目標

3,000万人を突破した訪日外国人旅行者数について、政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には4,000万人の目標を掲げています。国際的なスポーツイベントに伴い、訪日外国人観光客は増加すると見込まれます。

その中で、既に問題として指摘されている観光地の混雑や渋滞対策に、本格的に取り組む必要がありそうです。また、落ち込む訪日外国人旅行者の消費を刺激するための取り組みを進めることができれば、日本経済にとっても訪日外国人旅行者の増加は明るい材料となりそうです。

文・J PRIME編集部

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