スイスのプライベートバンク「ジュリアス・ベア」(写真=Pixeljoy/Shutterstock.com)

富裕層だけが利用できる特別な銀行・サービス。日本において今、「プライベートバンク」という言葉や仕組みへの関心が急速に高まっており、富裕層マネーの行き先に大きな変化が生まれつつあります。今回はプライベートバンクとは一体何なのか、真の価値とは何なのかを見ていきましょう。

プライベートバンクとプライベート・バンキングサービス

「プライベートバンク」という言葉は2つの意味合いを持ちます。1つは富裕層向けの資産管理・運用サービスを提供する「銀行」を指している場合。2つ目は、こうした「サービス」を総称して呼ぶケースです。後者は「プライベート・バンキングサービス」などとも言われる場合もあります。

いわゆるプライベートバンクではない一般的な銀行が「プライベートバンク部門を発足させた」などと言われる場合は、プライベート・バンキングサービスを提供する部署を新たに立ち上げたという意味です。この記事では混同を避けるため、「プライベートバンク」と「プライベート・バンキングサービス」と区別して表記します。

プライベートバンクは欧州で発祥した銀行形態で、特にスイス系が有名です。1796年に創業した「ロンバー・オディエ」や起源が1890年まで遡る「ジュリアス・ベア」などがよく知られており、共同経営者の1人が無限責任を負う形態で運営されています。

プライベート・バンキングサービスを提供する有力銀行を挙げると、例えばその一つは世界最大規模の金融グループ「シティグループ」の中核銀行である「シティバンク」で、同行においては資産家などの富裕層を対象にしたプライベートバンク部門が収益の稼ぎ頭の一つになっています。日本でも近年、こうしたサービスを提供する銀行が増え始めています。

プライベートバンクの魅力・価値とは?

安心して全てを任せることができ、しかも良き相談相手にもなってくれる……スイスのプライベートバンクの魅力が語られるとき、一任勘定が可能な点や資産運用のプロ中のプロが継続的に担当してくれることが一例として挙げられます。しかし魅力や価値はこれだけではありません。

顧客の資産管理や資産運用に事業を特化させ、融資や金融商品の販売などを行わない傾向もみられ、破綻リスクを最小化させています。資産運用の成果によって顧客から支払われる報酬が変動する仕組みをベースとしており、銀行側と顧客側の利害を一致させていることも特徴の一つです。

スイスがプライベートバンクの最高峰とも目される理由の一つは、各行の伝統や厚い信頼などですが、スイスが永世中立国である点や、スイス・フランの安定性なども特筆すべきことでしょう。現在もスイスのプライベートバンクに資産管理・運用も任せたいという富裕層は後を絶ちません。

プライベート・バンキングサービスの魅力・価値とは?

プライベートバンクではない銀行のプライベート・バンキングサービスを利用する魅力も大いにあります。

専門部署が立ち上げられ、経験豊富な銀行員やフィナンシャル・プランナーが担当につき、さまざまな投資商品を比較・検証した上での資産運用ポートフォリオの作成・提案などを継続的にしてもらえます。相続や遺言などの資産承継に関する相談にも乗ってくれます。この「ワンストップ体制」はプライベート・バンキングサービスが提供する価値の一つであると言えるでしょう。

日本では三大メガバンクや大手の証券会社や信託銀行、最近では地方銀行でも富裕層向けの資産運用サービスを提供し始める動きが目立っています。

日本国内の金融機関のプライベート・バンキングサービスを活用する魅力は、利用のしやすさにあるとも言えます。日本人にとってはスイスなどの海外のプライベートバンクに資産運用を任せるより手続きは楽で、何より日本語でのコミュニケーションができるということが、当然とはいえやはり大きなメリットです。

プライベートバンクやサービスを巡る動き

プライベートバンクを巡っては、日本の銀行が本場スイスのプライベートバンクと提携してサービスを提供する動きも加速しています。

日本ではかつて、国内富裕層の保守的な運用姿勢などから、外資系金融機関が富裕層向けの資産運用サービス事業から撤退するなどの動きもありました。しかし、現在かつてない低金利が日本国内で続く中で富裕層マネーが行き場を失いつつあり、国内の金融機関が新たなその受け皿としてプライベート・バンキングサービスに乗り出しているという見方もあります。

保有資産額が1億円または100万ドル以上などと、利用開始には一定のハードルもあるプライベートバンクとプライベート・バンキングサービス。その魅力や価値も知った上で、金融業界における富裕層向けサービスの潮流が今後どう変わっていくかについても、しっかりと注視していきたいところです。

文・J PRIME編集部

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