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(画像=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

富裕層の悩みとして多く挙げられるのが、やはり相続・贈与に関するものです。一括で相続や贈与を行うと、多大なる税金がかかるからです。そのため、暦年贈与という制度を利用し、なるべく早いうちから子、孫に対して資産を贈与し、相続時の資産額をできるだけ少なくしておくに越したことはないでしょう。暦年贈与の仕組みと、どういう場合に有効かについて解説します。

そもそも贈与税・相続税ってどれくらいなの?

まず、そもそも、資産を子・孫に渡すときに、どれくらい税金がかかるかについて、基本的な知識を確認しましょう。資産を移動させる手段としては、主に贈与と相続があり、それぞれに贈与税・相続税がかかります。

贈与税は、贈与の金額によって税率が変わる、累進課税制度になっています。基礎控除が110万円あり、その金額を引いた金額に対し、最大55%の税率がかかります。子どもが20歳未満の場合、3,000万円以上の贈与で、贈与税率55%、20歳以上の場合は、4,500万円以上の贈与で、贈与税率55%がかかります。

一方、相続税も、相続する資産の金額によって税率が変わる、累進課税制度です。相続税の最高税率も55%になっています。ただし、こちらは、基礎控除が、3,000万円+600万円×法定相続人の数となっていることに加え、55%の相続税がかかるのは、6億円以上となっており、贈与税に比べて控除が大きく、税率が低い税金になっています。そのため、無理に贈与で資産を移転するよりは、相続を活用したほうが、税金的にはメリットが大きいといえるでしょう。

非課税で贈与できる?暦年贈与の仕組みとは?

しかし、贈与も、うまく活用すれば、税金を少なくする手段として有効です。その1つは、暦年贈与になります。

暦年贈与とは、贈与税の基礎控除額110万円を活用した贈与方法になります。110万円までであれば、毎年贈与をしても、課税対象とはなりません。そのため、毎年、110万円までの範囲内で、子や孫に資産を贈与するのが、暦年贈与の仕組みになります。

暦年贈与をする場合は、契約書を作成し、公証人の確定日付のスタンプをもらうことで、正式な贈与として認められます。その後資金の受け渡しを行うことで、暦年贈与が成立します。ただし、110万円を超えてしまうと、贈与税の発生の対象になりますので、税務申告が必要です。

相続時積算課税制度と暦年贈与、どっちがお得?

暦年贈与と比較される制度として、相続時積算課税制度というものがあります。相続時積算課税制度とは、贈与時に、贈与税を支払った上で、その後、相続時にその贈与財産と、相続財産を合計し、相続税額を決定するのですが、その際に、相続税額から、既に支払った贈与税額を精算する仕組みです。いわば、相続税の前払いに当たるのが、相続時積算課税制度になるのです。

相続時積算課税制度はメリットとして、控除額が2,500万円と大きい、税率が一律20%、また、控除額が2,500万円に達するまでは、何度でも控除可能という点です。また、控除額が大きいことから、土地や住宅など、大型の資産を贈与するのにも適しています。

暦年贈与と相続時積算課税制度は、併用することはできない制度になっています。控除額で単純計算すると、子どもに資産を渡せる年数が、20年以上であれば、暦年贈与の方が、20年以下なのであれば、相続時積算課税制度の方が、お得な制度と言えます。また、土地や建物などが資産の大半を占める場合には、相続時積算課税制度の方が有利な側面も大きいかもしれません。

暦年贈与の仕組みを理解して、賢く節税を

暦年贈与を使うことで、毎年資産を移転し、トータルで支払う相続税や贈与税を少なくすることができます。また、大きな贈与を行う場合は、相続時積算課税制度も検討できます。いずれにせよ、こういった仕組みを理解して、上手に節税を心がけたいものです。

文・J PRIME編集部

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