働き方改革法,制度
(画像=Alex Brylov/Shutterstock.com)

長時間労働に有給消化率の低さなど日本の労働者を取り巻く環境は厳しく、過労死やブラック企業といった社会問題にまで発展し、政府が本格的な対策を迫られることになりました。

2019年4月には働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案、通称「働き方改革関連法案」が施工されます。労働者として、労働環境の改善のためにもその法案の内容と注意点に精通しておく必要がありそうです。

残業時間は月45時間まで

働き方改革関連法案の柱の1つとして据えられたのが労働時間の短縮及び労働環境の整備です。具体的には、時間外労働の上限について、月45時間、年360時間が原則として設定されます。繁忙期など特別な事情がある際においても年間で720時間、単月で休日の労働を含め100時間未満、複数月で平均して80時間に定められました。

月45時間以上の時間外労働の上限を超過できるのは、年間で6ヵ月までとなっています。労働者のうち、自動車運転の業務、建設事業、医師などは、2019年4月からのこれらの時間外労働の上限について適用が猶予されます。

また、同法では勤務終了後から次の勤務までの一定の時間を空けるインターバル制度の普及促進を目指します。前日の就業時刻から翌日の始業時刻の間に、何時間空けなければならないのか、具体的な時間数は設定されませんでしたが、事業主には労働者が一定時間の休息を確保できるように努めるように義務付けされます。

高額所得者の専門職は休日確保の代わりに残業制限なし

一般労働者に残業時間の制限が設定され、長時間労働を抑制する効果が期待される一方、こうした制限の対象外となる労働者もいます。金融商品の開発、ディーリング、アナリスト、コンサルタント、研究開発の5分野に携わる労働者で、年収が1075万以上の高額所得者は、高度プロフェッショナル制度(高プロ)の対象となります。

高プロは、時間外、休日に働く際も協定を締結する必要がなく、さらに時間外、休日・深夜の割増賃金の支払いの対象外となります。高プロには、1日の労働時間が抑制されないかわりに、年間104日の休日を確保することが義務付けされます。

同一労働同一賃金

近年、派遣法改正などの影響から、雇用者に占める非正規職員の割合が年々高まっています。問題となるのが、同じ労働内容にも関わらず、正規労働者と非正規労働者の間に賃金をはじめとする待遇に格差が生じていることです。働き方改革関連法案では、この格差の是正にも取り組むべく、雇用形態に関わらず公正な待遇の確保を目指しています。

具体的には、パート労働者や有機雇用労働者と正規雇用労働者との間の不合理な待遇を禁止することを明確化しています。その上で、派遣労働者に関しては派遣先の労働者との均等な待遇、あるいは同じ業務に従事する一般の労働者の平均賃金と同等かそれ以上の賃金のいずれかを確保することが義務付けされます。この措置により、労働者の雇用形態に関わらず、同一労働、同一賃金の実現が図られることになりそうです。

事業主には罰則のリスク

働き方改革では労働者がその改正内容に精通するとともに、事業主も制度改正に注意が必要です。有給休暇が10日以上与えられている労働者に対し、年5日を取得させなかった場合、従業員1人あたり30万円の罰金が課されることになります。また、使用者は労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、それを3年間保存する義務も負うことになります。

長時間労働、サービス残業が当然とされてきた日本の労働環境にも、2019年4月以降、働き方改革の名の下、その是正に向けた動きが加速していくとみられます。こえまでの労働環境と照らして、改正法に違反していないか、労働者、使用者ともに管理が求められそうです。

文・J PRIME編集部

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